青木ともこ議員の個人質問②留守家庭児童健全育成事業 について(2019年3月6日)

学童保育の職員配置基準とプレハブ専用室の環境改善策を  

学童保育の職員配置基準は緩和でなく堅持を

【青木議員】留守家庭児童育成会、いわゆる「学童保育」は、保護者が就労等の理由で昼間家庭にいない児童が、放課後や夏休みなどに、安心して過ごせる「生活の場」です。
本市では6,000人近い児童が学童で過ごしていますが、小学1年から6年まで、子どもたちが思い思いに過ごす学童では、子どもの発達や特性を把握し、安心して毎日を過ごせるように、豊かな経験と専門的な知識をもった大人の、複数の目で見守ることが欠かせません。
 現在の学童運営基準は、2015年に定められたもので、国の省令により、1クラスおおむね40人以下の児童に対し、保育士や教員など、資格をもった指導員を原則2名以上配置することが、「従うべき基準」とされています。この基準は、保育の質を求める全国的な運動の高まりのなかで、ようやく実った大きな成果でした。
 ところが国は、学童の職員配置に関する基準緩和を閣議決定しました。その内容は、職員配置の「従うべき基準」を、「参酌すべき基準」に変更するもので、指導員が1クラス1人体制でも認めるという大幅な基準緩和です。
 国は、「指導員のなり手不足で待機児童が解消できない」実態があるからとしていますが、学童関係者から「子どもたちの安心・安全はどうなるのか」「保育の質は確保できるのか」といった大きな不安の声が寄せられています。そこで、子ども青少年局長にうかがいます。
 本市の学童運営基準に関する条例では、「国の省令の定めるところによる」とありますが、国の基準緩和の方針のもとでも、本市は現行の職員配置基準を堅持すべきと考えますが、いかがですか。見解をお聞かせください。

国の動向を注視し対応を検討(局長)

【局長】放課後児童健全育成事業における職員の配置基準は、「改正」が検討されていますが、まだ国から詳細な改正内容が示されていない。
 市としては、今後の国の動向等を注視しつつ、保護者や運営者の意見等を十分踏まえながら、対応について検討したい。

国の動向にかかわらず、市の職員配置基準は堅持を(再質問)

【青木議員】「国の動向を注視する」とのお答えでしたが、そのような消極的な姿勢でいいのですか。今回の方針の背景には、基準に見合う指導員を地域で確保できるだけの、処遇改善策を拡充してこなかった、国の施策の不十分さがあります。ようやく築いた学童保育の基準を、わずか4年で、なし崩しに後退させるわけにはいきません。
 学童には、保育の質と指導員の専門性が必要であるという認識をおもちでしょうか。本市には現行の学童職員配置基準を堅持していただきたい。子ども青少年局長の答弁を求めます。

配置基準は大変重要。慎重に検討する(局長)

【局長】放課後児童支援員は、高い資質と知識が求められる。放課後児童支援員等の配置基準は、国から詳細な内容が示されていない状況ですが、安心、安全で豊かな放課後等の居場所の確保を図るうえで、大変重要であると考えており、慎重に検討していきたい。

市の職員配置基準を堅持し、学童保育の質の確保を(意見)

【青木議員】職員の配置基準は大変重要である、とのお答えでした。それに尽きると思います。国の動向もありますが、指導員確保のための支援策を国に求めながら、本市も職員配置基準の堅持と独自の努力で学童保育の質の確保をめざしていただくことを要望します。

プレハブ専用室の環境改善策・・・ 快適に過ごせないプレハブ造りについての認識と支援策は

【青木議員】本市では、地域の育成会学童が3年以上借りられる土地を確保すれば、本市のプレハブ無償貸与制度を利用できます。現在、169カ所ある育成会学童のうち、このプレハブを利用しているのは約8割ですが、子どもたちが毎日過ごすこのプレハブが、快適に暮らせる環境とは言いがたい状況にあります。
 「夏は暑く、冬は寒い」、これが、プレハブに対する育成会のみなさんの共通の声です。昨年7月、名古屋は「命にかかわる」記録的猛暑に襲われました。学童では、屋外行事を中止して、子どもたちの安全確保に追われました。
 暑過ぎて外遊びができないので、室内へと思っても、外より暑いプレハブの中です。育成会のみなさんからは「逃げ場がなくて、図書館に子どもたちを避難させた」「エアコンが効かず、フル稼働してブレーカーが飛ぶ毎日」と、悲鳴があがりました。今度の夏が思いやられます。
 断熱性と保温性に乏しい軽量鉄骨造のプレハブでは、空調効率も悪く、育成会から本市へ「冷房代だけでもなんとか応援してもらえないか」と、要望がたびたびあがるのもうなずけます。そこでおたずねします。
 子どもたちにとって、プレハブが快適に過ごせる環境とは言いがたい状況を、どう受け止めておられますか。また本市として、専用室の環境改善のため、育成会に対しどのような支援を行ってこられましたか。子ども青少年局長、お答えください。

