2018年6月定例会

西山あさみ議員の議案外質問(2018年6月22日)

同性パートナーの市営住宅への入居を認めよ
西山あさみ議員

各地に広がっているパートナーシップ制度
【西山議員】最近ではLGBTや性的マイノリティの認識が広がり、本市においても2014年の市民アンケートでは「セクシャルマイノリティ」という言葉の認知度は33.4%でしたが、2年後の2016年には65.6%と30ポイント増加し市民の中での理解も進んできています。
 また、昨年からLGBT当事者議員が立ちあげたLGBT自治体議員連盟が発足し、全国から約200名の議員が加盟していることもこの間の大きな動きとして注目されています。
 この間さまざまな自治体でパートナーシップ制度がつくられ、公営住宅への入居を可能にする自治体も増えています。
 さて、男女の夫婦が法律上の婚姻をせず事実上の夫婦になることと同じように、パートナーシップ制度があっても、性的マイノリティの方々も制度を利用するかどうかを選択する自由があります。
 そして、本来であればパートナーシップの制度がなくても差別や偏見がなくマジョリティである男女の夫婦と同じ扱いを受けることができるのが望ましいことは言うまでもありません。

パートナーシップ制度の導入状況
導入済み
  東京都渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市
  沖縄県那覇市、北海道札幌市、福岡県福岡市
・導入決定
  中野区(8月)、大阪市(9月)
・導入予定
  千葉市、長崎市  など

パートナーシップ制度がなくても公営住宅への入居可能をする自治体も
 そこで今回は、市営住宅の入居にしぼって質問をさせていただきます。
 現在、本市の市営住宅への入居申し込み資格には、「原則、夫婦または親子の世帯であること」とあります。婚約者とであれば申し込むことはできますが、入居契約までに婚姻をすることが条件となっています。また、内縁関係でも申し込むことはできますが、住民票に“未届けの夫・妻”と記載されていることが条件となっており、“同居人”の場合は申し込むことができないとなっています。
 東京都文京区では、「セーフティーネットとして困っている人に制度が行き届くこと」を目的として、パートナーシップ制度などの公的認証制度はないものの、公営住宅の同性カップル等の入居を可能にするための条例改正をこの6月議会に提出しています。これは同居親族に係る要件について、親族の定義に“事実上親族と同様の事情にある者として規則で定める者”という文言を加えて同性カップル等の入居も可能にするものです。実際の運用には同性パートナーを証明するものとして公正証書を提出するなどし、“事実上親族と同様の事情”であることを証明するそうです。方法はさまざまですが、自治体独自の努力が進んでいます。

名古屋市は「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」の入居を認めているが
 名古屋市営

住宅条例第5条では入居者の資格について、「現に同居し、又は同居しようとする親族(婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)があること。」となっています。文京区が条例に入れて同性カップル等の入居を可能にしようという“婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者”という文言は本市の条例にはすでに盛り込まれています。
 住宅都市局長に伺います。
現在、名古屋市営住宅条例にある“婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者”について、同性パートナーは該当するかどうか、見解をお答えください。

名古屋市営住宅の入居資格
「現に同居し、又は同居しようとする親族(婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)があること」

多様性を認め、差別や偏見をなくし、法の下の平等からも、入居できるように日本政府は同性パートナーの公営住宅への入居を認めている
 2008年、国連自由権規約委員会は、婚姻していない同性カップルが公営住宅を借りられない例などを挙げ「未婚の異性の同棲カップルと同性の同棲カップルが平等に扱われるよう確保すべきである」と日本政府に対して勧告をしています。
 その後、2012年に同委員会に提出された第6次日本政府報告書では「2012年の公営住宅法の改正に伴い、親族関係にない同性の同居を含め、同居親族による入居者資格の制限はなくなっている」としています。
 また、2013年には同委員会からの「同性カップルが公営住宅制度から排除され続けているとの報告につき、コメント願いたい」との質問事項に対し、日本政府は「第6回政府報告にあるとおり、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(2012.4.1施行)による公営住宅法の改正により、いわゆる同居親族要件は撤廃したところであるから、法制度上、同性カップルは公営住宅制度から排除されているわけではない」と回答しています。
 つまり、日本政府は同性パートナーの公営住宅への入居を認めているのです。
多様性を認め差別や偏見をなくすことと同時に、法の下の平等という観点からも現状の公営住宅の入居申請要件を見直し、同性パートナーも申請できるようにすべきと考えますが、住宅都市局長の見解を伺います。

