日本共産党名古屋市議団の市政アンケートの報告

日本共産党市議団の市政アンケートの報告

 2017年1月4日

 日本共産党名古屋市議団は昨年(2016年)9月末から市政アンケートにとりくみ、これまでに1万7千通を超える回答が寄せられました。ご協力いただいた市民のみなさんに、心から感謝いたします。

 アンケート方法は、返信用封筒を付けたアンケート用紙(A4版)を市内60万世帯余に配布して行い、ホームページ上でも回答していただけるようにしました。

 党市議団はこれまでも2年に1度市政アンケートを実施してきました。今回の回答数は前回2014年春(約4900通)の3倍以上にのぼります。現在も連日回答が届いており、現時点での集計内容をご報告させていただきます。

設問1.あなたについてお尋ねします

 回答者の性別構成は、男性49.7%、女性47.4%、不明2.9%でした。

 年齢構成は、10代 0.2%、20代 3.3%、30代 7.5%、40代 10.5%、50代13.6%、60代 26.1%、70代 25.5%、80代以上 11.6%、不明1.7%です。

 設問2.「安倍政権および河村市政のもとで、あなたの暮らし向きは以前とくらべてどうですか?」

 回答は、「変わらない」が43%、「悪くなった」「やや悪くなった」が合わせて43%、「良くなった」「多少良くなった」の合計は11%でした。

 前回のアンケートでは「苦しくなった」と回答した人が76%を占めましたが、2年以上経った今もなお、市民の暮らしは改善しないばかりか、いっそう悪化している実態が明らかになりました。

 世代別にみると、年代層が高くなるにつれて「悪くなった」と答える人が増え、特に60代以上では、「悪くなった」が「変わらない」「良くなった」を上回りました。

 自由記入欄には「年金が減り、介護保険料、国保料がベラボーに上がったから」(天白区70代男性)、「もらっている遺族年金に対して、介護保険料がとても高くて、生活ができない」(緑区女性60代)などの声が多数寄せられています。

 現役世代も、「アベノミクスは失敗。税金、物価ばかり上がり、給与は上がらない」(昭和区女性30代)、「税金や保険料の負担が大きすぎる。毎月がつらい」(西区男性30代)、「低賃金。税率UP。求人(条件の良い所は特に)が少ない。とにかくお金の不安が常にある」(北区女性40代)、「会社都合失業後に、就職したが給与水準が下がった。日用品、食品の物価も上がっている。社会保障負担も重くなっている」と悲鳴が上がっています。

設問3 「河村市政について、あなたはどう評価していますか?」  

 回答は、「満足」「ある程度満足」が合わせて39%。「大いに不満」「少し不満」が37%。「どちらとも言えない」「無回答」が24%と評価が分かれました。60代以上は「不満」が「満足」を上回りました。

 自由記入欄をみると、「満足」と答えた人は、河村市政の政策面での評価よりも、「給料削減など身をけずっての取り組みには評価します」(中川区60代女性)など、市長給与の削減を評価する意見がほとんどでした。設問7の回答傾向にみられるように、議員報酬引き上げに対する怒りが、自身の給与を引き下げている河村市長の評価を高める要因になっていると考えられます。

 一方、「不満」と答えた人は、「名古屋城やSL等、目立つ箱ものばかりの施策で、福祉や教育等、実際の具体策がおろそかになっている」(南区60代女性)、「人気取りの為の減税はいらない。実感の伴わない減税や施策は無意味。他にやれることがあるのでは?」(中区30代男性)、「リニアと駅前開発など、市が負担すべき額多すぎる。リニアに大反対です。名古屋城天守閣木造化もまったくの無駄遣い」(東区60代男性)、「3年間保育園に入れなかった。勤務地が遠いことも無視された。公平とは思えない」(中区30代男性)など、具体的な政策に言及する意見が多数ありました。

 また、「下品な言動が名古屋のイメージを悪化させる」(天白区60代男性)などの意見も目立ちました。

設問4.「名古屋城天守閣の今後のあり方について、どうお考えですか?」

 結果は、「まずは、耐震補強やコンクリート劣化に対する補強を行なう」が52%と過半数を占め、「リニア開業前の2027年を目標に木造化する」21%の約2.5倍を占めました。設問3で河村市政に「満足」と答えた人でも、「耐震補強」が40%と、「木造化」35%を上回りました。

