名港議会 山口清明議員の一般質問②米軍兵站船の入港(2016年11月10日)

米軍兵站船等の入港について
       山口清明 議員160831-%e4%b8%ad%e6%97%a5%e5%a4%95%e5%88%8a%e3%80%80%e5%90%8d%e5%8f%a4%e5%b1%8b%e6%b8%af%e3%81%ab%e7%b1%b3%e8%bb%8d%e8%bc%b8%e9%80%81%e8%88%b9軍事訓練を目的とする米軍艦船の寄港実績は%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%82%af4
【山口議員】8月31日、米陸軍がチャーターした輸送船「グリーンレイク(31,905㌧)」が名古屋港に入港し、飛島ふ頭西側の98号及び99号岸壁に接岸しました。続いて9月4日、米陸軍の兵站支援艦「ハロルドCクリンガー三等准尉(4,199㌧)」が同じく入港し、同じふ頭に接岸しました。いずれも滋賀県あいばの演習場での日米共同軍事演習に参加%e3%83%8f%e3%83%ad%e3%83%ab%e3%83%89%e3%81%8f%e3%82%8c%e3%82%93%e3%81%8c%e3%83%bc%ef%bc%92するためで、演習に参加するストライカー装甲車などが陸揚げされました。
 これまでも名古屋港には米海軍や海上自衛隊などの軍艦が何隻も入港してきており、そのたびに私は港湾の軍事利用に反対する立場から質問に立ち、入港への抗議活動なども市民団体のみなさんと行ってきました。
 しかし、これまでのアメリカ軍艦の入港目的は、建前とは%e7%b1%b3%e8%bb%8d%e5%85%a5%e6%b8%af%e3%81%ae%e6%ad%b4%e5%8f%b2言えあくまでも乗組員の休養や物資の補給、また友好・親善のためというものであり、戦闘行為や軍事演習のための入港ではありませんでした。ところが今回は軍事演習のために兵站活動の一端として名古屋港が利用されました。これは大きな変化です。
 マスコミでも「名古屋港に米軍輸送船 訓練目的では初の入港」との見出しが躍りましたがあらためて確認したい。軍事訓練が目的での米軍艦船の入港は今回が初めてですか。これまでの米軍艦船の寄港実績とあわせて答弁を求めます。

訓練目的の米軍艦船の入港は初めて。昭和41年以来50年間で合計23隻入港
【港営部長】訓練のための資機材の輸送を目的とした米軍艦船の入港は、今回が初めてですが、米軍艦船の寄港実績は、第一船が昭和41年に入港して以来、50年間で、合計23隻となっています。

