2018年6月定例会

くれまつ順子議員の議案外質問②(2018年6月26日)

ヒバクシャ国際署名に賛同を
   くれまつ順子議員

被爆者の体験を次世代に継承する取り組みを
【くれまつ議員】核兵器のない平和な社会をめざし、本市の平和事業について、質問します。
 広島・長崎の原爆投下の8月6日、9日には、原水爆禁止世界大会が開かれます。そして大会をめざして、全国から広島まで「核兵器廃絶を訴える平和行進」が行われています。今年は平和行進が1958年から始まって60周年。私も瀬戸・尾張旭・守山コースを歩きました。
 先日私は、平和行進のプレ企画で、守山区在住の被爆者の方からお話をお聞きしました。「自分は当時生後9カ月、原爆投下時のことはわからないので見聞きした被爆の実相を再現する努力をしているが、被爆者の会に参加している方の中で被爆体験を語れる人が少なくなっている」、とのことでした。平和行進を歩いた終わりのまとめの会では、被爆2世の瀬戸市在住の女性が、黒焦げになった人間のパネルを前に、父親をだびにふすというつらい体験をお話されました。こうしたお話を聞いて、私は、被爆者の話を直接聞く場をもっともっと増やすことが、大事であると痛感しました。核兵器が最悪の兵器であること、人間を一瞬にして死においやるものであることを、戦争を知らない、被爆を知らない人々に知らせていくことこそ、今なお世界中に存在する1万数千発もの核兵器をなくしていく力になると私は思います。
 こうした被爆の実相を広げていく本市のとりくみの一つとして、「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」で昨年8月から愛知県在住の被爆者の証言映像が視聴できるようになり、私は、広島で被爆されたという堀三郎さんの原爆投下当時の話を視聴してきました。堀さんは「ぴかっと音がして、爆風で工場がつぶれるんじゃないかと思った。爆心地から約6km。けがはなかったが、上空に湧き上がる『原子雲』や町中を包んだ死の臭いなどを今でも鮮明に覚えている」と語っておられました。堀さんは、90歳になられて、鼻に酸素吸入器をつけて心臓の病気などとたたかいながら、被爆体験の語り部活動を続けておられます。被爆の実相を広く市民に伝えていくことが大事になっていると考えます。
 そこで、被爆の実相を伝えるとりくみを2つ提案します。
 一つは市が主催して原爆パネル展や被爆者の方の体験談を聞く会を「戦争に関する資料館」で企画しませんか。総務局長に伺います。
 二つは、小学校、中学校、高校での被爆体験を聞く会を教育委員会が呼びかけて企画しませんか。教育長に伺います。

戦争体験談を次世代に継承していくことは重要(山本総務局長)
【山本総務局長】「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」で、戦争資料の常設展示及び戦争体験談の放映等を行い、区役所等での出張展示も実施している。
 被爆の実相を伝える取り組みは、昨年8月に「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」において、通常の戦争体験談の放映に代えて、愛知県民で広島・長崎で被爆した方の体験談を放映した。その後は、希望された時に館内で閲覧できるようにしている。
 戦争体験談を次世代へ継承していくことは重要であると認識しており、今後も様々な取り組みを行っていきたい。

被爆体験を含む戦争体験を聴く会などの 取り組みを進めたい(杉崎教育長)
【杉崎教育長】児童生徒に戦争が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させ、平和を願う態度を養うことは重要であると認識しており、これまでも各学校において、社会科や総合的な学習の時間、修学旅行などで、被爆体験を含む戦争体験を聴く機会を設け、戦争に関する事柄を学習するなど、様々な取り組みをしている。
今後も、各学校が創意工夫をしながら児童生徒が平和の大切さを学ぶ取り組みを進めたい。

