2019年9月議会

さいとう愛子議員の2018年度決算認定案にたいする反対討論(2019年9月27日)

福祉・教育・子育て・防災など市民生活が優先される市政への切りかえを
                   さいとう愛子 議員

削られたのは市民の暮らしと福祉
【さいとう議員】日本共産党名古屋市会議員団を代表し、2018年度名古屋市一般会計決算認定案に対して、反対の立場から討論を行います。
 以下、理由を申し上げます。

隠れ待機児童が増え続ける中で、公立保育園の民間移管を推進
 第1に、身近な福祉にしわ寄せがきています。子育てしやすい街、といいながら、子育て世代にとっては、保育需要が増して、毎年いわゆる隠れ待機児童が増え続けているのに、4か所の公立保育所を民間移管し、5か所の公立保育所で移管のための準備が行われました。子育てを困難にする様々な要因があり、虐待件数が増えているとき、公立保育所を減らすのではなく、セーフティネットとしての役割を果たすために計画を見直すべきです。

介護保険料独自減免には背を向け、県内で最も高い介護保険料に引上げ
 年金生活者や低所得の市民にとって負担の重い介護保険料について、基準額を年間で約6,000円も値上げし、県内市町村で最も高い保険料となりました。その上、他の旧五大市で実施している介護保険料減免も実施していません。

金持ち減税の財源を確保するために市民の暮らしと福祉が犠牲に
 以上の行革や市民負担増の背景に、河村市政による市民税減税があります。昨年度、総額約125億7600万円の減税を行い、意図的に財源不足を作り出し、削減されたのは市民の暮らしや福祉ではないでしょうか。

過大な需要予測で大型事業を推進

財政負担割合も不透明な名駅再開発や巨大地下通路など
 第2に、過大な需要予測に基づく大型事業をすすめました。
 リニア新幹線の開業を前提にした名古屋駅前開発では、東西の駅前広場の「再整備プラン」が策定され、駅前広場の整備は名古屋市が主体となる公共事業を基本にするとされました。東側広場については、今年度末をメドに都市計画変更の手続きに入りましたが、いまだに事業費が明らかにされず、鉄道事業者などとの費用分担も明確になっていません。名古屋市が主体になると宣言したことによって、本市に過大な財政負担をもたらしかねません。

  

目標値に達していない中部国際空港の発着回数
 また、離発着数が当初の目標値に届いていないのに、中部国際空港の2本目滑走路の建設を促進しようという期成同盟会の負担金の支出も認めることはできません。

市民と有識者の意見を無視した天守閣木造復元は見直しを

2022年完成見通しが破綻
 第3に、市長がこだわる、名古屋城天守閣木造復元です。
 現時点で2022年完成という期限はなくなりましたが、木造復元そのものの見直しをしていません。現在、石垣について有識者による「十分な議論と合意形成が必要」となり、木造復元の見通しはありません。

石垣保全方針が不十分のまま解体のみの先行をもくろむ
 昨年6月議会で、木造復元のための文化庁の現状変更許可がないのに、木材購入・製材契約が可決されました。7月、石垣部会の有識者が、「石垣の保存方針は不十分」と指摘しているにもかかわらず、木造復元のための現状変更許可申請の資料を文化庁へ提出しました。そして、9月、名古屋市は、現状変更許可申請はできないと発表しました。その後、今度は、「現天守解体申請」を進めると言い出しました。
 今年3月25日の段階で、石垣部会の有識者から、「石垣や地下遺構の調査がまだ行われておらず」「石垣への影響が軽微であると」は「承服しがたい。」「調査を実施するための、職員も不足しており、現天守閣解体に関する工事計画を推し進めることは容認できない。」と意見が出ていました。それでも、強引に解体の申請を行ったのです。

見通しないままに木材を購入・製材
 昨年度、このように石垣部会の意見を聞かず、石垣調査は次年度に持ち越され、石垣調査不足で木造復元のための実施設計も持ち越しになりました。この間、木材を購入しつづけ製材まで行いました。すべては、2022年末完成ありき、が招いたものです。市民の声を聞かず、有識者の声を聞かない、その結果の迷走であり、税金のムダ使いです。基本協定書を破棄し見直しを
 以上から、竹中工務店との基本協定書を破棄して、白紙に戻し、木造復元そのものを見直しすべきです。今行うべきは、いったん立ち止まって、市民の声を聞くことであり、石垣の調査、保全、修復に全力を尽くすことです。

市民の暮らし優先の市政に
 以上、反対の主な理由を申し上げました。天守閣木造復元など、呼びこみ型の大型事業よりも、福祉・教育・子育て・防災など市民生活が優先される市政へと切りかえることを求めて、討論を終わります。

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