2020年2月議会

岡田ゆき子議員の新型コロナウイルス感染症に関する緊急質問(2020年2月26日)

市内2病院12床の感染症指定医療機関はすでに満床。感染拡大に対応できる医療体制を    岡田ゆき子議員

型コロナウイルス感染症の急速な拡大に対し、名古屋市議会は2月26日、「新型コロナウイルス対策」に絞った緊急質問を行い、各会派の代表5人が分担して現状や対応を質問。日本共産党からは岡田ゆき子議員が医療体制について質問しました。

協力医療機関や民間の医療機関の受け入れ体制は万全か
【岡田議員】新型コロナウイルスにより、肺炎などで、すでに国内では3名の方が亡くなられました。心からお悔やみ申し上げます。また、名古屋市内で感染したことが判明し、入院療養されている方々にたいし、お見舞い申し上げます。
 私からは、新型コロナウイルスの拡大に対応できる医療体制の確保について、健康福祉局長にお聞きします。
 感染症のPCR検査で、陽性となった方を受け入れる、感染症指定医療機関は、市内2病院12床です。最初の感染者の発生から、12日が経過し、感染者数は、現在15人となり、すでに12床の受け入れ可能病床を超えたため、県内の感染症指定医療機関にも受け入れていただいているとところです。しかし、県内の指定医療機関も数が限られていることから、今後の感染拡大を想定すると、市内でも受け入れ可能な体制を整える必要があります。
 2009年に、新型インフルエンザの感染者が拡大したことを受けて、当時新型インフルエンザ等特別措置法が制定されました。名古屋市においても、行動計画が策定され、医療体制の確保については、名古屋市は協力医療機関として、複数の民間医療機関との間で、感染症患者の受け入れに関して提携を結んでいました。
 今回の、新型コロナウイルスについては、感染症患者の受け入れに対して、民間の医療機関の協力はどうでしょうか、現在、把握している状況をお聞きします。

満床に備え指定外の医療機関に受け入れを募っている。必要に応じ拡大したい(局長)
【健康福祉局長】指定感染症医療機関の指定を受けてはいないものの、新型コロナウイルス陽性患者の受け入れをお願いできる医療機関を募っており、複数の医療機関から手を挙げていただいています。こうした体制を維持し、必要に応じて拡大をお願いしながら、市民が安心できる体制を維持・継続できるよう努めます。

医療機関が安全に対応できるよう国や県の財政支援を(再質問)
【岡田議員】緊急的に、名古屋市から医療機関などに対し、備蓄マスクの配布がされ、その分も合わせ何とかしのいでいるという状況です。地域の医療機関では、発熱で来院する患者さんの対応に臨時受付を置き対応にあたるなど、使命をもって頑張っておられるところを垣間見て、ありがたいと思います。
医師不足、看護師不足に加え、経営も厳しい医療を取り巻く情勢の中、感染者の受け入れができるよと手を挙げる医療機関が複数あることは、どんなに安心につながるかと思います。
 10年前に、新型インフルエンザが猛威を振るい、特別措置法が制定され、名古屋市も法に沿って計画を作りました。しかし、その後インバウンド(訪日外国人旅行者)が、この6年間を見ても約4倍に劇的に増えていますが、感染症に対する検査体制、医療体制は変っていません。情勢の変化を踏まえた検査、医療体制の拡充が必要ではないでしょうか。
第2種感染症指定医療機関の拡充と同時に、協力いただく医療機関が、安全に感染症患者を受け入れられるための、ハード整備や人員確保等に対する支援を市として行うとともに、県や国の財政措置を求めるべきだと考えますがどうですか。

財政支援は県の仕事で、市も県に申し入れる(局長)
【健康福祉局長】医療機関に市が保有するマスクなどの衛生材料や防護服を配布させていただいた。引き続き、民間医療機関に負担をおかけすることが予想される。医療法で医療行政全般については県が担うこととなっている。財政支援も県において適切に対処されるべきものですが、市としても医療機関の声を県に伝えたい。

公衆衛生分野の専門職の不足を危惧、体制の抜本的な強化を(意見)
【岡田議員】感染症の拡大という事態を受けて、健康福祉局はじめ昼夜分かたず、公務員の皆さんが対応していただいていることは本当に敬意を表します。同時に、この事態に医療関係者が頑張りたいと、手を挙げてそれぞれで体制を組んであたっていただいていることに感謝します。そうした意欲を大事にして、それにこたえる支援を一義的には国にしっかり求めていただきたい。
また市においては、 公衆衛生という分野の専門職、公衆衛生医が不足している現状を危惧します。感染者への対応だけでなく、拡大を防止するための様々な重要な判断を迅速にできなければ、市民の安全が守れません。改めて、公衆衛生体制の抜本的な強化も必要だと意見して終わります。

2020年2月25日時点で把握している事実(厚労省)
・一般的な状況における感染経路は飛沫感染、接触感染であり、空気感染は起きていないと考えられる。 閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても 感染を拡大させるリスクがある。
・感染力は事例によって様々である。一部に、特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例がある一方で、多くの事例では感染者は周囲の人にほとんど感染させていない。
・発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い。また、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されている。
・罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い。
重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクがある。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。
・インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心である。また、現在のところ、迅速診断用の簡易検査キットがない。
・一方、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性がある。

自・民・減・公・共が15分ずつ質問
 緊急質問は2000年9月の東海豪雨の時に行われて以来のものです。各会派15分ずつが質問内容が重ならないよう調整しながらそれぞれに質問を行いました。
 自民は「正確な情報発信と備蓄マスク」、民主は「学校での対応とこの間の総括」、減税は「市民のできることと交通局」、公明は「検査体制と業務継続」、共産は「医療体制」について質問しました。主な答弁を紹介します。
◆正確な情報発信が重要で、WEBサイトも改善する
◆備蓄マスクは90万枚あったが南京市や高齢者施設などに配布。残る44万枚は窓口業務職員などに使用したい
◆中学校の休校で高校受験で不利にならないよう検討
◆風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く、強いだるさや息苦しさがある(高齢者や基礎疾患等のある方は、2日程度続く)場合はまず帰国者・接触者相談センター(各区の保健センターに設置)に相談を。相談なしの医療受診は感染リスクを高める
◆衛生研究所のPCR機器で1日最大20人の検査が可能。民間機関での検査実施にむけてとりくむ
◆窓口業務に従事する職員のマスク着用や時差出勤で対応

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