住民票での資格審査で確認できず、入居は困難。市全体の議論の中で検討する(局長)
【住宅都市局長】性的マイノリティの方への偏見や差別的な取扱いは、人権に関わる重要な問題と考えている。
 一方、市営住宅は、住宅に困窮する所得の低い方のための住宅であり、入居にあたって一定の資格要件を満たす必要があるので、手続きには厳正な審査が必要となる。
 市営住宅条例に定める「婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの」は、いわゆる内縁関係が法律婚に準ずるものとされているので、市営住宅の入居資格として内縁関係にあるかたを対象としています。
 実際の入居者資格の審査では、住民票の続柄欄を確認することで内縁関係の確認を行っているが、同性パートナー同士での市営住宅への入居にあたっては同様の確認ができないため、 本市において同性パートナーシップ制度等の運用がない中で、入居者資格の厳正な審査を実施することは困難。そのため本市における同性パートナー同士での市営住宅への入居は、市全体における議論の状況を踏まえた上で検討したい。

「多様性の主義者」を自認する市長としての対応は(再質問)
【西山議員】同性パートナーの公営住宅の入居を可能にしている自治体の一つである那覇市の「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言には、こう書かれています。
 “人がどのような性を生きるか、また、誰を愛し・愛さないかは、すべての人が幸福に生きるために生まれながらにして持っている権利、すなわち人権であり、誰もがその多様な生き方を尊重されなければなりません。”
 私が性的少数者について考える時、この考え方を大切にしています。
 そこで市長にお聞きします。“わしは多様性の主義者だものですから”と昨年の私の質問に答弁された市長。たまたま同性を愛し共に生きていくことを選んだ同じ名古屋市民が、愛する相手が同性か異性かによって応募する資格すら与えられず排除されている現状について、どう考えますか。入居を可能にするべきだと思いませんか。見解を伺います。

導入する方向で検討するよう指示しました(市長)
【市長】きのうも夜、総務局長に同性パートナーの宣誓制度を導入するように、そういう方向で検討するよう指示しましたが、なんや、ぐにゃぐにゃ言っていたが。
 当然なことながら女性が好きになる人、男性が好きな人、いろいろあるんで。たまたまそういう生まれなんで、後天的な人もあるが、差別してはいけない。共産主義以外は西山さんに賛成です。

いつまでにやるのか(再質問)
【西山議員】同性パートナーシップをやるように、前向きに検討するよう指示したというが、時期はいつか。

なるべく早くやるようにします(市長)
【市長】時期はいつからとは言ってないが、すぐやれということなので、アンケートがどうのこうのと言っていましたが、なるべく早くやるようにします。

性的マイノリティの方々も生きやすい街名古屋の実現を(意見)
【西山議員】日本政府は公営住宅制度から同性パートナーは排除されていないと言っているのに、実際には制度から排除されている現実があります。
 市長は選挙時に「これからは世界四大都市をめざすんですわ。ニューヨーク、パリ、ロンドン、名古屋」と語っています。
 世界4大都市を目指したいのであればグローバルスタンダードにあわせた制度の確立は不可欠です。ニューヨーク、パリ、ロンドンは既に同性婚が実現しており、法制化の前にはパートナーシップ制度のような制度がそれぞれの都市でつくられていました。
 性的マイノリティの方々も生きやすい街名古屋の実現のために、公営住宅への入居申請要件の見直しやパートナーシップ制度の創設を求めて質問を終わります。

(動議)総合的に詰めるべきで急ぐな(藤沢)
【藤沢議員】市長から認めていきたいということの声があったが、同性パートナーへの配慮は時代の流れなのかもしれないが、そのことを全く理解しないではない。ことは、市営住宅の入居だけにとどまらない。住民票の記載だとか、補助金申請なども認めるかなどある。今後の計画への位置づけなど大きな課題もある。単に住宅を認めるかどうかだけにとどまらないので、総合的に詰めていかないと齟齬をきたす恐れがあるので、関係部局で検討すべきだ。
住宅問題での質問だ(江上)
【江上議員】今回は住宅問題をとらえての質問なので、その点を踏まえて対応を。

キーワード: