2017年9月定例会

岡田ゆき子議員の個人質問 ②介護予防・日常生活支援総合事業(2017年9月15日)

介護予防・日常生活支援総合事業の検証結果と課題について
          岡田ゆき子 議員

介護報酬引き下げが事業経営を困難にする実態が見えないのか
【岡田議員】昨年6月から始まった、「介護予防・日常生活支援総合事業」、以下「総合事業」と呼びますが、要支援1、2の認定者の訪問介護と通所介護が保険給付から外され、名古屋市の事業となりました。しかし、事業予算は国が上限を設けており、自治体にとっては予算の抑制努力が課せられるものとなりました。そこで名古屋市もこれまであった専門型サービスに、報酬と人員基準を引き下げた基準緩和型サービス、そして住民ボランティアなどによる地域支えあいサービスを総合事業として始めたのです。
 総合事業が開始されて1年以上経過しますが、2月議会でもわが会派の議員が指摘したように、利用者、ケアマネジャー、事業所からさまざまな問題を指摘する声が上がっています。名古屋市は昨年11月に総合事業の検証報告を行い、今年1月には市内の訪問介護事業所にアンケート調査を実施し、5月に開催された介護部会に再度検証報告を行っています。名古屋市の検証報告に基づき、健康福祉局長に3点お聞きします。
 まず、総合事業で介護報酬を下げた影響についてです。総合事業では、事業所は、これまでと同じ報酬の専門型サービスと、その7割、8割に報酬を引き下げた基準緩和型サービスで運営することになりました。
 事業の参入の状況を見ると、訪問サービスでは、事業に参入しないと回答した事業所が6割、通所サービスでは7割に上りました。パネル、または配布資料をご覧ください。事業参入しない理由を尋ねています。「生活支援型訪問サービス」、「ミニデイ型通所サービス」どちらも「介護報酬がサービスに見合わない」ことを理由にあげています。
 
 また、すでに事業参入している事業所も、報酬について不都合だと答えたのは、訪問サービスは78%、ミニデイ型通所サービスでは42%に上ります。そして事業所運営を継続するためには、訪問サービスで36%、通所サービスで26%の事業所が専門型サービスと同額の報酬が必要だと答えています。
        
 ところが、名古屋市は、訪問サービスでは、78%の事業所が報酬に不都合だと答えているにも関わらず、「報酬はサービスに見合ったものである」と判断しました。訪問サービスは「利用者の確保ができないことが経営に影響を与えている」として、「利用者が確保できれば、多くの事業所の経営が成り立つと想定される」という評価です。この評価は正しいのでしょうか。低い報酬でも大丈夫というなら、事業所が一体どれだけの基準緩和型サービスの利用者を確保できれば、経営が成り立つと試算しているのでしょうか、お答えください。

介護報酬は適正に設定している。利用者数を確保できれば経営も安定する経営が成り立つ。利用者数は一律には言えない(局長)
【健康福祉局長】2016年6月より従来からのサービスに加え、本市独自の基準によるサービスの提供を開始しており、介護報酬については人員基準やサービス内容に応じ適正に設定しています。介護報酬に関して行ったアンケートや聞き取り調査では、利用者の確保ができている事業所からは、現行の介護報酬でも間題はないと回答をいただいており、利用者数を確保できれば、専任職員の雇用につながり、経営も安定すると考えています。
 「経営が成り立つ利用者数」は、事業所の規模、形態、人員配置などの様々な要素があり、一律にはいえない。
 今後も、市独自の基準によるサービスを適正に運営できるよう、介護報酬を含め、新しい総合事業全体の検証を行ってまいります。

専門型サービスと基準緩和型サービスの振り分けは基準に振り回されず、本人も含めた総合的判断で
【岡田議員】利用者の確保もできない、つまり今までのサービスから基準緩和型の新しいサービスに移行が進まない、そこで市は、基準緩和型サービスの利用を増やすため、今年5月から、専門型サービスか基準緩和型サービスかの振り分け基準を新たに設けました。その基準は主治医意見書に記載されている「障害高齢者及び認知症高齢者」の「日常生活自立度」のスケールの活用です。
 そもそも、このスケールは、厚生労働省が、「高齢者の介護の必要度を客観的かつ短時間で判断する」目的で作成したものであり、「処遇の決定は、そのランクで自動的に決まるものではなく」「変動するもの」だとしてきました。つまり、このスケールは、サービスの種類や量を決めるものではありません。
 この振り分けの基準について、党市議団が7月に行った介護事業所懇談会では、率直な意見が出されました。ひとつ目は、主治医の判定した時期と、現在の対象者の状態があっていないため、間違ったサービスの振り分けをすることにならないか。2つ目に、どのようなサービスが必要であるかの判断は、利用者の現在の状態および既往歴、担当者からの情報などから、判断されるべきではないかという意見です。利用者に必要なサービスの選択は、「障害自立度」や「認知症自立度」のスケールで機械的に振り分けるのではなく、本人を含めて行われる担当者会議で総合的に判断するべきではないですか。

