2019年6月定例会

江上博之議員の議案外質問 大江川埋め立てについて(2019年6月19日)

大江川の埋め立てに汚染されたリニア残土を使うな
                 江上博之議員

リニア工事の汚染された土砂を海洋埋立に活用させてはならない
【江上議員】リニア建設工事で、岐阜県瑞浪市の日吉トンネル工事の土砂をJR東海が、海洋埋め立てで処分する計画を岐阜県に報告していることが明らかとなりました。この土砂は、有害物質による汚染を防止するための基準を設けている土壌汚染対策法の対象とするヒ素やフッ素を含む汚染土で、基準を超えるものが発生しています。その土砂を海洋に埋め立てる場合に適用される法律は、海洋汚染防止法です。海洋汚染防止法の対象となる有害物質は、土壌汚染防止法より品目は多くなっています。一方、同一の品目の場合、例えば、ヒ素の場合、土壌汚染対策法のほうが、10倍厳しい規制になっています。そこで、ヒ素を例にとれば、陸域への埋め立てより海洋への埋め立てのほうが規制が緩いということになります。JR東海は、法律の違いに着目して、日吉トンネルの土砂を海洋で埋め立てようとしているのではないか。汚染土壌の埋め立てを許してはなりません。
 名古屋市は、公害対策で行った大江川の改修について、地震などによる危険が生じる可能性があるということで、今年度汚染土壌対策の予算をつけています。そして、埋め立て土砂として、JR東海の工事によって出る土砂を利用したい意向を示し、JR東海と協議すると昨年11月明らかにしています。

JR東海と名古屋市で、リニアの土砂埋め立てに大江川を使う話はあるのか
【江上議員】JR東海と名古屋市との間で、リニア建設工事に伴う土砂を名古屋市内に埋め立てる協議が行われているのか。また、具体的に大江川埋め立てに使うという話があるのかどうかお聞きします。

 

大江川埋め立て事業に活用できるか、JR東海、市、名管で協議をはじめた(局長)
【住宅都市局長】国、県、本市を含む関係自治体が、公共事業等での受け入れ情報をとりまとめ、その情報などをもとにJR東海が各事業者との調整を図っており、大江川の埋め立て事業で建設発生士が活用できるかを、JR東海と本市、及び名古屋港管理組合の間で協議をはじめたところです。

大江川の埋め立てに用いる土砂は、海洋汚染防止法と士壌汚染対策法の双方の基準を組み合わせ、より安全となる基準を満たしたものを受け入れるべき
【江上議員】
土壌汚染対策法の基準を超える土砂を大江川埋め立てに持ってくることは許されません。大江川の埋め立ての区域は、港湾区域であり、有害物質の基準は海洋汚染防止法によることとなっています。しかし、海洋汚染防止法の基準であれば、土壌汚染対策法より対象物質の基準が緩い点が問題です。大江川埋め立てに海洋汚染防止法では適合している土砂であっても、住民感情から言えば、せめて土壌汚染対策法の基準以下にすべきです。
 そこで、質問します。大江川の開橋より東側の9.2haについては、名古屋市が埋め立てることになっています。その際、有害物質について、対象物質は、海洋汚染防止法を適用し、個々の品目の基準については、土壌汚染対策法の基準で扱うべきと考えます。また、開橋より西側は、名古屋港管理組合が1.1ha埋め立てることになっていますが、そこも同一の考えで行くべきです。その方向で考えていますか。

関係法令を遵守しつつ、慎重に検討する(局長)
【緑政土木局長】大江川の河床には、高度経済成長期に近隣工場から排出された有害物質が封じ込められており、地域からは、それら有害物質に対して、恒久的な対策を実施するよう、要望されています。
 市が埋め立てる開橋より東側の9.2㌶、及び名古屋港管理組合が埋め立てる西側の1.1㌶に用いる、土砂の受け入れ基準等は、大江川を取り巻く環境やこれまでの経緯を十分勘案しながら、今年度実施する予備設計の中で、関係法令を遵守しつつ、慎重に検討する必要があると考えています。