相次ぐ軍艦の入港に危惧。軍艦船の入港はチャーター船を含めて拒否を%e5%b1%b1%e5%8f%a3%e3%80%80%e6%bc%94%e5%a3%87
【山口議員】自衛隊の艦船はどうか。海上自衛隊の艦船については、5月のヘリ空母いずもの入港はサミット警備が目的でした。それまでは、伊勢湾での機雷掃海訓練に伴う掃海艇の寄港はありましたが、あとはやはり乗組員の休養や物資の補給、そして一般公開が目的の寄港でした。
 ところが一昨年の夏、ちょうど港まつりの花火があがった夜、陸上自衛隊のチャーター船「はくおう」、これはもともと民間のフェリーだった船ですが、金城ふ頭に接岸し、北海道からの演習帰りの兵員と資機材を陸揚げしました。
 昨年8月には弥富ふ頭で、陸上自衛隊が米国で行う日米共同演習に参加するために、戦車や戦闘用ヘリ、りゅう弾砲などをチャーターした輸送船に積み込み、10月には演習を終えて同様の資機材を弥富ふ頭で陸揚げしました。
 そして今回の米軍による名古屋港の利用です。名古屋港の軍事利用の形態が、友好・親善などを目的とした軍艦の寄港だけでなく、米陸軍と陸上自衛隊の兵站活動の拠点へと変わってきた。このことは見過ごすわけにはいきません。
 全国港湾労働組合連合会は9月の定期大会で、この問題をとりあげ、「平和と港湾労働者の命と安全を守る特別決議」を採択しました。軍艦の入港ではこんな決議をしたことはありません。
 決議は「私たちの職場である商港が実践訓練に利用される初めてのケース・・・私たちの職場である港湾が、実弾射撃も含む訓練の兵站基地として機能していくように変わっていく顕著な事例」と指摘しています。
 また防衛省は、自衛隊が輸送船をチャーターし兵站活動に使い、有事の際には船員を予備自衛官として動員する計画があると認めました。それに対し、全日本海員組合は今年1月に「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」を出しました。
 声明では「先の太平洋戦争においては、民間船舶や船員の大半が軍事徴用され物資輸送や兵員の輸送などに従事した結果、1万5518隻の民間船舶が撃沈され、6万609人もの船員が犠牲となった。この犠牲者は軍人の死亡率を大きく上回り、中には14~15歳で徴用された少年船員も含まれている。・・・民間人である船員を予備自衛官補として活用する制度の創設は、「事実上の徴用」につながるものと言わざるを得ない。このような政府の姿勢は、戦後われわれが『戦争の被害者にも加害者にもならない』を合言葉に海員不戦の誓いを立て、希求してきた恒久的平和を否定するものであり、断じて許されるものではない」と強い口調で訴えています。
 名古屋港の軍事利用形態が変わり、船舶による貨物や人員の輸送とそれに伴う荷役など、港湾本来の物流機能が軍事目的に動員され始めています。この変化は商業港である名古屋港の発展と海運業界の振興とは決して相容れません。この変化についてどう認識しているのか。平和憲法のもとで軍事利用のための軍艦船の入港はチャーター船をふくめて拒否すべきです。なぜ米軍艦船の入港を拒否できないのか。あわせて答弁を求めます。

米軍兵たん船は通常の貨物輸送と認識。米軍艦船の入港は支障がない限り認める
【港営部長】今回の米軍兵たん船は資機材の輸送のために、港湾運送事業者が係留施設や荷捌き地を港湾管理者から借り受け、港湾労使間の合意に基づき、港湾労働者が荷役作業を実施しており、通常の貨物輸送という認識です。
 チャーター船を含む米軍艦船の入港は、港湾法第13条第2項に「何人に対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し、不平等な取扱をしてはならない」と規定されており、施設の利用に支障がない限り提供を行っている。

米軍艦船の入港打診があった場合の名古屋港と四日市港のちがいは
【山口議員】今回の米軍艦船の入港についても、いわゆる24時間ルールによって入港前日まで情報が伏せられていました。ところで四日市港管理組合は、2003年、あいば野での演習に参加した兵員を輸送する米軍チャーター船ウエストパックエクスプレスが四日市港を利用したことをふまえ、翌2004年、米軍艦船入港マニュアルをつくりました。核兵器搭載の有無を文書で外務省に照会すると定めたこのマニュアルの作成公表後、米軍艦船の入港は皆無です。
 そこで、チャーター船を含む米軍艦船の入港打診に対する管理組合の姿勢の違いについてうかがいます。
 米軍艦船の入港について管理組合に打診があった時の対応について、名古屋港管理組合の対応と四日市港管理組合の対応はどうか。市民県民及び議会への情報提供、情報公開の在り方、執行機関の意思決定、入港の是非を判断するのは誰か、などについて、同じか違うか、わかりやすく答弁してください。

違いは、情報公開が、四日市港は概ね1週間前、名古屋港は24時間前
【港営部長】四日市港管理組合のマニュアルによれば、四日市港も名古屋港と同様に、海上保安庁からの通告により入港しています。施設の提供も、名古屋港と同様に港湾管理者の関係部署で施設利用の支障の有無などを確認のうえ、判断します。
 情報公開は、四日市港では概ね入港1週間前に行うとなっていますが、名古屋港は、在名古屋米国嶺事館の要請に基づき、港湾及び警備関係機関の合意により、入港24時間前の情報公開を行っています。

