2020年2月議会

さはしあこ議員の個人質問 ①子どもの権利(2020年3月6日)

子どもの権利を守る本市の取り組みについて  さはしあこ議員

相談室「なごもっか」の周知など、子どもの権利の普及啓発を
【さはし議員】昨年は、子どもの権利にとって特別な年でした。子どもの権利条約が国連で採択され30日本で批准され25年です。名古屋市では、名古屋市子どもの権利擁護委員条例が制定されました。また、2008年に制定された「なごや子ども条例」が見直され、今議会に、子どもが権利の主体であると明確にする条例改正が提案されています。この改正案が、子ども自身が生きる力をさらに高める契機になることを願い質問します。
 名古屋市では、子どもの権利を守り、子どもの最善の利益を確保するために子どもの権利擁護委員が子どもから相談を受け、子どもの権利の保障を図る場として、1月から子どもの権利相談室「なごもっか」を開設しました。
 私も子どもに関する相談を受けることが少なくありませんが、私に相談にみえるのはほとんど大人です。子どもの声を直接聞けず、判断に苦しむことがよくあります。ですから、ぜひ「なごもっか」の相談の様子をうかがいたいと思い、先日訪問し、お話をうかがってきました。
 相談を受けている権利擁護委員の方は、子どもから直接話を聴くことを大事にしている、子どもの声を聴いて、子どもと一緒にどうすればよいかを考え、子どもにとって最も良いと思えることを大切にしているとのことでした。
 子どもの権利擁護委員条例の制定に向けた市民意見では、「子どもは自らの権利を知らなければ、相談もできない」「子どもたちにも自分たちの権利を知ってもらうことが必要」「子ども自身が子どもの権利を知ることで、気軽に相談でき、自他の権利を守ることができると思う」などの意見が寄せられています。
 「なごもっか」が機能するためには、子ども自身が子どもの権利について学ぶことが必要です。「なごもっか」では、子ども専用フリーダイヤルを載せたカードをつくり子どもたちに配る予定です。
 「悩んだときは相談してね、たとえば・・ご飯が食べられないときがある、仲間に入れない、みんなとちがうのはだめなの?学校に行きたくないなぁ、このルールおかしくない?ゆっくりする時間が欲しい」と書かれています。このカードは、学校などを通じて市内の全児童生徒に配布する予定とのことです。
 このように、「なごもっか」を子どもに知ってもらうための周知は、一定程度行われていると聞いておりますが、こうした取組みは、開設後の今だけでなく継続的に行っていく必要があり、さらに、子どもたちや大人にも、子どもの権利について理解してもらえるような工夫もあわせて行っていくべきではないかと考えます。
 そこでまず、子ども青少年局長におうかがいします。「なごもっか」が子どもから信頼され、子どもの権利を守る取り組みを推進していくため、「なごもっか」について、子どもにより広く知ってもらい、子ども自身からの相談につなげるための取組みと、「子どもの権利」に関する普及啓発をどのように進めていくのか、お答えください。

なごもっか
(NHKビル6階)
・月火金:11時~19時
・木 :11時~20時
・土 :11時~17時
(受付は30分前まで)

地域イベント等の活用など、工夫しながら進めたい(局長)
【子ども青少年局長】市内全小中学校、高校、幼稚園、保育所を通じて機関誌を配布し、子どもが手軽に持ち歩くことができる携帯用カードを配布している。マスコットキャラクター選定で子どもの意見を取り入れるなど、「なごもっか」に親しみを感じてもらい、周知につながる取り組みを積極的に実施したい。
 子どもの権利について保護者や学校等関係者、地域の方などの大人にも、理解してもらうことが重要で、講演会や関係機関等の職員研修、地域におけるイベント等を活用するなど、工夫しながら進めたい。

