名港議会 高橋ゆうすけ議員の一般質問②しゅんせつ土砂処分計画(2018年11月5日)

しゅんせつ土砂処分計画について
              高橋ゆうすけ議員

国が提案した中部空港へのしゅんせつ土砂処分で、港内処分という現行の港湾計画をやめるのか
【高橋議員】本港のしゅんせつ土砂処分計画について質問します。
 この件については、本年6月定例会で質問をいたしましたが、本港のしゅんせつ土砂の処分地として、国が中部国際空港沖を新たな候補地として選定したとの報告を受けて、改めて質問いたします。
 名古屋港内では泊地・航路を確保するために、庄内川などの河川から流入する土砂などを毎年約30万㎥しゅんせつ、加えて国際競争力強化のための増進も行っており、合わせて60万から70万㎥の土砂をしゅんせつしています。
 本年6月定例会で私は、「名古屋港内で発生したしゅんせつ土砂は、港湾計画で位置づけられている埋め立て予定地での処分・活用が優先されるのか」と質問し、「安定して受け入れていくことができるよう取り組んで」いくと答弁されました。もともと、港湾計画では、しゅんせつ土砂の発生と受け入れの整合性が図られなければなりません。中部国際空港沖への処分はその整合性が図られるのでしょうか。港外へ負担を押し付けるものになるのではありませんか。
 そこで質問いたします。 今回国が提案した、中部国際空港沖を候補地としたしゅんせつ土砂処分について、現在の港湾計画との整合性をどのように考えているのでしょうか。また、現在の港内での埋め立て計画は中止されることになるのでしょうか

 

 

関係機関と協議しながら、適切に対応し、既存の埋立計画の取扱いも、本港を取り巻く環境変化や関係者との調整を踏まえ、適切に対応する(室長)
【企画調整室長】国は、新たな土砂処分場についで中部国際空港沖を候補地として、現在、環境影響評価手続きを行っています。
 しゅんせつ土砂処分に関する港湾計画の整合は、今後、国を始めとする関係機関と協議しながら、適切に対応していくとともに、既存の埋立計画の取扱いについても、本港を取り巻く環境変化や関係者との調整を踏まえ、適切に対応します。

地元の反対の声があるのに処分計画を進めてはならない
【高橋議員】中部国際空港沖への埋め立ては、この海域で漁業を営む方たちにとっても大きな影響があります。2017年3月から5月に募集された中部国際空港沖公有水面埋立事業環境影響評価方法書に対する意見では、漁業関係者から「空港の工事中・完成後において重大な影響が出ている。海苔・あさりについては想像以上に悪い状態。その上さらにしゅんせつ土砂を埋め立てるのは容認できない」「空港島の埋め立てによって海流・潮流の流れの変化によって、環境が悪化され、漁場が失われ、アサリ・コウナゴなどが禁漁となるなど悪化の一途をたどっている。などの意見も寄せられています。自分たちの生業に大きな影響があるのですから、当然の意見です。今後、環境アセスが行われるとのことですが、すでに出ている意見へ耳を傾けることは大切なことであり、管理組合の責任です。
 そこでお聞きします。しゅんせつ土砂の埋め立てに容認できないという地元の声に対して管理組合としてどのように受け止めているのか、また、国は候補地として示したわけですが、地元の反対の声があるまま処分場としての計画を進めていくことはしてはならないと考えますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。

(10月26日議員総会の説明資料より)
新たな土砂処分場の確保への取組
【現況】名古屋港内は既に高度利用されており、大規模な土砂処分場を計画することが困難な状況であることから、国は、新たな土砂処分場について、総合的な視点から、中部国際空港沖を候補地として選定した。現在、環境影響評価の準備書の手続きを進めている。
【今後の取組】本組合は、新たな土砂処分場の早期確保を目指し、名古屋港港湾計画の位置付けや必要な事業費の確保など、国や愛知県及び名古屋市などと連携し、漁業関係者の理解を得ながら鋭意取り組んでいく。
「中部国際空港沖公有水面埋立事業」の環境影響評価方法書(2017年3月)
埋立地の計画容量 3,800万㎥
  港湾機能の強化や維持により発生する土砂等 3,200万㎥
  港湾機能の強化や維持により発生する土砂 1,200万㎥
ポートアイランド仮置土砂 2,000万㎥
中長期的に必要な港湾機能の維持により発生する土砂(維持浚渫 30万㎥/年 × 20年) 600万㎥

空港沖は多様な生物の生息場であり、漁業にとって重要な海域という認識を持つ。事業を進めるおりには、様々な意見に対して十分に説明していく(室長)
【企画調整室長】国が実施した調査によりますと、当該海域は多様な生物の生息場であり、漁業にとって重要な海域とされており、本組合としましても、これと同様な認識を持っています。当該事業を進めるにあたっては、様々な意見に対して十分に説明していくものと考えています。

港内の埋め立て処分計画がどうしてもできないなら計画を見直す必要がある(意見)
【高橋議員】将来、新たな処分計画は考えなければならないとは思う。しかし、現在ある計画では、ポートアイランド南側や南5区の南側など、今後調整が必要となっている埋め立て計画が残されています。まずはそこが優先されるべき場所であるはずですが、そこについては何も言及せずに、それよりも新たな処分場の必要性を強調する。順番がおかしいのではありませんか。6月定例会では、港内の埋め立て予定地の状況について、「事業実施の目途が立っていない」「事業採算性の確保が難しい等の課題があることから、事業化を見合わせている」という答弁もありましたが、計画している港内での処分計画がどうしてもできないというのであれば、その理由を明らかにして、まずは計画を見直す必要がある、そのことは強く指摘をしておきます。

合意が得られない限りは計画を進めないということか(再質問)
【高橋議員】管理組合としても、中部空港沖の海域が漁業にとって重要な海域であると認識しているとのこと。であれば、生活に直結する漁業関係者の理解を充分に得られると考えているのですか。十分に説明しながら進めていくとの答弁でしたが、合意が得られない限りは計画を進めないということですね。お答えください。

漁業関係者の合意を得ることは大変重要。国の調査や検討結果を踏まえ、漁漁業係者への十分な説明と対話を重ねながら、合意が得られるよう努める
【企画調整室長】当該事業を進めるに当たっては、漁業関係者の合意を得ることは大変重要であると認識しています。国は、「埋め立てた際の漁業への影響の調査結果等を踏まえて、生態系動物への影響を明らかにした上で、環境影響緩和策等について検討し、環境影響の低減に努める」としています。
 これらの調査や検討結果を踏まえ、漁漁業係者への十分な説明と対話を重ねながら、合意が得られるよう努めます。

しゅんせつ土砂をいかに減らしていくか、このことに力を尽くすべきであり、港外の処分場に期待するようなことはやめるべき(意見)
【高橋議員】しゅんせつ土砂処分場について、漁協関係者への合意を得ることについては大変重要と認識を示されました。しかし、答弁では、十分な説明と対話を重ねながら、合意が得られるよう努めていくとしただけで、合意がない限りには進めないとは名言されていない。もし計画を進めていくとしても、漁業で生業を立てている方々への補償、想定以上の環境への負荷など考えなければならない問題は多々ある。計画している港内での処分もままならないのに、外に持ち出すことに見通しが立つのかということも非常に疑問があります。国からも指摘されていたが、しゅんせつ土砂をいかに減らしていくか、このことに力を尽くすべきであり、港外の処分場に期待するようなことはやめるべきと強く申し述べて、私の質問を終わります。

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