2017年2月定例会

高橋ゆうすけ議員の個人質問②介護保険について(3月9日)

介護保険事業について

高橋ゆうすけ議員

3日間の高齢者日常生活支援研修で訪問サービスの専門性を習得できるか
【高橋議員】「介護予防・日常生活支援総合事業」いわゆる「新総合事業」及び介護職員の人材確保対策についてお聞きします。2015年4月の介護保険法改定で、要支援者の受ける予防給付サービスのうち、訪問介護と通所介護が市町村の事業へと移行する「新総合事業」がスタートしました。これまで全国一律の報酬であった訪問介護と通所介護は、市町村が独自に人員基準や報酬を決めることとなり、人員基準や報酬を下げずに行うこともできる新総合事業ですが、名古屋市は、昨年6月から人員基準を緩和し、報酬を引き下げた新総合事業を開始しました。私たちは、安上がりの介護でサービス低下につながるのではないかと指摘をしてきましたが、一体どうなっているでしょうか。
 そのことを調べるため、1月~2月にかけて市内の介護事業者に新総合事業についての緊急事業所アンケート調査を行い、250を超える事業所から回答をいただきました。今回はアンケートの中から、訪問介護の中であげられていた3つの問題について取り上げたいと思います。
 まず第1の問題は、訪問サービスの専門性についてです。
 本市では、新たに始められた基準緩和型である生活支援型訪問サービスは、掃除や洗濯などの家事を市が行う3日間の高齢者日常生活支援研修の修了者によって行うこととしています。ヘルパーなどの資格は必要としていません。果たしてこのサービスを提供している事業所は増えているのでしょうか。
 アンケートでは、生活支援型訪問サービスの指定を受けている事業所は43%あるものの、指定を受ける予定はない30%、検討中の事業所15%と、45%の事業所が今すぐに指定を受ける予定がありません。なぜ受けようとしないのでしょうか。
 「軽度者への生活支援を通じて行われることで重要と思うことは」との問いに、56%の事業所が「生活全般の把握」、「対象者・家族の状況把握」と答えています。そして注目すべきは「要支援者には持病を抱えている方も多く、専門職によるサービス提供が好ましい」などの理由から13%の事業所が「緊急的な身体介護」を重要と考えていることです。
 軽度者であっても、いつ何が起きるかわかりません。単純な家事援助だけではなく、本人やまわりの状況を把握し、いざという時に職員が自ら対応できることが、利用者が要介護状態となることを予防する上で必要なことだと考えているのです。そのような能力を、市の行う3日間の研修で身に着けることができるのでしょうか。できないから増えていかないのではないでしょうか。
 3日間の高齢者日常生活支援研修修了者は、事業者が必要と考えている緊急的な身体介護を行うことはできるのですか。お答えください。

研修で基礎的な知識を習得。利用者の急変時の対応などを学ぶ
【健康福祉局長】高齢者日常生活支援研修の修了者には、サービス提供に必要な基礎的知識を習得するほか、利用者の方の急変時には救急通報するとともに、事業所に連絡するなどの緊急対応についても学んでいる。

報酬額が見合わない基準緩和型サービスへの検証結果は
【高橋議員】第2の問題は、低い介護報酬の影響です。
 基準緩和型の生活支援型訪問サービスは、無資格の研修修了者が行うことを前提としているため、これまでの7割の介護報酬で行われます。しかし、実際には、専門的な知見が必要なため、ヘルパーが担っているのが現状です。ヘルパーの給与を下げるわけにはいかないため、事業所はやればやるだけ赤字になると、悲鳴を上げています。
 アンケートでも、報酬額が見合わない基準緩和型サービスは受け付けないといった事業所も少なくありません。このままでは介護報酬の高い、重度の利用者しか受け入れない、そのような事業所も出てくるのではないでしょうか。
 本市の介護予防を担う事業所が疲弊していては、介護予防の目的を果たすこともできません。本市としても責任をもって実態を把握し、事業所が健全に経営できるようにしていくべきですが、これまでより低い介護報酬で行われている「生活支援型訪問サービス」開始後、事業者の経営への影響について、本市としてどのように検証をしましたか。

研修の修了者が実際に雇用されたのは13%
【健康福祉局長】2016年9月、参入事業者を対象に、高齢者日常生活支援研修の修了者の雇用状況について調査を実施した。2017年1月には、全訪問介護事業者を対象に、運営状況や参入意向に関する調査をおこなった。9月の調査では、研修修了者のうち実際に雇用されたのは13%という結果が出ており、1月の調査は、現在、分析を進めている。
 これらの調査をもとに検証を進め、4月から事業の本格実施をしていきたい。