記録的な暑さに対して、各々が対応して運営できた(局長)

【局長】専用室は、遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画として提供しており、子どもたちが安全に過ごすことができるよう設置している。今年度は記録的な暑さとなったが、各留守家庭児童育成会において、暑さを緩和する対応を図りながら、子どもたちが安全に、安心して放課後等を過ごせるよう、運営していただいた。
専用室の環境は、国の基準にあわせた室内面積の拡充や、内壁の断熱効果の向上、一定期間経過時に行う修繕内容の充実など、保護者の意見等を踏まえながら、段階的に改善を図ってきた。

プレハブの環境改善に市は責任を持って対応を(意見)

【青木議員】学童のプレハブについて、育成会の努力も本市の対策も、プレハブの環境改善には追いついていないということです。猛暑をはじめ、気候が激変するなかで、子どもたちが暑さをしのげるかどうか、これはもう安全確保の問題です。プレハブの環境改善は、学童任せではなく、本市も責任をもってくださるよう、強くお願いたします。

専用室の快適な生活環境、地産地消、環境負荷軽減から木造化を

【青木議員】プレハブで子どもたちが快適に過ごせる環境を保つのは、限界に近づきつつあります。そこで、今回提案したいのが、「学童専用室の木造化」です。近年、学童など保育施設への木材利用を求める声が高まり、様ざまな研究が重ねられていますので、ここで紹介いたします。お手元配布の資料の②をご覧ください。


 木造建築の家は、断熱・保湿・防音性などに優れ、室内を快適な温度に保つ効果を発揮します。そのうえ、木は心身を健やかにする効果もあるとされ、文部科学省が公表したデータによると、学校施設の木材利用は、子どもたちの心をやわらげ、ストレスを抑制して集中力を高め、体調不良を訴える子どもが少なくなるといった結果も出ています。

 また、東日本大震災のおりに、福島県で木造の仮設住宅が6,000戸以上に採用され、居住の快適さが注目されました。また、昨年7月、西日本豪雨災害の被災地へ仮設住宅が移設され、再利用されました。木造専用室の実用化に向けた研究も進んできています。「落とし板構法」による専用室の場合、建てあげまでが約1,600万円。本市のプレハブ専用室が建てあげとリース料、撤去を含めて約1,800万円と、コスト面で課題はあるものの、木造構法には様ざまあり、コストや流通化の面での比較も十分に可能だということです。

 そして、今回私が専用室の木造化を提案した理由のひとつに、愛知の森林資源がたいへん豊富だということがあります。愛知県には、木材用の人工林が数多く、使い時である樹齢46年以上の割合も、全国平均51%に対し76 %で、毎年、スギ丸太にして200万本分が増加するものの、わずか2割しか利用されていません。有り余る森林資源を積極的に活用して、学童などに取り入れることは、地産地消と環境負荷軽減の点でも、その意義は大きいと考えます。

 また本市では、都市公園内で学童など保育施設の設置が可能となり、現在、複数の育成会において、公園内での学童開設に向けて、調整が進んでいるとお聞きします。公園の緑との調和を考えれば、プレハブよりも木造建築の学童がふさわしいのではないでしょうか。
 学童専用室の木造化は、子どもたちの健やかな成長にとっても、たいへん有意義だと考えますが、いかがでしょうか。コストや流通化の面で課題はありますが、愛知の豊かな森林資源を活用した学童専用室の木造化に向けて、検討調査にふみ出すお考えはありませんか。

まずは情報の収集に努めたい(局長)

【局長】木材の利用は、木材の持つ柔らかさ、温かさを取り入れることで、利用者に精神的なゆとりと安らぎを与えるなどの効果が期待できる。専用室の木造化は、設置費用や設置業者の競争性の確保など、現状では大変課題が多いので、まずは、情報の収集に努めたい。

木造化に向け、今すぐ研究を(意見)

【青木議員】専用室の木造化について、「まずは、情報収集に努めたい」とのことでした。これはぜひ積極的に取り組んで頂きたい。この先、空調効率の悪いプレハブで、暑さ対策に追われるよりも、安心快適で環境負荷軽減にもつながる木造化に向けて、いますぐ、研究を進めていただくことを要望いたします。

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