市が購入した原爆パネル展の積極的な活用、被爆の実相を聴く取り組みを学校でももっと進めよ(意見)
【くれまつ議員】総務局長からは、さまざまな取り組みを行っていくとの答弁でした。原爆パネルを市が購入されたと聞いておりますが、ぜひそのパネルを戦争資料館ですとか、区役所や生涯学習センター等、市の施設で展示してください。積極的に活用するよう要望します。
 教育長からは、各学校において被爆体験を含む戦争体験を聴く機会を設けているとの答弁をいただきました。被爆者の方はご高齢です。直接お話を聞ける時間はだんだん少なくなっていくわけです。急いでください。小学生、中学生、高校生に、一人でも多く被爆者の方から原子爆弾の恐ろしさを聞く場をさらに増やしていただきますことを要望します。

市長は「ヒバクシャ国際署名」に賛同を
【くれまつ議員】今、核兵器のない平和な社会をめざし、世界が大きく動いています。4月末の南北朝鮮の首脳会談に続き、6月12日には史上初の米国と北朝鮮の首脳会談が行われました。いま、朝鮮半島の非核化と平和体制の確立に向けた努力が始まろうとしています。北朝鮮が核実験場を爆破し、ミサイルの発射も中止、非核化を世界に約束したのは、歓迎すべきことです。戦争だけは避けなければ、核戦争は避けねばという世界の世論がこの米朝首脳会談につながったのではないでしょうか。
 特に、「生きているうちに核兵器廃絶を」という被爆者のみなさんの命がけの運動がこういう「朝鮮半島の非核化へのプロセスの開始」に大きく貢献したものと思います。この流れを受けて日本政府もようやく圧力一辺倒の姿勢から「対話」に意欲を示すようになりました。政府は、この際、核兵器禁止条約に反対してきた姿勢もあらためるべきだと私は考えます。朝鮮半島において非核化と平和体制を作りだしていく上でも、世界中にある核兵器をなくそう、核兵器廃絶の世論を大きく広げることが大事です。
 そこで、市長に伺います。ヒロシマ・ナガサキの被爆者がすべての国に対して核兵器を禁止し廃絶する条約の締結を求めるヒバクシャ国際署名に今こそ、賛同されませんか。朝鮮半島は今緊張がとけて平和へと動き出しています。署名賛同の国内自治体首長は1096人、政令市20自治体では14人の政令市の市長に広がっています。市民の願いは核兵器のない世界です。大都市名古屋の市長が賛同されれば、被爆者の方をはげますでしょう。署名をされて、今年の平和首長会議国内加盟都市会議に胸を張って参加されたらいかがですか。

空襲被災者のための施策などを精一杯やっている(河村市長)
【河村市長】名古屋市はほぼ日本で初めて空襲被災者への施策(民間戦災傷害者援護見舞金)を議会の皆さんの賛同も得て行っており、今年度も予算を増やしている。また、千種公園に碑(民間戦災障害者の碑)を建てている。そんなことで精一杯のことは、やっています。

朝鮮半島の非核化が進展している。ヒバクシャ国際署名に賛同を(再質問)
【くれまつ議員】ヒバクシャ国際署名への賛同について、明快な答弁を市長に期待しておりました。空襲被害者の方の苦しみを受け止めておられる市長。原爆投下の被爆者の苦しみも同じように深く受け止めていただけるのではないでしょうか。
 米朝の首脳が握手をし、朝鮮半島の非核化に動き出しています。歴史が動いています。ヒバクシャ国際署名の賛同をもとめて、私たち4回目の質問になります。今、署名に賛同してください。平均年齢82歳を超えた被爆者のみなさんと共に、市民の願いに応えて賛同してください。

一般空襲の被害者の補償を行っている(市長)
【河村市長】核兵器の恐ろしさはよう分かっていますし、唯一の被爆国として考えていることはありますが、名古屋市が一般空襲の被害者の補償を行い、碑まで建てているということは名古屋の功績として後世に残るものです。私たちはそれを非常に大事にしているということです。

ヒバクシャ国際署名に賛同して平和首長会議に出席を(意見)
【くれまつ議員】同じような答弁でとても残念です。名古屋市は平成25年(2013年)に平和首長会議に加盟しています。それから5年が経過しています。今年の首長会議は岐阜県高山市で開かれます。ぜひ、ヒバクシャ国際署名に賛同して平和首長会議に出席されるよう重ねて要望して、私の質問を終わります。

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