2020年6月議会

さはしあこ議員の個人質問②少人数学級で安全な学校に(2020年6月19日6月定例会)

学校再開における安全と学びの保障について
さはしあこ議員

さはしあこ議員

少人数学級の推進こそ今やることだ
【さはし議員】学校で、新型コロナウイルスの感染から守るのは災害時の避難者だけではありません。毎日学校に通い、教室で長い時間を過ごす子どもたちの感染リスクを抑えることは、再開後の学校が第一に考えるべき課題です。友達に会えるのはうれしいけど「コロナにうつらないようにしてほしい」「できればこわいから学校休みにしてほしい」。これが子どもたちのリアルな声です。こうした不安の声にも寄り添わなければいけません。
 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は「新しい生活様式」として「身体的距離の確保」を呼びかけ「人との間隔はできるだけ2メートル(最低1メートル)空けること」を基本としています。しかし、本市の学級編成は40人が基準です。「40人学級」では、2メートルはおろか、1メートル空けることも不可能で「身体的距離の確保」と大きく矛盾しています。
 学校は再開されましたが、過密状態の教室に子どもも教職員も保護者も不安の声をあげています。
 「身体的距離の確保」を「新しい生活様式」の重要な一つとして社会全体で取り組む時に、教室は例外なのですか。
 長い休校で心身ともに大きなストレスを抱えている子どもたちに、ていねいに寄り添うことも必要です。学習の遅れと学力の格差に対しては、子ども一人ひとりにていねいに教えることが欠かせません。小規模のクラス編成でこそ、子どもたちに寄り添えます。
 国会では、安倍首相も「少人数学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたい」と述べています。少人数学級の推進が、今こそ必要です。
 新型コロナウイルス感染症から子どもたちを守るためにも、小中全学年で少人数学級を実現することを名古屋市の教育行政の目標としてかかげるべきではありませんか。国に必要な財政措置を求めつつ、まずは、小学校1、2年生で導入されている30人学級を今こそ速やかに3年生以上に広げるべきです。答弁を求めます。
 そのために必要なのは、教室と教員の確保です。
 教育委員会は「40人学級でも子ども同士の身体的距離を1m確保できる」としています。図1を見てください。あまりにも窮屈です。黒板の目の前まで机を置き、教卓も撤去、教室の後ろにあるロッカーからはランドセルの出し入れもできません。先生の居場所さえありません。国からは感染レベルがあがったら2mを確保するよう通知がありますが、図2のような対応は、到底できません。医療的ケアが必要な子どもや基礎疾患がある子どもがいることも忘れてはいけません。せめて40人以上のクラスだけでも、教室を分けるべきではありませんか。
 いま本市では、40人の過密状態の教室が何校、何教室ありますか。早急にこの密の状態を解消するために、空き教室の活用はもちろん、必要な教室の確保に積極的かつ柔軟に取り組むべきではありませんか。

 図1 名古屋市教育委員会「教育活動再開時の対応と授業
 時数確保のための措置について」(5月18日事務連絡)より
 レベル1地域 イメージ図(1クラス40人の例

 図2 文部科学省
「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル
    ~学校の新しい生活様式~2020.6.16Var.2」より
 レベル2・3地域(1クラス20人の例) / レベル1地域(1クラス40人の例)

用語説明 「地域の感染レベル」
「レベル1」・・生活圏内の状況が、感染観察都道府県に相当する感染状況である地域のうち、レベル2にあたらないもの
「レベル2」・・生活圏内の状況が、①「感染拡大注意都道府県」に相当する感染状況である地域、②「感染観察都道府県」に相当する感染状況である地域のうち、感染経路が不明な感染者が過去に一定程度存在していたことなどにより当面の間注意を要する地域
「レベル3」・・生活圏内の状況が、「特定(警戒)都道府県」に相当する感染状況である地域

文科省のマニュアルに沿って感染防止策をしている(教育長)
【教育長】文部科学省作成の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マ二ュアル」等に従い、学校生活の中でマスクの着用、手洗いの徹底、教室における身体的距離の確保等の配慮を行いながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努めている。
 市では教員配置を工夫し、小学校1・2年生の30人学級、中学校1年生の35人学級という少人数学級を独自の施策として実施し、その他の学年では少人数指導やティームティーチングを柔軟に組み合わせて、一定の成果をあげている。少人数学級のさらなる拡大は慎重に判断する必要がある。

