2017年2月定例会

青木ともこ議員の個人質問②国民健康保険について(3月8日)

国民健康保険の短期被保険者証の交付方法と滞納世帯の相談体制について

青木ともこ議員

滞納を解消する計画を示せないと、体調不良でも交付に応じないのか
【青木議員】いま多くの自治体では、税や国保料の徴収率引き上げにちからを注いでいます。本市の国保料収納率は20政令市で郡を抜いてトップ。「保険料はちゃんと納める」名古屋市民の真面目さが反映しているようですが、国保料が払えず滞納する世帯への「収納対策の強化」が高い徴収率に反映しているのも事実です。この「収納対策」に努めるあまり、本市では次のような事態が起きました。
 市内在住の女性Aさんは、この数年来、仕事が不安定で国保料を滞納し、区役所窓口で分割納付を続けてきました。本市では、国保料を滞納した世帯に期限の短い「短期被保険者証」を分納相談のうえ区役所の保険窓口で交付しています。Aさんは真面目に分割納付を続け保険証を受け取っていましたが、その内に体調を崩して働けなくなり、返済が数ヵ月滞りました。その間、Aさんの保険証は有効期限を過ぎ、区役所窓口で「未交付」のままでした。
 滞納返済のメドが立たず、病院受診をあきらめていたAさんでしたが、いよいよ体調が悪化し、区役所に駆けこんで訴えました。「体が悪くて歩けないほど、病院へ行きたいので保険証を出してください」しかし、窓口では「滞納分を全部払うか、分割か、あなたの考えがまとまっていない」と病状の訴えに取り合ってもらえませんでした。途方に暮れたAさんはその後急激に容体が悪化。市大病院に救急搬送され、「どうしてここまで放っておいたんですか」Aさんは救急隊から言われたそうです。 そこでうかがいますが、今回、Aさんのケースのように、滞納分解消の計画が示せない場合、体調不良を理由に短期保険証の求めがあっても交付に応じないというのは、本市として通常の対応なのですか。説明を求めます。

病気の有無にかかわらず、納付計画がない場合でも次回の納付相談の時期に合わせた有効期限の短期被保険者証を交付している(局長)
【健康福祉局長】窓口での納付相談の際は、生活実態をしっかりと聞き、所得の減少などにより保険料の納付が困難な場合には、減免の適用などを案内し、納付資力に応じた納付計画などを相談させていただき、病気の有無にかかわらず、次回の納付相談の時期に合わせた有効期限の短期被保険者証を交付しています。
 納付計画が提示いただけない場合でも、理由などを聞き、できる限り早期に再度納付相談を行っていただけるよう相談時期に合わせた有効期限の短期被保険者証を交付している。

郵送など、ただちに短期保険者証の交付し、医療確保に努めるべき
【青木議員】Aさんのケースについて、厚生労働省に問い合わせたところ、回答は「個別の事情なので判断できかねるが、一般論で言えば、本人と接触していながら保険証が渡されていないという結果は望ましくない」との事でした。
 また、20政令市を調査したところ、短期保険証を「窓口交付」とせず郵送しているのは、横浜、さいたま、静岡をはじめ9つの自治体、あるいは基本「窓口交付」でも、千葉や福岡は分納相談が必要な時に限るとし、新潟や岡山は納付状況により郵送に切り替えています。このように、他の政令市の対応状況を見ても、多くの自治体が短期保険証を滞納返済と引き換えの「窓口交付」とせず、出来る限りすみやかに被保険者に渡ることを優先し、医療確保に努めていることがわかります。 いくつかの自治体に直接問い合わせると「受診の機会確保のため、滞納者を『無保険』状態にするのは望ましくない」といった回答が目立ちました。短期保険証は滞納返済と引き換えの「窓口交付」を基本とせず、分納状況や生活実態を考慮し、郵送に切り替えるなど、まずは医療確保に努めるべきと考えますがいかがですか。見解を求めます。

閉庁時にやむを得ず受診したときは柔軟に対応(局長)
【健康福祉局長】窓口で状況に応じた早期の納付相談が可能となり、滞納の高額化の防止などを図っている。
 医療確保の観点では、やむを得ない事由により区役所の閉庁時に医療機関を受診した場合、被保険者証の交付に柔軟に対応している。相談内容や納付状況によっては、訪問して交付するなどの対応を行っている。