学校で子どもの権利を学ぶ機会を設けてはどうか
【さはし議員】何よりも子どもの命を守ることが最優先です。ところが、現実には、児童虐待などで、尊い命が奪われる事態がいまだに続いています。大人にも子どもの権利についてきちんと理解してもらうとともに、生きる権利を守る力を子どもたち自身が身につけることが必要ではないでしょうか。
 昨年、私は、虐待を受けた当事者の皆さんが主催したイベントに参加しました。冒頭に虐待をされた子どもの声が朗読されました。悲しいことに、虐待されていることに子ども自身が気づいていない現実がありました。
 どういうことが虐待なのか子ども自身がわかっていないのです。なぐられる、食事を与えられないなどの行為が虐待なんだ、SOSを出していいんだ、ということ自体が子どもたちにとって、容易ではないのです。
 イベントでは「学校で、子ども自身が自分たちの権利を学ぶ機会をつくってほしい」という具体的な提案も出されました。「子どもが自分たちの権利を知る機会を公教育と家庭に向け実施すべき」という市民意見も出されています。学齢期の子どもたちが学校で学ぶことは自然だと思います。
 そこで、おたずねします。「子ども条例」について「なごやの子ども権利条例」への改正が提案され、「なごもっか」が開設したこの機会に、学校の場において、子どもの権利について、先生方にはあらためて学ぶ機会を、子どもたちには自らの権利をわかりやすく書かれたパンフレットなどを作成するなどして、学ぶ機会を設けることが大切だと思います。どのようにはたらきかけていかれるおつもりですか、子ども青少年局長お答えください。

なごもっかカード

学校で理解を深めることは大変重要。教育委員会と連携し検討したい
【子ども青少年局長】子どもの権利擁護委員と協力し、子どもの権利について理解を深めてもらうことができるよう、子どもに分かりやすい効果的な方法について、教育委員会と連携しながら検討したい。

子どもの権利の理解を家庭・学校・地域に広げるために全庁的な連携を(再質問)
【さはし議員】緑区のある学区は、9年前から子どもたち、地域のみなさん、小中学校、行政など約250名の参加で、毎年、夏休み前に「子ども健全育成大会」を行っています。
 昨年は、子どもの権利条約30年の節目の大会となりました。子ども代表は「わたしたちは、明るくたくましい心とからだをつくるために、・・」と、大人代表は「子どもの権利条約でいう子どもの最善の利益とは何かと向き合い、考え、学び、共有しあうことでその理念の実現にせまることができる」と、参加者全員で決議しました。
 「なごや子ども条例」を解決の道しるべとして、保護者・地域住民・学校関係者および行政関係者によって、学区全体で子どもたちを守る取り組みが続けられています。このように家庭、地域、学校が協力することで子どもを主体とした取り組みが広がっていくと思います。
 子ども青少年局を所管する伊東副市長に、再度おたずねします。子どもたち自身が子どもの権利を知り、学ぶことで、自ら生きる力をつけることができるように、家庭・学校・地域などあらゆるところでの取り組みが大変重要であることからも、全庁的に連携していくことが必要だと思いますが、伊東副市長の思いをお聞かせください。

子どもの権利を守る主体として市が一丸となって取り組む(伊藤副市長)
【伊東副市長】子どもの権利を保障するためには、子どもが自らの権利を理解するのみでなく、名古屋市、保護者、学校等関係者、事業者、地域の方々などの大人も子どもの権利を正しく理解し、子どもの権利を守るために協働し、社会全体で支援していくことが必要です。
 こうした意識を広く浸透させ、子どもの権利が守られる社会を実現するために、局の垣根を超えて、横断的に取り組むなど、子どもの権利を守る主体として一丸となる必要があると考えており、全庁的に連携を図りながら、取り組みを進めたい。

子どもたちのためにすすめて(要望)
【さはし議員】伊東副市長さんから、子どもの権利を守るために名古屋市が一丸として取り組むと力強い思いを語っていただきました。ぜひ、名古屋の子どもたちのためにも、この取り組みをすすめていただくことを求めます。

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