大江川埋め立てに名古屋港のしゅんせつ土砂を使ってはどうか
【江上議員】名古屋港のしゅんせつ土砂のうち、港湾の維持のためのしゅんせつ土砂が、最近の平均で、年21万㎥出ており、このしゅんせつ土砂を大江川埋め立てに利用することも検討を求めます。自然環境保全の観点から名古屋港のしゅんせつ土砂を港湾の埋め立てによって使うことは伊勢湾の自然、海流、漁業などに影響を与え、もうこれ以上の埋め立ては中止すべきと考えています。ただ、大江川埋め立ては決定しており、しゅんせつ土砂を埋め立てにも利用すべきと考えます。埋め立てるしゅんせつ土砂の土壌基準は、先に述べた基準に適合していることは当然です。名古屋港のしゅんせつ土砂を大江川埋め立てに使うことについて見解を求めます。

予備設計の中で慎重に検討する(局長)
【緑政土木局長】発生土の活用は、発生側と受入側の間で、搬出入時期や土量、土質など、種々の条件について整理を行う必要があり、それら種々の受入条件について、大江川を取り巻く環境やこれまでの経緯を十分勘案しながら、今年度実施する予備設計の中で、関係法令を遵守しつつ、慎重に検討します。

土砂基準のあり方も含め十分な住民説明を
【江上議員】地域住民のみなさんは、大江川の埋め立てを望んでいると思いますが、埋め立て土砂も安全安心でなければなりません。十分住民説明が必要です。土砂基準のあり方も含めしっかり説明をする必要があると考えますがそのような姿勢で取り組まれるか確認を求めます。

丁寧でわかりやすい説明をする(局長)
【緑政土木局長】本年度実施する予備設計の中で、埋め立て土砂の受け入れ基準等について、関係法令を遵守しつつ、慎重に検討し、その結果も含め、周辺地域に安心いただける様、丁寧でわかりやすい説明を行っていきます。

土壌汚染対策法を適用することを検討しているか(再質問)
【江上議員】大江川埋め立て事業でのリニア残土の扱いについて、JR東海、名古屋港管理組合とともに名古屋市が協議を始めたことはわかりました。土壌基準については、有害物質の項目については海洋汚染防止法を適用し、個々の品目については、規制基準の厳しい土壌汚染対策法の適用を求めました。答弁では、「大江川の土砂の受け入れ基準は、関係法令を遵守しつつ、慎重に検討する必要がある」というものでした。これは、土壌汚染対策法を適用する方向で検討していると理解してよろしいですか。

慎重に検討する(緑政土木局長)
【緑政土木局長】埋め立て土砂の受け入れ基準等は、大江川を取り巻く環境やこれまでの経緯を十分勘案し、周辺地域に安心いただける様、本年度実施する予備設計の中で、関係法令を遵守しつつ、慎重に検討する必要がある。

汚染土の埋立でなく、伊勢湾の環境保全も考えながら、名古屋港のしゅんせつ土砂を大江川埋め立てに利活用を(意見)
【江上議員】今回、リニア建設工事で、岐阜県瑞浪市の日吉トンネル工事による土壌汚染対策法の基準を超える汚染土砂を、ヒ素の場合で言えば規制が十分の一緩い海洋汚染防止法が適用される海洋への埋め立てがあると聞き、大江川埋め立てとの関係で質問しました。汚染土を埋め立てるようなことがあってはなりません。周辺住民の皆さんの安心を得るため、大江川埋め立てには土質基準が厳しい土壌汚染対策法を適用するよう求めます。
 また、天候異変など地球温暖化問題の解決が喫緊の課題である中、伊勢湾の自然、海流、漁業などへの名古屋港のしゅんせつ土砂のあり方も問われており、大江川埋め立て土砂としての利活用の検討を求めます。
 今後、公害対策、自然環境保護などをすすめ、住民のみなさんの安心安全が保証されるよう求めて質問を終わります。

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