柴田民雄議員の個人質問②障害者が65歳になっても障害福祉を打切りにしない(2019年3月6日)

65歳になっても障害福祉を

障害福祉65歳打ち切りに違法の判決

【柴田議員】障害者の福祉制度を利用している人が、65歳になると、「介護サービスと類似のサービスについては、介護保険を優先する」という対応となっている実態があります。その根拠とされている規定が、障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)第7条です。この障害者自立支援法を巡っては、「基本的人権を侵害し、憲法に違反する」として法の廃止を求めた「障害者自立支援法違憲訴訟団」と厚生労働省との間で、「介護保険優先原則を廃止し、障がいの特性を配慮した選択制等の導入を図ること」などの項目を含む基本合意書を2010年に交わしていたにもかかわらず、その後2013年に施行された障害者総合支援法の中で、そのままの条文が残されてしまったという経緯があります。しかし、もともとこの7条の規定は、「二重給付を防ぐための他の法令による給付との調整」という項目であり、厚生労働省自身、自立支援法施行の翌年2007年の通知で、この7条の「介護保険優先」規定について、「一律に介護保険給付を優先的に利用するものとはしないこと」と、状況に応じて自治体が判断するよう求めています。
 しかし、窓口での対応には個別のケースによってさまざまばらつきがあり、65歳を迎える障害者の間には「機械的に介護保険の申請を強制されるのではないか」との不安が広がっています。
 岡山市で、昨年末、一つの重要な判決が出されました。65歳以降も障害福祉の重度訪問介護を継続してほしいからと、介護保険の申請をしなかった方が、障害福祉サービスを打ち切られたというケースで、利用者の方が岡山市を相手に、サービスの継続を求める訴訟を起こし、広島高裁で利用者側の勝訴が確定したのです。
 この判決文では、かつて厚労省が2010年に、内容も目的も異なる介護保険優先の原則の廃止の検討を約束したことも指摘しながら、介護保険の自己負担が障害者にとって負担であることも考慮し、むしろ障害者福祉優先にすべき場合はそうすべきだと、明確に示しています。
 そこで伺います。65歳での障害福祉の介護保険への切り替えについて、名古屋市での適用状況はどうなっているでしょうか。そして、この岡山の判決を受けて、名古屋市として今後どのようにしてゆくべきと考えているでしょうか、見解をお聞かせください。

介護認定申請を行わない障害者には、従来と同じ障害福祉サービスを支給する(局長)

【局長】障害者総合支援法第7条に基づき、ホームヘルプサービスなどの障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合には、基本的には介護保険サービスに係る給付を優先して受けていただく。
 障害のある方の状況等は多様であり、一律に介護保険サービスを優先させることだけで必要な支援を受けることができるとは判断できないため、必要に応じて障害福祉サービスでも支給決定をしている。
 岡山市の裁判での判決を受けての本市の見解は、現在国の考え方に沿って適切な対応を行っており、障害のある方が65歳に到達した時に困られることがないよう対応するとともに、国の動向にも注視していきたい。

障害者福祉サービスの継続希望者には、そのまま利用できるとの答弁は評価できる(意見)

【柴田議員】答弁で、介護保険優先の原則を一律に適用するべきでないとの考え方のもと、障害者福祉サービスを継続することを希望される方には、そのまま利用してもらっているということがわかりました。
 その答弁自体は良いと思いますが、その前提に色々たくさん言われるので、結局、介護保険を優先で申し込まなければならないのだ、もう障害福祉サービスは受けられなくなってしまうのだ、という誤解をしてしまう方も多くいるのです。国は介護保険優先と言っているけれども、障害福祉サービスが受けられなくなってしまうわけではないですよ、必要な障害福祉サービスを継続して支給できますよ、介護保険の申請はお勧めしているだけですよ、ということを、もっとわかりやすく説明することを窓口にも徹底していただきたい。
 次の段階としては、国の考え方に残っている介護保険優先自体が、論理的におかしいんですよね。介護保険はもともとあった障害とは別に、加齢による新たな心身の変化が原因で、要介護状態が拡大する部分が対象であるはずです。だからもともとあった障害に対する障害福祉サービスはそのまま利用できて当然なんだと、そのように考え方をすっきりとさせるべきなんです。
 名古屋市としても、その立場に立つ努力を独自にもしてほしいと要望して、私の質問を終わります。

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