困窮者の問題の背景をとらえる専門家が窓口で親身な相談ができる体制を
【青木議員】国保料を滞納する人は、市税や国税の滞納など多重債務を抱えているケースが少なくありません。滋賀県の野洲市では、市民の滞納相談を「困窮者掘り起こし」の機会と捉え、生活再建と滞納解消に向けた総合相談窓口を設置しています。野洲市は「徴収率ありきで困っている人の生活を壊してまで取り立てはしない」「一時的に滞納が増えても、生活保護費を抑えるなど行政全体のコストが減らせる」としています。人口5万人規模の野洲市と本市とでは単純に比較は出来ませんが、滞納相談だけでは解決仕切れない問題を抱える人が増えるいま、総合的な問題解決に向けたケースワークの視点が現場に求められるということを、野洲市の取り組みが示していると言えます。
 本市でも困窮者の支援事業として、「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター」を市内3ヶ所に設置し、生活困窮者の総合的な支援に取り組んでいます。「自立サポートセンター」の相談には国保料の滞納問題も多く、中には区役所の保険窓口からの連絡で滞納者がセンターの相談を受けた所、多重債務や様々な困難を抱えている事が判り、施設のケースワーカーが相談者と区役所窓口に同行し、分納計画の見直しを指導する場合もあるそうです。
 貧困と格差が広がるなか、滞納相談で区役所を訪れる人が多くの困難を抱えている実態を見れば、窓口での保険料収受だけでは、対応仕切れなくなっているのが現状ではないでしょうか。実際、Aさんのケースのように、病気を訴えても「滞納はどうする」と、返済を引き換えにした保険証の交付では、救えない事態が現場では起こっています。まず市民が最初に訪れる区役所には、納付相談であっても困窮者の問題の背景をとらえる専門家の目が必要になってきているのではないでしょうか。
 区役所の保険窓口の担うべき役割をどうお考えですか。その機能を高めるために、社会福祉士の資格をもった職員を最低1名、保険窓口に配置が必要と考えますがいかがですか。 

納付相談で、減免制度の活用や、必要に応じて、生活困窮者支援、生活保護、多重債務、法律などの各種相談窓口を案内する(局長)
【健康福祉局長】生活実態をしっかりと把握し、きめ細やかな対応で、納付資力に応じた継続的な納付をいただき、負担の公平の確保に努めて行くことが、国民健康保険の窓口が担うべき役割だ。
 納付相談の中で、減免制度を活用したり、生活困窮者支援、生活保護、多重債務、法律などの各種相談窓口を案内している。社会福祉などの専門分野は、それぞれの専門窓口が設置されている。区役所保険年金課職員には、研修や相談マニュアルなどで、生活困窮者支援窓口への案内を含めた対応を徹底していく。

未交付となっている短期被保険者証の件数はどれだけか(再質問)
【青木議員】国保料を滞納して払えるメドが立たない人は、区役所窓口に行きづらくなり、病院受診も我慢してしまいます。他の自治体が短期保険証を郵送で努力しているのは、医療確保はもちろんですが、滞納者の気持ちも考慮しているからではないですか。「滞納を払わなくていい」とは申しません。しかし、Aさんのように、来所したら「滞納はどうする」みたいな扱いでは、なおさら窓口から足が遠のいてしまいます。資格のある人に渡されず、有効期限が切れて、窓口で「未交付」になっている短期保険証は一体どれぐらいあるのですか。

2016年12月末時点で約2,400世帯が未交付。翌々月までに7割以上が受取る(局長)
【健康福祉局長】有効期限を迎えた月の月末時点で、電算上更新されていない世帯が、平成28年12月末時点で約2,400世帯ありましたが、翌々月までには7割以上の方が受取りに来ており、その後も本人からの申し出に基づき交付している。
 有効期限内の早期の納付相談を引き続きお願いし、まだなお更新していない方には、機会あるごとに更新を案内している。

3割近くは未交付のまま。ただちに全世帯へ保険証を(意見)
【青木議員】今のお答えで、短期保険証の「未交付」が3割近くもある事がわかりました。保険証を持たない人が500世帯近くもあると。実際、保険証が「未交付」のまま、受診を我慢して手遅れとなり死亡した事例は全国で起こっています。「命あっての納税」です。生きていてこそ、税も国保料も納めることが出来ます。そのためには保険証が必要です。保険証を滞納返済と引き換えで、納付相談に来ないからと「未交付」のままにしていいのですか。「未交付」の世帯全員、ただちに保険証を送るべきです。
 そして、区役所の保険窓口職員への研修を徹底すること、これはやってもらわなければなりませんが、市民が最初に訪れる保険窓口にもケースワーカーの配置は必要になってきているという認識を持っていただくことを強く求めて、以上で私の質問を終わります。

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