2018年9月定例合

江上博之議員の議案外質問(2018年9月25日)

バリアフリーや石垣修復問題など課題が山積する名古屋城天守閣整備事業は見直すべき
                             江上博之 議員

10月の文化庁文化審議会には申請できないとはっきり言え
【江上議員】名古屋城天守閣整備事業の見直しを求めて質問します。
 第1に、事業は今どのようになっているのかです。21日の答弁で、文化庁の「現状変更許可」は、「時間的に大変厳しい」とありました。申請そのものも行っていないことも明らかです。その経過も含めて、7月4日から21日の答弁まで3か月近く市民や議会に何ら報告されていないことが問題です。6月議会は7月4日閉会しました。その後、有識者による「石垣部会」や「天守閣部会」が開催され、河村市長が、7月26日、8月3日、文化庁と話し合い、市長は、「基本計画の見直しに1か月ほどかかる」「9月上旬提出」と報道されていました。
 しかし、議会閉会以後、事業が今どうなっているのか、市民にも、議会にも報告されていません。9月議会でも審議の予定はありません。名古屋市は、10月の文化庁の文化審議会で「許可」を得るのは厳しいと答弁していますが、まだ、ありうるかのようなことを言っています。
 そこで質問します。3か月近くの間どのようなことが行われたのか明らかにしてください。そして、事務手続き上、10月の文化審議会に諮ることはできないことを明言してください。

10月文化審議会は時間的に大変厳しい(局長)
【観光文化交流局長】7月13日に石垣部会、19日に天守閣部会を開催し、基本計画書案について、それぞれの部会で頂いた意見を反映したものを文化庁に提出する計画でした。
 しかし、石垣の保存方針について、有識者と認識の一致を見ていない事を文化庁から指摘されたことにより、基本計画書案の提出を見送りました。その後、石垣の評価や保存対策について再検討し、今後実施する調査に基づき、特に北面の孕み等、緊急性の高いものについては優先的に対応するなど、石垣保存方針を見直していますが、9月下旬となり、10月の文化審議会は時間的に大変厳しい状況です。

石垣保全について、石垣部会と名古屋市で食い違っているのではないか(再質問)
【江上議員】「10月文化審議会に諮ることはできないとの明言」を求めましたが、「大変厳しい状況」と繰り返すだけでした。現天守の解体を考える前に、先に天守石垣保全修復を求めましたがこれも回答がありません。では、なぜ、回答しないのか。
 「石垣の保全方針について、地元有識者と認識の一致をみていないことを文化庁から指摘された」と答弁がありました。名古屋市は、「今後実施する調査に基づき、特に北面孕み等、緊急性の高いものについては優先的に対応」し、天守閣修復後に本格的な石垣の修復を行っていくという二段階の主張です。一方、有識者の皆さんは、一般的には復元建物整備より石垣保全が最優先ということです。新聞で、「市側から有識者を納得させる案は示せなかった」とも報道されています。ここが有識者と名古屋市の「認識の一致をみていない」点と理解していいでしょうか。お答えください。

石垣部会は「石垣保全が最優先で、市の石垣保存方針では不十分」という(局長)
【観光文化交流局長】石垣部会は、「天守台石垣が深刻な状況にあり、石垣の保存について検討し必要な措置を取ることが最優先であり、市の示した石垣の保存方針では不十分」と考えていると認識している。さらに専門的な助言を得ながら、石垣保存方針を検討し、石垣部会と一致した認識で事業を進められるよう努めている。

現天守は文化庁からも高く評価されている。解体しない検討を
【江上議員】第2に、現天守閣の価値の高い位置づけから、現天守を解体していいのか、という点です。
 7月19日の「天守閣部会」で、文化庁に提出予定の「基本計画案」が提出されました。その内容を読むと、「現天守の価値」や「天守台石垣の保全と安全対策」ついて、昨年12月25日市議会に提出された「案」から大幅な加筆がされています。この間、文化庁とのやり取りで、一つは、「戦後都市文化の象徴であるRC(SRC)造天守を解体するにはなお議論を尽くす必要がある」もう一つ「天守解体及び木造天守建築時における、天守台石垣に対する影響」などが意見として出されその回答が名古屋市に求められています。その回答として、「現天守の価値」を記述していると思われます。5点ほどに整理しています。
 1点目に、戦後復興の象徴として名古屋のシンボルとしての役割がある。
 2点目に、「市民の機運-熱意―の高まりにより再建された」。
 3点目に、豊富な史資料に基づく外観「復元」で、その「精度―精密さーは、他の城郭には見られない名古屋城の特徴であると位置づけることができる」。
 4点目に、鉄骨鉄筋コンクリート造建築物としての価値として、「外観は焼失前の天守閣と寸分も違わぬ姿に復元されるなど、当時の建築技術の水準を表わすものとしても現天守は評価できる。」「内部についても、2つのらせん階段や人造大理石の柱など、近代建築技術の粋を集めた造作が施され、『モダニズム建築』としても文化財としての価値を今日有するものと評価されている。」「二度と焼失することのないようにという願いも込められていたのである」と記述しています。
 5点目に、博物館としての機能と活用があげられています。
 そこで質問します。これだけ価値のある現天守を解体していいのでしょうか。市民の思い、文化財としても残す選択肢を考えるべきではないでしょうか。

木造復元の意義を丁寧に説明し、復元を進める(局長)
【観光文化交流局長】保存活用計画において「現天守閣の価値を超える木造復元の意義を丁寧に説明することを前提として、整備方針は木造とし検討を進める」として、天守閣の木造復元を進めている。
 現天守閣には、戦後の復興期に、市民の機運の盛り上がりによって再建された名古屋のシンボルであることなど、大きな価値がありますので、現在の天守閣を解体するにあたっては、VRや映像など、様々な方法で記録を作成し、その価値を広く発信して、後世へとつないでいきたい。

まず特別史跡の石垣を保全修復すべき
【江上議員】第3に、特別史跡の本物である石垣保全・修復について、文化庁から回答を求められている石垣問題についてです。
 石垣について、有識者から、天守台北側のふくらみ、ハラミと言っているようですが、「約100センチ孕みだしている」と記述されています。7月13日の石垣部会で有識者から、内部が空洞の可能性があり「危機的な状況」「深刻」といわれています。「一般論として、復元建物を整備するにあたり石垣の保全を後回しにすることはない」とも指摘されています。石垣保全・修復が先と言っているのです。しかし、名古屋市の計画では、天守は、石垣に負荷をかけないから、石垣の保全、修復は、木造完成後9年間で行う計画になっています。
 そこで質問します。現天守解体を考える前に、特別史跡である石垣の保全修復を先に進めるのが当然ではありませんか。

石垣の修復は、詳細調査の成果に基づいて現況を把握したうえで保存方針を立て、適切な対応を行う(局長)
【観光文化交流局長】調査結果を報告した本年7月13日の石垣部会で、天守台石垣北面が強く孕み出しており、きわめて危険な状態であることが指摘されました。石垣の修復は、詳細調査を進め、その調査成果に基づいて、石垣の現況を把握したうえで保存方針を立て、適切な対応を行っていきます。

最上階への階段が1か所の現計画では安全性に問題があり、入場制限が必要になるのでは
【江上議員】第4に、天守最上階への階段についてです。
 7月19日の天守閣部会の有識者会議では、災害時の避難について提案されました。現在の竹中工務店提案では、「4~5層も木造階段を追加し、各層すべて2か所ずつの階段設置をすることで、昇り・降りの一方向観覧者ルートを実現し、観覧経路のボトルネックをなくします」という案がありました。ところが、今回の提案では、4~5層は一か所の階段だけで、追加階段計画はない、としています。最上階の5層は、展望階となります。最も多くの人が訪れたいと思っている階です。その層の階段は、幅1m50センチで45度程度の角度で昇り降りするというものです。しかし、1か所になれば、人の流れは止まり、入場者を制限することになるのではないでしょうか。また、入場制限をすることになりますから入場者数も想定より少なくなるのではないでしょうか。
 そこで質問します。最上層への階段を1か所にすることによる観覧者の安全や、入場制限の必要性がでてくるのではないでしょうか。どう考えているのでしょうか。

管理運営面の工夫で対応する(局長)
【観光文化交流局長】史実に忠実な復元とするため最上階への階段を1か所としているが、管理運営面の工夫で安全面を確保すると共に、出来る限り入場制限をせず、多くの方が観覧できるよう努めたい。

2022年完成の天守閣木造化にこだわるな(再質問)
【江上議員】有識者との「認識の一致をみていない」点について、有識者は石垣保全が最優先に、つまり、現天守解体前に石垣保全という私の理解を局長は、否定しませんでした。有識者と市が認識を一致するのは簡単ではないと、名古屋市は認識しているのではないですか。来年5月の文化審議会での「許可」も難しいと明言すべきです。これが言えないのはなぜか。2022年木造化完成にこだわっているからではありませんか。河村市長に質問します。
 日本共産党市議団は、8月から市政アンケートを行っています。現時点で1万件ほど返信があり、そのうち1200件について集計しました。「名古屋城天守閣の今後のあり方について、どうお考えですか。」に対し、市長提案の「2022年完成目標で木造化する27%」、「いったん立ち止まり、改めて検討する32%」「耐震補強などを行い木造化は行わない27%」、で市民の意見は分かれています。市長がこだわっている「2022年完成」に市民合意はありません。
 石垣保全修復が第一といわない。現天守の「大きな価値」があると市は認めているのに解体しようとする。計画する木造天守の安全性、エレベーター問題もあります。2022年完成の天守閣木造化にこだわることが、すべての問題の原因となっています。いったん立ち止まって市民の声を聞くために計画を見直すことを求めます。市長お答えください。
見直すつもりはまったくない(河村市長)
【河村市長】市長選挙で公約に掲げており「まあ一回河村さんがんばってちょう」と、こういう風になったのがまず一つ。
 もう一つは議会で議決をいただいており、これは私に対する一つの命令ですので、それに従って実行していかなければいけない。
 それと、IS値が0.14と本当に危険極まりない建物になっておりますので早く解体する必要がある。僕の考えでは下で工事やっているひとも本当に危ない状況だ。一階は瓦ですので、それが落ちてきたりする可能性も十分ある。
 それとやっぱり国宝一号として名古屋の空にずっと333年間輝いてきた城を、図面があることから本物に復元して、あと千年残していくことは私どもの今名古屋に生きる人間の使命だと思っておりますので、見直すつもりはまったくありません。

耐震改修を放置してきたのは市長だ。市民の声を聞くためにいったん立ち止まり、計画を見直せ(意見)
【江上議員】耐震化問題は2009年に分かっていたことであって、市がやってきていない、河村市長になってからもとっくに分かっていた、そういう問題である事を指摘しておきます。
 できないことはできないと市民に明らかにすることも市長の責任です。
 505億円もの事業が、この3か月間、市民や議会は、事業がどうなっているか知らされていません。市民の置き去りの事業は、見直すべきです。
 名古屋へ人を呼び寄せるための観光資源としての名古屋城でなく、文化財としての価値がある名古屋城をどう保存するか問われております。文化財保護より観光という考え方を改めることです。
 2022年完成の天守閣木造化は中止し、いったん立ち止まって市民の声を聞け。そのために計画を見直すことを求めて質問を終わります。

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