さはしあこ議員の個人質問① 小規模校対策について(2016年6月21日)

破たんした小規模校対策は見直しを

第1グループ4校の取り組みの進捗状況はsahasi1
【さはし議員】通告に従い、最初に「小規模校対策について」教育長におうかがいいたします。
本市は「名古屋市立小・中学校における小規模校対策に関する基本方針」に基づき、平成23年度から28年度までを計画期間とする「小規模校対策に関する実施計画」を策定しています。
 以下、小学校についてお聞きします。
 この実施計画は、クラス替えができない小規模校の解消を目的としています。
 小規模校を3つのグループに分け、優先順位をつけて、段階的に取り組んでいくものです。最も優先的に取り組む第1グループは「現在、6学年すべてが単学級の学校で、実施計画期間内も同じ状況が継続する見込みの学校」である9校を対象とし、当初、この9校については、実施計画期間内の統合を目指してきました。
 ところが、9校のうち、西区の幅下小、江西小、那古野小の3校は、平成27年4月に「なごや小学校」として開校しましたが、その他はなかなか進まなかったことから、平成26年度に、取り組みを一部手直ししています。小規模校対策計画 児童数が120人を越えない中区の御園小については、28年度までに「速やかに統合へ向けた合意を図る」となり、中村区豊臣小と昭和区白金小の2校は、今後、学級数が増えそうなことから「当面の児童数の推移を見守る」として計画からはずれました。
 残る3校の西区南押切小、南区大生小、天白区高坂小については「28年度までの合意を目指す」に見直されました。
小規模校対策第1グループ計画 そこで、おたずねいたします。御園小学校については、対象校である名城小学校との統合へ向けた合意は図られたのですか。実施計画に基づいた現在の進捗状況をお示しください。
 併せて、第1グループに属する南押切、大生、高坂小学校の3校の取り組み状況についてもお答えください。

御園学区は「小規模校対策検討会」を組織、南押切小、大生小、高坂小は検討の準備のため説明をしている
【教育長】御園小学校は、平成28年3月より、保護者・地域住民・学均の三者の代表による「御園学区小規模校対策検討会」を組織し検討をはじめているところです。また、南押切小学校、大生小学校、高坂小学校の3校は各学区に検討会を組織していただくためにPTA役員と学区役員の方々に説明をしているところです。

統合に向けた保護者や住民の合意は得られていない
【さはし議員】平成22年11月定例会の本会議質問で、わが会派は「小規模校を統廃合することで、地域の宝と言える教育と文化の大切な拠点である学校をなくすことは大問題である」と指摘し、「地域の理解と合意を得られるようでなければ統合はやらないでいただきたい」と求めました。当時の教育長は「保護者や地域住民のみなさまと話し合い、十分な理解を得て進めてまいりたい」と答弁されています。
 地域住民や保護者の合意が大切との認識は、杉崎教育長もお持ちだと思います。そのような認識のもとで、小規模校対策を進めてきましたが、結果として幅下、江西、那古野小学校の3校しか進んでいないようです。
 この3校以外の第1グループの対象校については、統合に向けた住民や保護者の合意が現時点では得られていないという現状認識でいいですか、お答えください。

残りは統合に向けた合意形成に至っていない
【教育長】第1グループの残りの対象校は、統合に向けた合意形成に至っていない状況です。引き続き保護者・地域住民のご理解がいただけるように努めながら、粘り強く小規模校対策を進めたい。

御園小学校はクラス替えができないという課題は達成されない(再質問)
【さはし議員】御園小学校は、検討会が組織されたとのことですが、統合の相手校とされている名城小学校との統合の見通しがたたず、丸の内中学校への移転という方向で検討が進められているとお聞きしました。
 小規模校対策の目的は「クラス替えができない」ことによる課題を解消するためとされています。ところが、全学年1クラスの御園小学校を丸の内中学校に移転しても、小学校の6学年はすべて1クラスのままです。「クラス替えができない」という現状は、何ら変わりません。クラス替えができるように1学年2クラス以上にするという小規模校の統合計画は、御園小学校については破綻したのではないですか。お答えください。

小学生と中学生が触れ合うことで 社会性を高めることができる
【教育長】御園小学校での方策は、小学生と中学生が触れ合うことで社会性を高めることができるなど小規模校の課題を一定軽減ができ、小規模校対策に資する。

地元合意が得られていない学校は 実施計画を白紙に(再質問)
【さはし議員「小規模校対策に関する実施計画」は今年度、計画の最終年度を迎えました。しかし、6年という期間を費やしても、南押切小学校、大生小学校、高坂小学校については、学区役員やPTA役員に説明されただけです。教育長も、地域住民や保護者の「合意形成に至っていない」ことをお認めになりました。地域住民や保護者の理解が得られず、合意に至る見通しがないにもかかわらず、あくまでも実施計画にしがみかれるおつもりですか。
 そもそも「クラス替えができない」ことが、教育上の大問題なのでしょうか。高坂小学校の相手校とされている相生小学校も全学年1クラスですが、相生小学校の今年の卒業式で、卒業生が合唱した「6年1組学級歌」という歌が、出席していた保護者や地域の方々に感動を与えたそうです。この学級歌の一節を紹介します。
  友達100人つくろうと
  ワクワクドキドキ入学式
  1年生は1、2、3
  たった23人 忘れないよ
  君の言葉『友達になろう』
  絶交 けんか 殴り合い
  口をきかないこともあったさ
  『ごめんね』君の言葉
  うれしかったよ けんかがあっても
  何があっても 問答無用の一クラス
  でも君がいてよかったよ
 この学級歌は6年生みんなで作ったそうです。こういうクラスだったら、「いじめ」を止めることもできるでしょう。小規模校には小規模校のよさがあります。
 教育長、6年かかっても地元の合意さえ得られていない南押切、大生、高坂小学校については、実施計画を一旦白紙に戻すべきではありませんか。そして、小規模校のよさを生かした学校づくりを後押ししましょう。答弁を求めます。

小規模校対策は必要(教育長)
【教育長】小規模校対策は、平成27年1月に文部科学省が策定した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」で一定の集団規模が確保されていることが望ましいと述べられている。
 将来を担う子どもたちのよりよい教育環境を確保するためにも、小規模校対策は必要と考えるので、今後とも粘り強く進めたい。

一面的に統合するな(意見)
【さはし議員】文科省の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」は、適正規模とされる12学級を下回ったから、機械的に学校統合を行うという趣旨でなく、学校統合のみならず、小規模校のメリットの最大化やデメリットの克服を図りつつ、学校存続を図る選択肢もあり、文科省はいずれの選択も尊重、支援していくとしています。本市もその立場に立っていただくことを申し上げます。

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