判断基準として取り入れ、客観的に判断できるようにした。ケアマネージャーが必要な判断をする(局長)
【健康福祉局長】予防専門型サービスの利用にあたっては、対象となる方の心身の状態を示す「状態像の目安」を定めていますが、いきいき支援センタ一等から目安に客観的な基準がなかったため判断が難しいとの意見が寄せられていました。そのため、いきいき支援センターとともに検討を行い、2017年5月から主治医意見書に記載された「障害高齢者の自立度」等を「状態像の目安」に基準として取り入れ、客観的に判断できるよう変更した。
 なお、予防専門型サービスの利用を希望して、「障害高齢者の自立度」等からはサービスの対象とならない場合でも、その後の心身の状態の変化によって、「状態像の目安」に該当すると思われる場合は、ケアマネージャーが利用希望者の現在の状態を丁寧にアセスメントしたうえで、必要なサービスを判断しています。

通所サービスを6カ月で「卒業」とする根拠はなにか
【岡田議員】基準緩和型通所サービスいわゆる「ミニデイ型」「運動型」通所サービスについてお聞きします。基準緩和した通所サービスは、これまでにはなかった、サービス利用期間を6ヶ月までとして強制的に終了する仕組みにしました。
 パネルをご覧ください。6ヶ月で卒業という期間について、ミニデイ型では47%、運動型通所では68%の事業所が利用期間を設定していることに不都合があると答えています。ミニデイ型は、市が作成した「予防プログラム」を実施することになっていますが、利用者の状態が6ヶ月で改善できたかという問いには、「改善できている」と答えた事業所はわずか15.8%、どちらとも言えないが36.8%、未回答は36.8%でした。6ヶ月という期間では、効果は測れないというのが事業所の見方ではないですか。
      
 市の検証報告でも「利用期間が短く、効果が出る前に終わってしまう」「卒業後の運動や外出の頻度が心配」「6か月では改善に至らないケースがある」と意見がだされています。改めて聞きますが、基準緩和型通所サービスを6か月で卒業させる根拠は何ですか。
 また、半年で機械的に卒業させる仕組みを作ったわけですが、卒業後のフォローの仕組みや受け皿は総合事業の中にどのように位置付けられているのでしょうか。

原則6力月間で身に付けていただき、終了後は自主的に取り組んでいただく(局長)
【健康福祉局長】2016年6月から新たに開始したミニデイ型通所サービス及び運動型通所サービスは、介護保険制度の中の地域支援事業として市町村の実情に応じてサービス内容や利用期間等の基準を独自に定め事業を行うこととされています。
 ミニデイ型通所サービスでは、原則6力月間で、運動・口腔・栄養の分野の取り組みで自立的な日常生活を送ることができるよう策定された「なごや介護予防・認知症予防プログラム」に沿ってサービスを提供しており、運動型通所サービスでは、原則6力月間で、運動機能の維持向上を図り、運動習慣を身に付けていただけるようサービスを提供しています。
 サービス利用終了後は、 高齢者サロンなど地域の身近な場所で自主的に介護予防に取り組んでいただくことを想定し、 いきいき支援センター等と十分に連携して、利用終了者に対する支援を行っていきます。

機械的に振り分けるのではなく、利用者の状況で判断をするようにと、振り分けの基準と考え方を居宅介護支援事業所に再度徹底する必要がある(再質問)
【岡田議員】総合事業について、専門型か、基準緩和型かのサービスの振り分け基準について、5月にこの基準を徹底してから、利用があまり進んでいなかった基準緩和型サービスが、8月には、3倍近く急増しました。一方、振り分け基準が徹底されて以降、訪問サービス全体の利用総数の伸びが大きく落ちこんでいます。
 ある事業所管理者が、「振り分けをしたことで、利用者からこれまで来ていたヘルパーが変わってしまうなら、サービスはやめると断ってしまった人がいる」といわれました。振り分け基準が果たして正しかったのか、振り分けされたことで、利用を控えてしまうという現象が起きているのではないか、早急に確認することを要求します。
 先ほどの答弁で、主治医意見書の判定ありきではなく、必要に応じてケアマネジャーが判断しているということでしたが、実際にはケアマネジャーや事業所に話を聞くと、多くが主治医意見書の判定が絶対だと捉えているようです。
 少なくとも、機械的に振り分けるのではなく、利用者の状況で判断をするようにと、振り分けの基準と考え方を居宅介護支援事業所に再度徹底する必要があるのではないですか。お答えください。

居宅介護支援事業所への通知の中で想定間答形式で明記し、介護事業者向けの講習会でも説明をしているが、更に周知・徹底する(局長)
【健康福祉局長】心身の状態の変化により、「障害高齢者の自立度」等とサービス利用希望者の実態に乖離がある場合には、ケアマネジャーが現在の状態についてアセスメントを行いサービスの利用を判定するよう各居宅介護支援事業所への通知の中で想定間答形式で明記しており、また、介護事業者向けの講習会でも説明をしています。今後も更に周知を徹底して参ります。

制度設計に実態が追いついていない。6か月での強制卒業はやめ、緩和型サービスは見直しを(意見)
【岡田議員】この総合事業の狙いは、給付費の削減です。そのために、軽度の認定者を介護給付から外す大きな改定が強行されました。
この改定に対して、名古屋市が独自の制度をつくりました。利用者や事業所に与える影響を取り上げてきましたが、制度が大きく変わる中、名古屋市の総合事業の制度設計がうまくいっておらず、実態が追いついていないと強く感じます。
 サービスからの自立を強制するような仕組みでは困ります。本来、専門的支援が必要な高齢者が、どんどんサービスから遠ざけられているのではありませんか。アンケートに表れた現場の声を素直に受け止めて、6カ月で強制卒業の仕組みはやめ、基準緩和型そのものを見直すことを指摘して質問を終わります。

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