後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会⑤一般質問 東義喜議員(江南市)2017年8月16日)

2018・19年度での保険料率改定で値上げをするな
             東義喜議員(江南市議)

1 剰余金の活用について

剰余金の現在額と活用見込み額は?
【東議員】2016年度決算の剰余金はいくらで、清算後の現在はいくらになっているのか。そのうち、活用できる見込み額はどれだけか。

歳入歳出差引額は318億円だが、返還金等を差し引き100億円が剰余金
【総務課長】2016年度決算における歳入歳出差引額は、一般会計と特別会計を合わせ、約318億円。保険料率を2年間同率としており、初年度の2016年度の保険料の歳入超過を2年目の2017年度の歳入に充てている分の約58億円や国・県及び市町村などへの返還金に充てる約160億円を除いて、剰余金の現在額は約100億円です。
 2018・19年度の保険料率改定への剰余金の活用額は、保険料率の試算を国からの基礎数値の提示を待って行うため、現時点で見込むことは困難です。
 
2017年度の歳入や返還金の予算書上の記載及び国からの基礎数値は(再質問)
【東議員】先ほどの答弁にあった2017年度の歳入や、返還金に充てる金額はどうなっているのか、国からの基礎数値の提示をまって行うという基礎数値とは何か。

2016年度の歳入超過を2017年度歳入に充てる額は57億9,219万9千円。基礎数値は料率算定に用いる後期高齢者負担率や被保険者数、医療費及び医療給付費等の伸び率等
【総務課長】2年間の財政運営期間の初年度に当たる2016年度の歳入超過を2017年度歳入に充てる分は、2017年度特別会計補正予算の歳入にある繰越金の補正前の額57億9,219万9千円に相当します。
 国・県・市町村等への返還金に充てる分のうち、特別会計分は、2017年度補正予算の歳入の繰越金の補正額159億5,352万8千円が相当します。一般会計分は、2017年度一般会計補正予算の歳入の繰越金の補正額656万4千円に相当します。
 基礎数値は料率算定に用いる各種数値であり、後期高齢者負担率の他に、国が算出した被保険者数、医療費及び医療給付費等の伸び率等です。

2 財政安定化基金の活用について

県財政安定化基金の現在額と活用の基準は?
【東議員】県財政安定化基金の現在額はいくらあるのか。保険料値上げ抑制に活用するための基準はどうなっているか。

基金残高は27億6,330万円余。保険料の増加率が医療給付費の伸びと後期高齢者負担率の上昇から求められる伸び率を上回る場合に活用
【管理課長】愛知県に確認したが、後期高齢者医療財政安定化基金の現在額は27億6,330万円余です。基金を保険料増加抑制に活用する基準は「一人当たり保険料の増加率が、一人当たり医療給付費の伸びと後期高齢者負担率の上昇から求められる伸び率を上回る場合」を目安としています。

県財政安定化基金を活用する基準の具体的な計算式は(再質問)
【東議員】活用する基準については、医療給付の伸びと後期高齢者負担率の上昇から求められる伸び率を上回る場合との回答でしたが、求められる伸び率の具体的な計算式はどうか。

一人当たり医療給付費の伸び率に後期高齢者負担率の上昇率を乗じる。前回は基準を下回ったので活用しなかった
【管理課長】一人当たり医療給付費の伸び率に、後期高齢者負担率の上昇率を乗じるものです。具体的な計算を2016・17年度保険料率改定の例で示すと、一人当たり医療給付費の伸び率を1.0025と見込み、後期高齢者負担率の伸び率は1.0242でした。2016・17年度保険料率改定では、均等割軽減の制度改正が行われたので、これによる保険料の伸び率0.9988も反映し、これらを乗じた伸び率は1.0235となりました。保険料率改定による保険料の伸び率は、基金を活用しない場合でも1.0230となり、基金を活用する基準を下回りました。

3 後期高齢者負担率について

後期高齢者負担率を引き上げる理由は
【東議員】後期高齢者負担率はなぜ引きあがっていくのか。また、それに見合う公費負担の引き上げはあるのか。

後期高齢者と現役世代の比率の変化に応じて、現役世代の増加分を後期高齢者と現役世代とで半分ずつ負担するように負担率を変える。公費負担は変えない
【管理課長】後期高齢者負担率は世代間の負担の公平を維持するため、人口構成に占める後期高齢者と現役世代の比率の変化に応じて、それぞれの負担割合を変えていく仕組みとして導入されている。今後、後期高齢者の負担分は増えますが、現役世代の負担分は減るため、現役世代一人当たりの負担はより大きな割合で増加していく。このため、現役世代一人当たりの負担の増加は、後期高齢者と現役世代とで半分ずつ負担するよう、後期高齢者負担率は、現役世代減少率の1/2の割合で引き上げることになっている。
 後期高齢者負担率は後期高齢者と現役世代の負担を調整するものなので、後期高齢者負担率が引き上げになっても公費負担の引き上げはない。

