西山あさみ議員の個人質問①制服の自由化を(2019年3月4日)

子どもの声を聞き、制服自由化を

性別で固定しない選択制の制服導入と生徒主体の制服のあり方検討の場を

【西山議員】市立中学校の制服自由化に向けた検討について質問します。
 男性の詰襟、女性のセーラーが当たり前のようになっている制服ですが、最近ではブレザータイプなど新たな制服のカタチも出てきています。
 私自身は、毎日着る服を考えなくていい気楽さ以外のメリットを感じることがなかったため、制服をなくしてもいいのではないかと思っていますが、制服があったほうがいいとの声もあります。
 そこで今回は肢を広げるという観点から教育長に質問します。
 東京都世田谷区では、今年4月から制服のカタログに「男子用」「女子用」と明記せず制服を選べるようになりました。
 文部科学省では、2015年4月に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等 について」という通知を出し、服装や髪型などについても個別の支援をするようにとしていますが、好きな服を着たいだけで自らの性別違和をカミングアウトしなければならないというのはカミングアウトの強制です。
 市の男女平等参画推進なごや条例では、「女性及び男性は、性別による固定的な役割分担等を反映した社会制度又は慣行によってその活動が制限されることなく、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において自らの意思と責任において、多様な活動が選択できるよう配慮されること。」とあります。
 先日千種区のある中学校に通っていた私と同世代の娘さんをもつお母さんから、「娘は制服のスカートを履くのが嫌で学校に相談して3年間スラックスで通った」というお話しを伺いました。
 娘さんは身体的性別は女性で性自認も女性ですが、小さいころからスカートを履くのが嫌で、中学生になる時に女性だからとスカートに制限されることに違和感を覚えたそうです。
 お母さんは、中学までは義務教育であること、制服は支給されるわけではなく各自高いお金を払って買うのに選べないほうがおかしいこと、スカートは機能的ではないことなどを学校に伝えたうえでスラックスで通う許可を得たそうです。
 しかし、その際先生に「娘さんの足に傷でもあったらよかったのに」と言われ、その場では我慢してぐっと飲みこんだけれど、その言葉は今でも忘れることができないと話されました。
 娘さんは日本で女性として生きていくには生きづらすぎると高校2年生から日本を離れ、現在は海外で暮らしているそうです。
 東京都中野区では、サッカーの大好きな小学6年生の女の子が「スカートを履きたくない」とご両親に相談し、「無理やりスカートを履かせる時代ではない」とその思いを受け止めたご両親が進学を予定していた中学校へと相談。スラックス着用の許可を得ました。
 その小学生はさらにクラスメートにアンケートをとり、大半が「スラックスがいい」または「両方履きたい」との声があったと、結果を持って区長の元へ行き直談判。女の子の「制服自由化宣言をしてほしい」の訴えに行政も賛同し、男子はスラックス、女子はスカートとしていた制服の原則を見直し、好きな制服を選べる仕組みを順次導入する方針を示しました。

 パネルをご覧ください。これが中野区で導入される新しい制服です。男性でも女性でも、スカートでもスラックスでも着られるデザインとなっています。
 北九州市の教育委員会では、動きやすさ、防寒・暑さ対策等の課題に対応するため、抽出した公立中学校7校の1・2年生生徒と1年生の保護者を対象にアンケートをおこない、女性のスラックス導入だけでなく、今まで各校で着ていた詰襟・ブレザー・セーラー・イートンはそのままに、全市共通の標準服の導入に向けた具体的な検討をおこなっています。
 現行の制服か標準服かを選ぶのは生徒個人にまかせ、好きな服を選ぶことができるそうです。サンプルを試着した生徒からは、「動きやすい」「掃除のときにスカートの裾を気にしなくて済む」と声が寄せられているそうです。
 本市のなごや子ども条例の中には、第2条子どもの権利で「個人の価値が尊重されること。」「自分の考えを自由に持ち、及び表現することができること。」、学校等関係者の責務として「学校等関係者は、子どもの年齢及び発達に応じ、子どもが子どもの権利について理解し、及び自分の意見を表明することができるよう、必要な支援に努めなければならない。」としています。
 そこで教育長に3点伺います。
 ①性的マイノリティであるかないかに関わらず生徒自らの意思で選択できるよう「男子用」「女子用」と固定せず制服を選択できるようにすべきだと思いますが、現状と見解をお聞きします。
 ②動きやすさ、防寒・暑さ対策の面からもスラックスを導入し制服の選択肢を増やすことについて、見解を伺います。
 ③そのうえで、市が各学校に呼びかけ、自主性を尊重しながら生徒自らが参加し考えることも教育のひとつとしてとらえ、たとえば生徒や保護者らにアンケート調査をするなど、制服のあり方を改めて考える場を設けるお考えはありませんか。

制服の在り方は検討課題(教育長)

【教育長】①多くの中学校では、制服は「男子用」「女子用」と定められていますが、生徒や保護者から相談があれば、ケースに応じて適切に対応しています。特に、性的少数者とされる生徒からの申し出には、自認する性別の服装を認めるなどの配慮を行っています。
 ②教育委員会としては、差別や偏見をなくし、互いに尊重し合う生徒を育成することは大変重要であると考えており、制服の在り方は検討課題のひとつであると認識しています。
 ③誰もが自分らしく生きられる、人権教育の推進に努めて参りたい。

何よりも子どもの声を聞け

【西山議員】性別により制服を固定しないことについては、検討課題としか答弁されませんでした。そのうえで、多様性を認め合う人権教育の推進に努めてまいりたい。ここに矛盾は感じませんか。
 大人が作ったルールで多様性を排除しておきながら、多様性を認め合う人権教育が重要だ、この見解は全く理解できません。これは、予算のかかることでもありません。条例に照らせば検討するという段階でもありません。
 3月2日、豊橋市長が定例会見で“市立中学校で性別にかかわらず生徒が制服を自由に選べるようにする方針を明らかにした。「健やかに成長していくのに制約(制服に)は必要ないのではないか」と話し、2019年度最初の中学校校長会議で各校に制服自由化の方針を伝える。”と報道されています。
 そこで市長に再質問します。
 子どもの声を何よりも聞いて頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。性別により制服を固定化しないことについて、また、スラックス導入について市長の見解をお答えください。

生徒さんで率直な議論を(市長)

【市長】このことについては完全に賛成でして、市長が決めるよりも、一遍生徒さんで、率直な議論を1年ぐらい、制服側の意見もそれぞれ聞いて判断することになると思う。
 日本の教育は国連から4度も警告を受けている。小学生はみな好きな服着てる、中学で着たって何も悪いことは無い。それで貧富の差がどうのというのは全然関係ないと思います。
教育長も自由な頭で、生徒さんが新年度からそういう議論が巻き起こったと、先生が変な風に誘導しないように、自由に議論してくれるとありがたい。

大人が実践することが、何よりも子どもたちの人権教育に繋がる(意見)

【西山議員】賛成だと言うことでしたので、是非きちんと進めて頂きたいと思います。大人が決めるのでは無くて、子どもたちが決めると言うことをベースにして頂きたいともちろん思います。子どもたちに教えるという事では無くて、大人が実践することが、何よりも子どもたちの人権教育に繋がると思います。
 市長にはぜひ、「制服自由化宣言」をしていただいた上で、子どもたちの意見を聞くと、そういう場を求めます。