柴田民雄議員の個人質問①介護保険料・利用料の市独自に減免制度を(2019年3月6日)

介護の負担軽減を

市独自の一般会計からの繰り入れで介護保険料・利用料の独自減免を

【柴田議員】消費税が上がって物価も上がり、介護保険料も年金から天引きされ、高齢者の暮らしは本当に大変だと悲鳴が上がっています。
 今回の予算で、消費税の10%への引き上げ分を原資とした介護保険料の引き下げが提案されていますが、これは国が全国一律に行うものであり、引き続き名古屋市が愛知県下で最も介護保険料が高いことに変わりはありません。
 私たちはそもそも逆進性の強い消費税には反対ですが、今回の引き下げ策には、国が1/2、県と市が1/4ずつを一般会計から投入するスキームになっています。国が先導して一般会計からの繰り入れを行うスキームを開始したのですから、市としても、さらに一般会計からの繰り入れを行って、独自の介護保険料の引き下げに足を踏み出せるタイミングがきたのではありませんか。
 そこで伺います、従来の答弁で「全国一律の制度だから」「国が一般会計からの繰り入れを禁じているから」などと繰り返してこられましたが、この国の変化を受けて、例えば、一般会計からの繰り入れを行って、第1第2階層、非課税世帯の介護保険料を0にするぐらいの独自軽減策を開始する考えはありませんか。

介護保険料・利用料の負担軽減は全国一律、法制度の枠組みで(局長)

【局長】介護保険制度は全国一律の制度であることから、本来、法制度の枠組みの中で対応するべきものと考えています。

低所得世帯向けに介護保険利用料の独自軽減策を

【柴田議員】利用料の自己負担も重くのしかかっています。表<介護保険利用料の減免を実施している市町村の例>のように、市民税非課税世帯に対して、訪問介護の利用料負担を半額にしている江南市など、県下の他都市では一般会計からの繰り入れも行いながら工夫と努力をしている例があります。
 こちらの地図のように、愛知県下の54自治体中7割38の自治体が、介護保険料・介護保険利用料のいずれか又は両方について、独自の減免制度を設けています。白い部分、わずか3割16の自治体だけがどちらの独自減免も設けていません。
 そこで伺います。規模の小さい他都市でできて、名古屋市が独自の利用料減免制度を作れない理由は何かあるのでしょうか。一般会計繰り入れも行って低所得者などの介護保険利用料の負担軽減に踏み出す考えはありませんか。

介護保険料・利用料の負担軽減は全国一律、法制度の枠組みで(局長)

【局長】保険料は、2015年度から、消費税率改定分を財源とした保険料軽減の拡充が講じられ、2019年10月からの消費税率10%に合わせて、更なる軽減強化を予定している。
 その際には、市独自の引き下げを継続したうえで、国の軽減幅の上限を適用して、低所得者の保険料を最大限軽減する。
 利用料は、法制度の枠組みの中で低所得者の利用料負担軽減として、2018年1月から認知症高齢者グループホームに入居する低所得への居住費の助成を行っている。
 保険料・利用料の負担軽減について必要な措置を、国に要望している。

介護非課税世帯からも保険料を徴収する厳しい制度を改めよ(意見)

【柴田議員】介護保険料・利用料の減 免制度ですが、そもそも、国民健康保険と並んで、非課税世帯からも徴収するという、根本的に弱者に厳しい仕組みになっている介護保険制度の「法制度の枠組み」によって苦しめられている市民を何とかして独自の制度で救えないかというのが質問の趣旨です。しかもその国の方が、一般会計からの繰り入れ禁止という原則をついに打ち破る制度を始めたわけですから、その考え方を受けて、前に進む機会が来たのではありませんか。
 今年度97億円もの予定外の税収増があり、地方交付税等が44億円も削られました。さらに市民税減税で120億円近い税収を失っています。本当に市民の苦しみに正面から向き合うなら、介護保険料・利用料の独自軽減策をさらに拡大する財源はあります。
 一般会計からの繰り入れを大胆に行い、介護保険料・介護保険利用料の大幅な独自減免を実現してほしいと強く求めます。

収入減少による介護保険料の減免申請期限の撤廃を

【柴田議員】介護保険料の減免制度の一つに、所得減少による減免制度があります。名古屋市の場合、この申請には「事由の発生時から6カ月以内に申請すること」と規定されています。
 先日ある方から生活相談を受けました。表の<相談者が減免申請できなかったケース>をご覧ください。その方の母親は、昨年2月までパートで働いていて体調不良のため退職し、それ以降、年金のみの収入で息子さんと生活しています。年金金額は1カ月あたり27,623円。糖尿病、白内障、骨折など医療費をそこから支払っている。その後9月の誕生日に65歳になり、名古屋市の介護保険第1号被保険者となりました。そこで初めて、前年度の所得に基づいて算出された介護保険料6,710円の請求が名古屋市から届き、とても払えないと窓口に相談します。ところが、収入の激減が起こったのは2月であり、そこから起算して6カ月の8月までで減免申請の期限は切れているから申請できないと言われたというのです。月27,000円余の年金収入に対して、6,700円余の介護保険料という過重な負担は、当然減免されるべきです。ところが、この介護保険料を知る前に、減免申請の期限が切れてしまうという、理不尽な落とし穴が開いているのです。
 ちなみに名古屋市の国民健康保険料の収入減少に伴う減免申請については、申請期限は設定されていませんし、他都市の介護保険料減免では、一宮市、豊田市などとくに期限を決めていない自治体もあります。
 この相談のケースでは、相談者は愛知県介護保険審査会に不服審査請求を行いましたが、この行政処分が規定違反ではないため「請求棄却」との判断でした。しかしその裁決書の本文とは別に、「別紙」を付けて、「本件の争点である保険料の減免申請の期間について、名古屋市においては」……「被保険者の状況によっては、細則による申請期限が条例の定めよりも早期に到来し、被保険者の不利益となりかねない事例も懸念される。」と本制度の矛盾点について、わざわざ指摘しています。
 この「被保険者の不利益となりかねない事例も懸念される」との指摘を重く受け止め、制度の改善に取り組むことが必要ではないでしょうか。見解をお聞かせください。
 また、表の<収入減少による減免制度の比較>のように、収入減少を理由にした減免制度の適用条件は、申請期限の問題以外にも国保と比較して極めて厳しい条件となっており、改善が必要です。引き続き改善を求めていきたいと思います。

介護保険料減免の申請期限は見直しを検討(局長)

【局長】市の所得減少の減免は、申請期限を収入減少理由の生じた日から6月以内と定めている。失業等収入減少理由が発生した直後は、一時的に無収入となり、納付困難な状況となるが、その後は就職や年金受給開始等により、一定の収入が得られることを想定している。
 しかし、65歳に到達する6月以上前に失業した場合は、本市の減免申請期限の規定により、減免が申請できない状況となるが、失業後一定期間を経過した後も病気などにより無収入が続き、給付困難な状況では、減免を適用する必要がある。そのため、65歳に到達する6月以上前に収入減少理由の生じた納付困難な方にも、減免が適用されるよう、減免申請期限のあり方について検討していきたい。

介護非課税世帯からも保険料を徴収する厳しい制度を改めよ(意見)

【柴田議員】所得減少による減免申請の6カ月期限問題ですが、減免が適用されるよう検討に入るという前向きな答弁をいただきました。どう考えてもおかしい落とし穴をふさぐだけの修正ですから、すぐにもやるべきです。できるだけ速やかに実現していただくよう求めます。