 「まずは耐震補強」と回答した人は自由記入欄に、「わざわざ壊してまで木造化することもない。現在どの程度まで劣化しているのかわかりませんが、木造化すると維持費等はどのくらいかかるか等見当がつきません」(名東区60代男性)、「木造化するようなお金があるなら、給食費の無料化や市立保育園建設など弱者に使うべき」(緑区30代女性)などの意見を寄せています。

 「リニア開業前の木造化」に賛成する人は、「お金がかかるのはダメだけれど、名古屋で自慢できるお城を作ってほしい」(北区60代女性)などの声が多数。一方で、「木造化するならするで構わないが、時期や工法など意固地になる部分が理解できない。なぜそこにこだわる必要あるのか?」(中川区30代男性)という意見も少なくありませんでした。

 「その他」を選んだ人は、「各地のお城を見て歩くのが好きな私にとっては木造化して欲しいところだが、2026年のアジア大会もあり、別に無理する必要なし!今でも名古屋城は十分に美しい」(名東区60代男性)、「地震で壊れない程度に修復すればよい」(守山区20代女性)、「観光客呼び込みが木造化で計れるとは思えない。それよりも駅や公共施設のバリアフリー化をすすめてほしい。東京に比べて駅のエレベーターやエスカレーターが少なすぎる名古屋に不満」(中区20代女性)などの意見を寄せました。

設問5. 「2027年開業予定のリニア計画について、あなたはどう思いますか?」

  回答は、「計画通り推進すべき」が33%、「わからない」30%、「問題点が多いので中止を含め抜本的に見直す」25%と分かれました。

 「推進」を選んだ人の理由は、「県外へのアクセスがしやすくなるため」(天白区30代女性)、「名古屋城の木造化よりは経済効果が期待できる」(中川区50代男性)など利便性や経済効果を期待する声が多数でした。「リニアは計画通り整備すべきだが、周辺の余分な費用は無駄。今までいくら使っているの?」(瑞穂区40代男性)という声も。

 「中止・見直し」と答えた人は、「お金がかかりすぎ、人口減のなかで本当に必要なのか分からない。子どもたちの負担になりすぎないか心配」(西区40代男性)、「電磁波の問題。環境破壊などの問題。便利さの裏のマイナス面にもきちんと目をむけるべきでしょう」(緑区60代女性)、「トンネルを掘って出た、ぼう大な土をどうするのか?」(守山区70代男性)、「亜炭の採掘抗が今でさえ危険な状態なのに、工事の振動で崩れ落ちたり、水脈が工事の方法により変わって、日常生活に支障が起きるのが目に見えている」(南区50代女性)などリニア建設工事に絡む、さまざまな不安の声を寄せました。

 「わからない」と答えた人の意見は、「リニア計画そのものの目的、何が問題点なのか計画の意味を知らない」(熱田区60代女性)、「JRだけがお金を出して計画をすすめるなら好きにすればよいが、国や地方が市民の血税を勝手にリニアへ投入することは断固反対。血税を投入するなら国民投票すべきである」(中村区30代男性)などです。

設問6. 「あなたが名古屋市政にのぞむことを選んでください(36項目から5つ以内)」

 トップは前回と同様、「ムダな公共事業の削減」でした。次いで「介護保険料・利用料軽減」「敬老パス制度の維持・拡大」「国民健康保険料の値下げ」「高齢者福祉の充実」の順です。他方、「名古屋城の整備」や「名古屋駅周辺の開発」、「金城ふ頭の開発」など河村市長肝いりの大型公共事業は、いずれも31位以下にとどまりました。

 世代別でみても、80代(「敬老パスの維持・拡大」が1位)を除く全世代で「無駄な公共事業の削減」がトップ。以下、年代層別に2位から5位までの項目を紹介します。

 10代の2位は、「いじめ問題の解消」でした。3・4位は「津波への備え」「耐震助成など地震対策」と防災分野が続き、5位は「給付型奨学金制度の創設」です。

 20代は「国民健康保険料の値下げ」が2位でした。前回同様、非正規雇用で国保に加入する若者の実態が浮き彫りになりました。3位以下は「保育所待機児童の解消」「保育料の値下げ」「医療体制の充実」です。

