2020年2月議会

さいとう愛子議員の個人質問 ①LGBT(2020年3月6日)

「同性パートナーシップ制度」の導入を  さいとう愛子議員

導入を決断すべき時
【さいとう愛子議員】「同性パートナーシップ制度」とは、同性カップルが宣誓書を自治体に提出すると受領証等が交付され、自治体から同性カップルとして認められるというものです。この制度をすでに導入している自治体では、公営住宅への入居、緊急時の病院での面会や病状説明を受けることなど、男女のパートナーなら当然可能な制度が利用できるようになっています。
 「同性パートナーシップ制度」は、5年前に渋谷区が全国で初めて導入したことを契機に、特定非営利法人虹色ダイバーシティによると、1/20現在、33自治体に広がり、政令市では、来年度予定・検討している7市を含め、4分の3の15市が導入することになると聞いています。自治体間の連携も始まり、熊本市と福岡市は両市が共同して都市間相互利用の協定を結び、転居後も証書が使えるようにし、当事者の負担を減らしています。広島市と岡山市も同様に協定を結ぶとしています。
 当事者のみなさんにとってどんな点が重要なのでしょうか。アンケートに答えてくれた方は「何が変わるの、って思う人もいるけど、今までずっと嘘をついたり、こそこそ隠れたりしたことを行政から認めてもらえる。自分の中ではとても大きなこと」と言います。また、宣誓書に署名した女性カップルの一人は、20代で同性愛者であることを母に伝えたときは否定的な受け止めだったけれど、制度発足の様子がテレビや新聞に報道されて、初めて母から「おめでとう」のことばを聞くことができたとのことです。自治体の制度があることが、安心感や「心の支え」につながっています。
 日本弁護士連合会は、昨年7月に初めて同性婚に関する意見書を公表しました。同性婚を認めないことは、憲法13条、14条の法の下の平等に反する重大な人権侵害であり、憲法24条は同性間の結婚を禁止するものではないとしています。同性婚については、国会の法改正を待たねばなりませんが、その前に自治体ができることとして「同性パートナーシップ制度」があります。電通の調査では、13人に1人という決して少なくない、性的指向や性自認がマイノリティの方々の生きづらさに寄り添うこと必要ではないでしょうか。
 2017年6月定例会の本会議で、わが党の西山あさみ議員の質問に対し市長は「前向きに検討する。ちょっと待って」と答弁されました。それから2年半たちました。「国の動向や他の自治体の取り組みについて調査研究を進める」と答えておられます。そこで、総務局長にお尋ねします。
 本市でも、もう「同性パートナーシップ制度」の導入を決断すべき時であると思いますが、いかがですか。

調査研究を進めたい(総務局長)
【総務局長】性的少数者に対する偏見や差別は人権問題であり、市では、その解決に向けて様々な取り組みを行っています。これまでも、市民・企業・職員向けに講座・セミナーなど、正しい理解の促進を図ってきた。
 昨年度に市民一万人を対象に実施した「性的少数者など性別にかかわる市民意識調査」では「性的少数者に対し必要な支援」として「相談できる窓口」が最も多い回答だったので、「専門相談窓口」を12月に開設、当事者や周りの方々の相談を受けている。
 同性パートナーシップ制度も、引き続き、国の法制度の動向や他の自治体の状況、先進的に導入している自治体の実績などについて、調査研究を進めたい。

なぜ導入しないのか。これ以上何を調査するのか(再質問)
【さいとう議員】1万人アンケート結果で、当事者の要望は「同性同士のパートナーやその家族も、法律上の夫婦や家族と同等に扱うこと」という回答が最も多い結果で、「法律上認められたカップルと同等に扱ってほしい」と求めています。法的効果はないけれど、せめて、自治体ができるのが「同性パートナーシップ制度」です。
 「性的少数者に対する偏見や差別は人権問題」と答弁されました。人権が侵されており、問題があるという認識を持っていながら、この状態のままなのですか。
 答弁でも人権問題であると認めておられ、当事者の要望もあり、4分の3の政令市が導入する、「同性パートナーシップ制度」を導入しないのはなぜですか。今回も調査研究を進めると答弁されましたが、これ以上何を調査するのですか。

調査研究を進めたい(総務局長)
【総務局長】昨年度の市民意識調査では、配偶者や親、子供など身近な家族から「同性が好きだ」と言われた場合、受け入れられる方の割合が低い傾向であったなど、性的少数者についての市民の意見は様々でした。
 このような状況から、同性パートーシップ制度の導入は、市民の意見聞きながら、しっかりと考えていかなければならない。
他都市の制度内容も様々であり、引き続き先進的に導入している自治体の実績や制度内容、課題など調査研究を進めたい。

必要なのは決断(意見)
【さいとう議員】2年半前も「調査研究を進める」と答えておられ、ずっと研究を進めてきて、現段階では、あとはもう決断するだけはないですか。
名古屋から、同性パートナーシップ制度のある自治体へ引っ越した当事者の方からメールをもらいました。「パートナーの体が弱いので、緊急時のためパートナーの登録をしておこうと思う。こちらは、暮らしていく上でとても安心感があります。市役所に転入届を出しに行く時とか、市としての理解があるんだっていうことが分かっているだけでかなり暮らしやすいと思っています。」と安心を感じておられます。そんなささやかな安心感すら持てないような市政ではなく、「同性パートナーシップ制度」を求める方々に寄り添い導入を決断すべき時であると強く要望して、この件は終わります。

キーワード: