9月議会 くれまつ議員が決算認定案に反対討論

 くれまつ順子議員は10月12日の本会議で、2015年度名古屋市一般会計の決算認定に反対の立場で討論を行いました。
 動画は名古屋市会HPをご覧ください。討論の全文は以下のとおりです。

2015年度一般会計決算認定案の反対討論 くれまつ順子

 日本共産党名古屋市議団を代表して、2015年度名古屋市一般会計決算の認定に反対の立場から討論します。

 反対する第一の理由は、市民税5%減税を継続し、その財源づくりとして「行革」の名で市民負担増と福祉・教育の民営化を進めたからです。

 市民税5%減税の減税額は昨年度117億円でした。減税額トップは、個人では393万3000円、企業では1億4600万円、富裕層や大企業には手厚い減税です。減税を受けた市民の半数はわずか5000円以下で、そもそも非課税者には何の恩恵もありません。市民税減税は、名ばかり。大企業と富裕層のためのもので、格差を広げるだけではありませんか。

 昨年度は、介護保険料の値上げによって、65歳以上の高齢者に36億5千万円の負担増が押し付けられました。金持ち大企業優遇の減税をやめて、重い負担がのしかかる保険料をおさえるのにまわすべきです。

 この「減税」はまた、意図的に財源不足を作り出し、公的福祉の縮小・解体をすすめる「行革」のテコにされています。

 この年も4月から、矢田保育園、田幡保育園、東志賀保育園、3つの公立保育園が廃止民間移管され、さらに5つの公立保育園の廃止・民間移管の準備が進められました。希望する保育園に入所できない児童は五百名を超えているにも関わらず、公立保育園の廃止を進めるのでしょうか。安心して預けられる安全な保育園への入所を希望する市民は増えています。公立保育園の廃止を進めてきたことは、保育に対する公的責任を低下させたものであり、認めるわけにはいきません。

 また、市立図書館の指定管理者制度の試行を志段味図書館で継続してきました。指定管理者は直営時より削減された経費では運営ができず、2015年度95万円の赤字です。指定管理者制度は経費を削減して民間のノウハウで市民サービスを向上させるといいますが、民間事業者の持ち出しと低賃金労働に依存する実態があらわになりました。図書館運営への指定管理者制度の試行は中止し、直営にもどすべきです。

 第二の理由は、リニアを起爆剤とする名古屋駅周辺開発や名古屋城天守閣の木造復元など、新たな大型事業に税金を注ぎ込む無駄遣いへの道を開いたからです。

 リニア新幹線は、それ自体が、巨額の建設費、採算見通しのなさ、環境破壊など、さまざまな問題点をもっています。そのリニア開業を見据えて推進されている名古屋駅周辺開発は、浸水のおそれが強く、軟弱な地盤の名古屋駅周辺に人口集中を促すものであり、災害リスクの拡大が懸念されます。

 名古屋駅ターミナル機能強化については、乗り換えをわかりやすくし、バリアフリー化の促進は必要ですが、事業費に関してJR東海、名鉄などの鉄道事業者に応分の費用負担を求める姿勢が欠けており、本市のみが莫大な負担を負うことになりかねません。

 また、名古屋駅周辺地下公共空間整備、いわゆる笹島巨大地下通路については、地権者や関係機関との協議が難航し、来年度の供用開始という目標は達成できず、当局は約134億円とされる事業費がさらに増大する可能性も示唆しました。それならば、地下通路建設はいったん中止し、ささしまライブ24地区の開発が完了する来年度以降の歩行者交通量を踏まえて再検討すべきです。

 名古屋城天守閣の整備については、木造復元に向けて「技術提案・交渉方式」による契約手続きを開始したこと自体が問題でした。市民の意見を聞くこともなく、2020年7月を完成期限としたことは、その後の市民2万人アンケートで否定されました。概算事業費も財源確保の見通しも明らかにせず契約手続きを開始したため、上限400億円とされていた事業費が505億円に膨らみ、収支計画は、現在の2倍以上の入場者数が50年間も継続することを前提にした荒唐無稽なものとなりました。2020年7月完成は、市長自らが期限の延長を表明せざるをえないほど、無謀な方針だったこともはっきりしました。

 まずは、天守閣や石垣の耐震対策を最優先し、木造復元についてはじっくり検討すべきです。

 以上、反対の理由を申し上げてきましたが、私たちは、税金の無駄遣いを許さず、市民の暮らしや福祉の願いを実現する、その決意を申し上げまして討論を終わります。

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