2020年9月議会

岡田ゆき子議員の個人質問:②コロナ禍で休業した指定管理施設での賃金補償を(2020年9月16日 9月定例会)

指定管理者制度等における労働者を守る公契約条例の創設について      岡田ゆき子議員

コロナ禍で、指定管理の職場で支払われているはずの給与が支払われていない
【岡田議員】新型コロナウイルス感染拡大は雇用を直撃し、特に非正規労働者の生活に大きな影響を及ぼしています。コロナ禍において、事業所が、労働者に休業させた場合、労働基準法第26条に従い休業手当を支払うことになります。また手当の支給が困難な場合、雇用調整助成金、休業支援金等の支援する仕組みがあります。

 地方公共団体が行う事業についてはどうか。指定管理者制度や業務委託により運営されている公共施設等でも、感染拡大防止のため、施設の利用制限、臨時休業の対応が行われました。
 指定管理料や業務委託費は、一年間の運営予算を計上してあり、コロナ禍であっても、人件費相当にあたる管理料や委託費は予算通り支払われます。例えば、休校に伴い給食が中止されましたが、調理業務委託の労働者は、いつ再開してもよいように、休校中出勤又は自宅内研修で、給与は支払われています。
 ところが、名古屋市の公共施設において、管理料、委託費が支払われているにもかかわらず、委託業者等に雇用される労働者で、緊急事態宣言前後の期間、勤務日数が大幅に減らされ、給与が通常の半分以下だった、休業手当が寸志程度で何の説明もないという相談が、労働組合や愛知県労働局にあり、市議団でも聞き取りをおこないました。図書館の窓口業務委託でパートの方は、勤務日数は半分に減らされ、3月から5月の給与がほぼ5割減。会社から何ら説明もない。スポーツセンターで働くパートの方は、3月から休業した間の給与は3割だけだった。また、「今後の処遇に影響するのが怖いので会社に言いにくい」という方もおられました。こうした実態が氷山の一角ではないかと考えます。事態を深刻にとらえた愛知県労働組合総連合は、6月30日、名古屋市、愛知県に対し事態の解決を求め緊急要請をされ、愛知県からは各市町村に対し、適切な対応を依頼する通知が出されました。
 雇用者に対して休業手当が支払われていない等の法令順守違反はあってはならないことです。業務委託については、それぞれの所管局が事業者に対して、適正に委託料が執行されているかについて責任をもって調査し、コロナ禍で先ほどの事例のような休業手当の未支給、不当な減額がされていれば、確認して是正するよう、徹底していただきたい。また、行政改革推進の旗振り役として公共施設を含む事業の民間移管を進め、指定管理者制度の所管しているのが総務局です。指定管理に関して適正に執行されているか、早急に調査するべきですが、総務局長の見解をお聞きします。

雇用の維持は指定管理者との協定で義務として定めている。所管局で指定管理の管理運営状況の点検で確認
【総務局長】市の指定管理施設では、新型コロナウイルス感染症の影響による休館等に対して、公の施設の適正な管理運営に支障をきたすことがないよう管理運営経費の不足額を上限として収入の減少を市が負担することにし、雇用の維持が可能となるよう取り組みを行っている。
 雇用の維持には、国から事業者に対し、有期契約労働者等の雇用の安定等を図るための配慮が求められており、所管局を通じて指定管理者に周知を図った。
 休業手当の支払いなどの法令遵守は、指定管理者との協定において、義務として定めている。
 法令等の遵守を含め指定管理者が管理する施設が適切に管理運営されているかは、毎年度、施設所管局で指定管理者の管理運営状況の点検の中で確認している。

労働者の賃金の保障と労働環境の向上などを公契約においてしっかり担保を
【岡田議員】名古屋市は管理料、委託費をきちんと払っています。しかし、市の事業を現場で担っている労働者の実態は、業者任せではないですか。これまでも繰り返し公契約条例の創設を求めてきましたが、労働者の賃金の保障と労働環境の向上などを公契約においてしっかり担保して、この度のような問題を市が関与して解決できるようにすべきです。コロナ禍でのこうした事態をなくすために、公契約条例を創設することを強く求めます。財政局長の見解をお聞きします。

市は労働基準法の所管官庁でなく監督や処分を行う権限がないので実効性の確保が困難。他の自治体の状況を調査している
【財政局長】公契約条例は、労働者の貸金水準の確保に一定の効果があると考えられるが、他都市の公契約や民間発注の契約には本市条例の効力が及ばず、効果が限定的となる、市は労働基準法の所管官庁ではなく監督や処分を行う権限がないので実効性の確保が困難といった課題があり他の自治体の状況を調査している。
 引き続き、他の自治体の状況を適宜把握しつつ、適切な公契約のあり方について検討したい。

早急に結論を出し、市の公共の事業において、労働者の賃金水準が確保でき、労働者が市に直接申し出ができる仕組み(意見・要望)
【岡田議員】公契約条例について、本議会では他会派でも取り上げられてきました。県下、政令市でも公契約条例を持つ自治体は増えており、名古屋市にも求められているが、調査・検討の期間が長すぎます。コロナで公共施設等で働く労働者の問題を取り上げましたが、早急に結論を出し、市の公共の事業において、労働者の賃金水準が確保でき、労働者が市に直接申し出ができる仕組みを作ることを求めます。

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