教室と教員を確保して命を守れ
【さはし議員】教員の確保は、手厚く柔軟な教育のためにも、感染症対策のためにも重要です。わが党は、全国で小中学校の教員の10万人の増員と、養護教員をはじめ教職員、学習支援員の10数万人を増員し、20人程度の授業ができるようにと提案しています。
この間、教職の定年を迎えた約20万人のうち、教職についていない10万人を教員免許更新制も凍結するなどで確保することや全国の教員採用試験の受験者13万7千人のうち採用者数が3万7千人です。若い方々の採用枠を思い切って広げてはどうでしょう。現在、教員の10万人増に、必要な予算は約1兆円です。第二次補正予算の予備費10兆円の一割です。子どもたちのためにそれくらいの予算をつけなくてどうするのか。国の責任と負担で教員を増やすことを一緒に強く求めたいと思います。
 定年退職して教職を離れた方には「こういう時だからこそ力を貸してほしい」、若い世代の教員免許保持者にも「教壇に立ってほしい」と呼びかける。この二つの方向で教員数を思いきって増やしてはいかがですか。

40人学級は32小学校、18中学校にあわせて110学級。教室に余裕があればグループ分けなどでも対応。今も非常勤講師を活用している(教育長)
【教育長】40入学級が存在する学校数は、本年4月時点で、小学校32校、中学校18校。1学級あたり40人の学級数は、小学校3,769学級のうち58学級、中学校1,449学級のうち52学級となっている。
 教育委員会では、学校再開に先立ち、使用していない教室がある学校では学級を2つのグループに分けた上で授業を実施するなどの取り組みも、例として示した。
 教員の確保は、定年退職者を始めとする正規教員以外の教員免許保持者を、現在も常勤講師や非常勤講師として任用している。

安倍首相さえ少人数学級を言うのに、なぜやらない(再質問)
【さはし議員】これからは、WITHコロナの時代と言われています。長期的にコロナと共生していかなければいけません。少人数学級の拡大は、昨年2月議会でも「少人数指導やティームティーチングを組み合わせ、一定の成果をあげており、慎重に判断する必要がある」と答弁され、感染拡大した以前と何ら変わりません。私は、今の状況を踏まえてお尋ねしました。今国会では、首相でさえ「少人数学級に向けて、努力を重ねてきて前進している。コロナを踏まえて検討していきたいと思っている」と答弁しています。新型コロナは、未知のウイルスで、かかったら、突然、重症化することもあります。だからこそ、命を守ることを一番に考えなくていけません。
 少人数学級を拡大することの必要性について、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、いかがお考えですか。

文科省のマニュアルでやっている(教育長)
【教育長】持続的に児童生徒等の教育を受ける権利を保障していくため、学校における感染およびその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校運営を継続していく必要がある。文部科学省のマニュアルに従い、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努めている。

子どものことを第一に考えるなら少人数学級に(再々質問)
さはし議員】市長に質問します。教育長は、小学校3年生以上は、40人学級でも仕方がないとも思える答弁でした。これで、コロナ感染を防ぎ、行き届いた教育ができますか。
 実際は、教室内には、柱もロッカーもあります。黒板は目の前にせまっている。教卓や教壇をどかさなくては1mさえ確保できない。4,400人の子どもたちが、身動きもままならない、こんな詰め込んだ教室で勉強しています。コロナで「子どもを1人も死なせないマチ」を実現すると言われるのなら、コロナに不安がっている子どもや保護者に安心していただくためにも、新型コロナを踏まえ、少人数学級も検討していただきたい。市長、答弁を求めます。

人数より、画一的な一斉教育をやめて楽しい学校にすること(市長)
【市長】人数だけの問題ではない。心配なのは、画一一斉教育。特にタブレットなんかで便利になることで、先生方のためだけになる。子どもが学校を楽しく、自分たちが好きなことをやっていける、そういう学校をつくっていかなければいけない。
 コロナでは、名古屋は接触感染を防いでいく。他の自治体ではやっていないことをやっている。ケアラーニングとか、仲間でやっていくとか。アクティブラーニングという名の一斉教育をやってはなんともなりませんので、そういう対策をとってスクールカウンセラー、常勤スクールカウンセラーと一緒になって、子どもがとにかく学校が楽しくなるように、中身を重要視している。

子どもや親の不安を解消するためにまず少人数学級を(意見)
【さはし議員】市長からは、いま、人数の問題ではないといわれました。結局、これは、距離をおくために、やっぱり、教室内の人数を20人程度におさえるということが、今回の新型コロナにもそういった所をしっかり進めて行かなければいけないと思っています。こどもたちや保護者や教職員や現場にいるみなさん、本当に、コロナのこと不安がっています。まずは、そういったことに対して、少人数での学級がどうかってところをぜひ、市長には考えてもらいたい。わたしはそういう風に思っています。ですから、最後になりますけれども、新型コロナを防ぐために少人数学級の拡大、これをしっかり考えていただいて取り組んでいただきたいと言うことを、申し上げて質問をおわります。

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