後期高齢者負担率の引き上げに連動する公費負担部分の有無は(再質問)
【東議員】後期高齢者負担率の引き上げも保険料率改定の要因の一つと考えるが、それに連動する公費負担部分はないのか。

負担率は、公費負担のうち普通調整交付金と国及び 県の高額医療費負担金の算定に用いられ、当連合は 前者が大きいので公費負担は減る
【総務課長】後期高齢者負担率は、公費負担のうち普通調整交付金と国及び県の高額医療費負担金の算定に用いられています。
 普通調整交付金は、各広域連合間における被保険者の所得格差による財政の不均衡を調整するもので、後期高齢者負担率が引き上げとなった場合には、所得による調整機能がより強く働くため、被保険者の平均所得が全国平均より高い当広域連合では、交付金は減額となります。
 また、高額医寮費負担金は、高額な医療費が発生した際に保険料で賄うべき郎分の一定割合を国及び県が負担するものであり、後期高齢者負担率が引き上げとなった場合には、保険料で賄うべき部分が拡大するために、交付される負担金は増額となります。
 なお、当広域連合においては、現状では前者の影響が大きいため、公費負担は減額となり、後期高齢者負担率の引き上げに見合った公費負担増はない。

 

2016.17改定時に示された、保険料が増加する理由
(1) 被保険者一人当たりの医療給付費が伸びたこと
(2) 高齢者人口が増加したことにより、後期高齢者負担率が10.73%から10.99%になったこと

4 広域連合協議会の要望書の回答は

全国後期高齢者医療広域連合協議会の「要望書」に対する政府の対応は
【東議員】全国後期高齢者医療広域連合協議会の「後期高齢者医療制度に関する要望書」(2017年6月7日)にある、3項、及び11項の考え方の確認と、この要望書に対する厚生労働大臣からの何らかの返書があるのでしょうか、あれば、その内容についてお聞かせください。

後期高齢者医療財政安定化基金を保険料抑制に活用できるよう、医療費の高いところへの普通調整交付金の削減をしないよう要望した
【総務課長】被保険者、現役世代、地方公共団体に対して過度の負担を強いることがないよう、国によるさらなる財政支援を要望しています。
 後期高齢者医療財政安定化基金は、当分の間、保険料の増加抑制に活用することができるとされているが、引き続き活用できるよう、恒久化を要望しています。
 5月23日の国の経済財政諮問会議で、医療費が増えると配分が増える普通調整交付金を見直すとの意見に対し、医療費が高いところでは普通調整交付金が減額となり保険料への影響が大きいとして見渡しに反対したところです。
 要望に対する国の回答は、近年では、厚生労働省保険局高齢者医療課から12月下旬に示されています。

5 保険料率の改定について

2018・19年度の保険料率改定における広域連合の考え方を示せ
【東議員】2018・19年度の保険料率の改定について、新たな保険料の値上げを行わないよう求めますが、広域連合としてはどのように考えているのか。

国が示す基礎数値を参考に、医療給付費等の見込額から公費負担額や後期高齢者支援金等の収入見込額を除いた額を保験料で賄う
【管理課長】後期高齢者医療制度では財政運営期間を2年間とし、保険料率を定めています。具体的には、国が示す基礎数値を参考に、医療給付費等の費用の見込を算出し、その額から公費負担額や後期高齢者支援金等の収入の見込額を除いた額を保験料で賄うことになります。

剰余金及び基金の活用の裁量権はどこか(再々質問)
【東議員】剰余金と県財政安定化基金を保険料へ活用する際の裁量権はどこにあるのか。
 

剰余金は広域連合に裁量権があるが、県財政安定化基金にはない
【総務課長】剰余金は広域連合に裁量権があります。県財政安定化基金は、広域連合に裁量権はなく、平成30・31年度の保険料率改定で活用するにあたっては、広域連合と県で十分協議を行い、国に対しても事前に相談する必要があります。

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