米軍艦船は特別扱いではないか。せめて四日市港レベルの情報公開を(再質問)
【山口議員】アメリカ軍の艦船及びチャーター船について、入港の許可は港長つまり海上保安庁の権限、管理組合は港湾施設の使用許可を与えるかどうか判断します。
 今回は軍事演習ですが、入港の目的が何であれ、不平等な取り扱いはしない、今回も「通常の貨物輸送である」と認識している、との答弁でした。通常の貨物輸送、と言いながら、情報公開については米軍の要請に従っている。やはり特別扱い、ダブルスタンダードではないでしょうか。米軍兵站船も通常の貨物船、との認識も問題ですが、情報公開での特別扱いはあまりにも卑屈じゃありませんか。米軍艦船が名古屋港に入港するとの情報を私はどこで確認したか。米軍のホームページですよ。四日市港の米軍対応マニュアルの一部を紹介しましたが、四日市港との連携と言うのなら、アメリカ軍艦船の対応についても、せめて四日市港レベルの情報公開を行うルールを名古屋港でも自主的に確立すべきです。専任副管の答弁を求めます。

入港に関わる情報公開は今後も利用者の要望に応じて適切な対応を行う
【専任副管理者】米軍艦輝の入港に伴う港湾施設の利用は、他の船舶と同様な取扱いを行っています。入港に関する情報公開は、利用者から1週間程度前に施設の使用願が提出され、それに基づいて速やかに名古屋港のホームページにて公開を行っています。
 なお、利用者から、入港情報の公開について入港直近まで非公開としたい旨の要望があった場合は、できる限り利用者の要望に応じています。ただし、入港に関わる関係者が資機材を含む作業手配などに必要な時間を考慮して、入港24時間前には入港情報などを公開しています。
 名古屋港では米車艦船などの他、過去にはクルーズ船においても、船社からの要望により、24時間前に情報公開をした事例があります。
 以上の手続きは、既に名古屋港関係者に定着しているので、港湾管理者としては、入港に関わる情報公開は、今後も利用者の要望に応じて、適切な対応を行っていきます。

米軍艦船だけを特別扱いにするのか(再々質問)
【山口議員】米軍艦船の情報公開ルールは、米軍だけのルールではない。利用者からの要望があれば入港直前まで非公開としている、との答弁でした。
 いままで入港直前まで非公開としたケースの圧倒的多数は米軍艦船です。クルーズ船の例をあげられたが、欧米の大富豪のプライベートな寄港というごくごく稀なケースです。もう一つ私が知っているのは5月の自衛隊ヘリ空母「いずも」のケースだけです。入港直前まで情報非公開という名古屋港のルールは実態としては米軍艦船のためのものになっています。
 全国の港に米軍艦船が入港していますが、24時間ルールなど関係なく情報公開している港の方が多いのではありませんか。名古屋港がいちばん米軍の言うことを聞いてくれる港になっているのではないか。この問題は、引き続き追及していきます。いまからよく調べておいてください。
 入港に関する情報公開については「利用者の要望に応じて」対応するというのは、米軍だからという理由では特別扱いしない、と受け取っていいのか。最後にもう一度、確認して質問を終わります。%e6%b5%b7%e7%8e%8b%e4%b8%b8%ef%bc%92

米軍艦・一般船舶に関わらず、利用者からの要望があれば、24時間前までは公表を差し控える
【専任副管理者】入港情報は、利用者から使用願が提出され次第、速やかに名古屋港のホ一ムぺージにおいて公表をしていますが、米軍艦船、一般船舶に関わらず、利用者からの要望があれば、入港に係る作業手配に必要な24時間前までは、公表を差し控えています。名古屋港では、今後とも同様に取り扱っていきます。

 

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