党市議団が「表現の不自由展・その後」に対する河村市長発言に抗議

あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」について、8月2日に河村たかし名古屋市長が大村秀章実行委員会会長に中止を要請し、8月3日限りで企画展が中止されたことについて、日本共産党名古屋市議団は5日、市長発言に抗議するとともに企画展の再会を求め河村市長に申し入れました。対応した小林市長室長、月東観光文化交流局文化歴史まちづくり部長は「市長の指示に基づいて市が中止要請を作成した。申し入れは市長に伝える」と述べました。

2019年8月5日

名古屋市長 河村たかし 様

                     日本共産党名古屋市会議員団
団長 田口一登

 

「表現の不自由展・その後」に対する河村市長発言に抗議し、

同企画展の再開を求める申し入れ

 

あいちトリエンナーレの企画展の一つである「表現の不自由展・その後」が、同実行委員会会長である大村秀章愛知県知事の表明で、8月3日限りで中止になりました。

 同企画展が中止に追い込まれた契機となったのが、8月2日に河村たかし名古屋市長が大村秀章実行委員会会長に対して行った中止要請です。河村市長は、その中で、同企画展が「表現の不自由という領域ではなく、日本国民の心を踏みにじる行為であり・・・行政の立場を超えた展示が行われている」と表明していますが、同企画展は、美術館等で展示を拒否されたり、一度展示されたものを撤去されたりした作品をその経緯とともに展示し、「(表現の)自由をめぐる議論の契機を作りたい」(同企画展実行委員会あいさつ文)として企画されたものであり、個別の作品への賛意を示したものではありません。それにもかかわらず、中止を求めた市長の発言は、憲法21条が保障する「表現の自由」を侵害するものであり、断じて許されません。しかも、憲法21条は検閲を禁止しています。市長が、展示物の内容を問題にして展示を中止させるというのは、まさに憲法違反の事実上の検閲にほかなりません。

 憲法21条で、「・・・一切の表現の自由は、これを保障する。・・・検閲は、これをしてはならない。」としているのは、先の戦争に突き進んだ時の政治権力によって「表現の自由」が侵されたことの反省に立ったものです。「表現の自由」が脅かされるときは、国民の人権が脅かされるときです。文化・芸術を自由に創造し、また鑑賞することは国民の基本的な権利であり、それを保障することが行政の責務です。「表現の自由」を侵害する河村市長の発言は、行政の長としての資格を欠いたものと言わざるをえません。

 日本共産党名古屋市会議員団は、このような河村市長発言に強く抗議するとともに、「表現の自由」を守る議論の契機となるよう「表現の不自由展・その後」の再開を求めます。企画者側は来場者や職員の安全が危惧されることを中止の理由にしていますが、不当な暴力や脅迫から「表現の自由」と市民の安全を守ることこそ行政の責務であり、そのためのさらなる努力を強く求めます。

以上

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