介護職員の人材確保対策を
【高橋議員】最後に、そもそも人材確保が困難と言われている介護分野で、相変わらず人材の確保が進まないという問題です。
 名古屋市は研修修了者による職員の確保を進めようとしています。しかし実態はどうか。アンケートでは、職員を確保できている事業所26%に対し、確保できていない事業所は74%と、3/4の事業所が職員の確保に苦しんでいることがわかりました。なぜ人材確保に苦しんでいるのか。一つは、「介護報酬削減などの影響から処遇改善ができない」など、介護報酬の低さが影響しています。さらに、7割の介護報酬で行う生活支援型訪問サービスが導入されたことで、さらに低賃金となり、新たな職員の確保が難しくなってきているのです。
 新たな職員の確保だけではありません。職員の定着も大きな課題です。「昨年度まで支給されていた、事業所内外で行う研修の参加への補助金は、職員のやる気にもつながり、職員の定着という点から効果があった。なぜなくなったのか」と訴える事業所もあります。
 介護職員不足が問題となっている今、本市としてどのような介護職員確保策を行ってきましたか。せめて従前行っていた事業所内外の研修への補助金を復活させるべきではありませんか。

一般的な研修より資格取得の研修を重視
【健康福祉局長】介護人材の確保はたいへん重要な課題であり、職種やキャリアに応じた研修を開催するとともに、介護の仕事への理解促進を目的としたイベントを実施しています。2015年度までは資格取得にかかわる研修や介護に関する一般的な研修を補助の対象としていた。2016年度より、介護職員のキャリアアップや職場への定着支援を図るため、資格取得にかかわる研修に重点を置き、対象の研修を拡大し、補助上限額も引き上げて実施しています。

安い報酬が事業所経営と職員確保を困難にしている(再質問)
【高橋議員】健康福祉局長から新総合事業と介護職員確保についてお答えいただきました。
 緊急的な身体介護については、急病等を想定されているようですが、急な失禁への対応など考える必要があるというのが事業所の声です。支援を要する方は、いくら一人でできるように見えても、何らかの支援が必要です。そのためには専門職での配置が必要です。しかし今の介護報酬では専門職を雇うこともできず、充分なサービス提供ができません。
 健康福祉局長、軽度者に対する支援を、専門職員ではなく、かつ安い報酬で行うことで、事業所の経営を困難にし、また職員の確保を難しくしているという認識はありますか。またそれが結果的に利用者へのサービス低下を招いているとは思いませんか。

緩和した人員基準やサービス内容に応じた適正な報酬
【健康福祉局長】報酬は緩和した人員基準やサービス内容に応じ、適正に設定している。
 事業所の経営上の問題や人員不足を原因とした利用者の方へのサービス低下の事例は聞いていません。

軽度者への支援を専門職員によるサービスに戻すべき(再々質問)
【高橋議員】利用者へのサービス低下はしていないという答弁でした。あまりにも現実を直視していないと言わざるを得ません。改めて訪問介護事業所を調査したということは、まだ実態把握が十分でないとの判断があるからではないですか。
 軽度者への支援を、介護報酬の低い基準緩和型サービスではなく、専門職員によるサービスに戻し、新総合事業の内容を見直しするべきではありませんか。

多様な担い手によるサービス提供で効果的・効率的に
【健康福祉局長】新しい総合事業は、多様な担い手によるサービスを提供することで、サービスの選択肢を増やし、効果的・効率的な支援を行うもので、生活支援型訪問サービスは、ケアマネジメントで本人の意向や心身の状況を丁寧に聞き取った上で、利用してもらっています。今後も利用者や事業者の方々の声を十分に聞きながら、生活支援型訪問サービスについて適正に実施していきます。

市の方針は介護度の重度化予防にならないのでは(意見)
【高橋議員】要支援者へのケアマネージャーの訪問によるモニタリングは原則半年に1回です。それでどう、利用者の状況を適切に把握することができるのですか。週1回のヘルパーによるアセスメントが本人の意向や心身の状況を把握する重要な役割を果たしているということを理解していない答弁ではありませんか。軽度者は専門性のない安上がりのサービスでいいとする今回の市の方針は、利用者の介護度の重度化を予防することにならないのではないですか。訪問介護事業所調査の結果はまだできていないため、これで決めるのは早いと考えます。調査結果が出た時点で、再度検証するように強く求めて、この質問を終わります。

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