 30代は、「保育所待機児童の解消」「保育料の値下げ」「医療体制の充実」「子どもの貧困と児童虐待への対策」の順で、子育てに関する要望が上位を占めました。

 40代は、「医療体制の充実」「介護保険料・利用料軽減」「国民健康保険料の値下げ」と医療・介護分野が続き、5位は30代と同様「子どもの貧困と児童虐待への対策」でした。

 50代以上は、若干順位が入れ替わるものの、「介護保険料・利用料軽減」「医療体制の充実」「高齢者福祉の充実」「国民健康保険料の値下げ」がいずれも上位に入りました(60代以上は「敬老パスの維持・拡大」も上位に)。

 「その他」に書かれた声は多岐にわたります。いくつか紹介すると、「保育園に入れません。0歳と1歳児はすぐに入れる園が増えましたが、3歳から4歳児(3年保育の年少から)は入れません。困ります。幼稚園では働けません」(昭和区30代女性)、「母子家庭で、大学に通っている子の奨学金をもう少し何とかしてほしい」(中川区40代女性)「年金生活者になった時、現在のアパートでは家賃が高いので不安です。せまくてもいいので高齢者用の低賃金の住宅を確保してほしい」(中川区50代女性)、「介護保険は必要な時に利用できるよう望みます」(中川区70代女性)などです。

設問6.「議員報酬の引き上げについてお聞きします」

  議員報酬が年額800万円から1450万円に引き上げられたことについて尋ねました。たところ、「白紙に戻す(年額800万円)」が64%で、「議会が決めたので、認める(年額1450万円)」9%と、「その他」・無回答の合計28%を大きく上回りました。

 自由記入欄には、「報酬が本当に1450万円必要ならば認めますが、具体的な内訳の説明が無く、ただ元に戻しただけとしか思えないので…」(中川区50代男性)、「引き上げは認めるが詳しい経緯を説明してほしい。財源や引き上げた理由を」(守山区20代男性)、「800万円は少ないと思いますが、いきなりこのご時世に650万円もUPはおかしすぎます」(中区50代女性)などの意見が寄せられました。

 なお、日本共産党市議団は、議会で報酬引き上げに反対し、増額分は熊本地震被災地などに寄付しています。

 設問8.「くらしなどでお困りのことや市政へのご要望、日本共産党へのご意見など」

 市政について寄せられた意見、要望は、「図書館への予算を増やしてほしい。新刊などの入荷が少ない」(港区40代女性)、「名古屋を日本一地震に強い町にしてみては?住人が増えますよ」(天白区20代男性)、「保育園、幼稚園、学校など子どもの教育・福祉に対して大幅に予算を増やし充実させ、安心して子どもを産み、育てる環境を整えることが、市の活性化、安定につながると思います。共産党に頑張ってほしいです」(天白区60代女性)などです。

 日本共産党に対する期待や要望も多数寄せられました。「最近の共産党の広報・宣伝は昔のブサイクな感じがなく、あか抜けた感じがする」(中区30代男性)、「他の政党に呼びかけ、参院選を統一候補でたたかう先頭となったことに感銘をうけました」(天白区50代男性)、「老人に対しての負担を少なくして欲しい。日本共産党が野党第一党になるよう希望する。また、共産党の名を、もっと違ったものにしたらどうでしょうか」(南区70代男性)、「市政改革に今後も期待します」(中川区60代男性)、「政務活動費の不正使用をただしてほしい」(中村区40代男性)、「憲法九条改悪反対です。共産党さん、一緒にがんばりましょう」(天白区40代女性)、「私は中小企業経営者です。本来なら自民党応援ですが、今の自民党は勝手すぎる。民進もはっきりしない。共産党頑張れ!」(名東区70代男性)などです。

 今回のアンケートそのものに対する意見では、「今までこういったアンケートを手にすることがなかったので嬉しい。今後も色々なアンケートをお願いしたいし、若者の政治離れの解消になるかも」(西区20代女性)、「共産党の方々はまじめに市民のことを考えてくれると思います。他の党ではこのようなアンケートはされっていないのではないですか?市民の声を吸い上げ、よりよい生活につながるようがんばってください」(土木会社勤務40代男性)などの声が寄せられました。

 日本共産党名古屋市議団は、皆さんからいただいた要望や意見を市政に届けるとともに、福祉・暮らし最優先の市政へ転換を求める、皆さんの願いを実現するため、今後も全力を尽くす決意です。