議員報酬とリコール問題で記者会見(4月5日)

P1020475議員報酬を800万円に戻し、市民の声が届く議会改革に全力

 日本共産党名古屋市議団の田口一登団長と江上博之幹事長は4月5日、記者会見を行い、議員報酬を800万円に戻す条例実現へ全力を尽くすとともに、市議会解散(リコール)運動には同意できないという立場を表明しました。全文は以下のとおりです。

 自民党、民主党、公明党は3月8日、「勝手に決めるな!議員報酬引き上げ」「市民の意見を聞け」の声を無視して、報酬額を年800万円から1455万円に引き上げる条例を強行しました。日本共産党は、「民意を削り、議員の身を太らせる」との理由で定数削減にも、報酬引き上げにも反対しました。
 日本共産党は、報酬の増額分については使わず寄付することにしました。今後、報酬額を800万円に戻す条例実現に全力を尽くします。

リコール運動には同意できません

 現在、「議会解散運動」が進められています。しかし、報酬引き上げに対する反対運動の手段としての「議会解散運動」には同意することはできません。その理由は以下の2点です。

 第1に、市民と共同して議会改革を進める立場の市会議員まで解職することに、道理がないからです。
 議員報酬をめぐって2月議会では、日本共産党と減税日本ナゴヤが、市民の意見を聴取するよう求め、報酬引き上げに反対しました。市民の怒りは、市民の声を聞かずに報酬引き上げを強行した自民・民主・公明の3会派に向けられており、こうした暴挙に反対した市議会の3分の1近くを占める議員も含めた「議会全体」に向けられてはいないはずです。
 名古屋市議会基本条例は、議員報酬や議員定数を定めるときに、「民意を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を活用することができる」とするなど、議会活動に市民の多様な意見を反映させることを明記しています。今回の報酬・定数をめぐる事態は、3会派が議会基本条例の精神から逸脱したところに問題があるのです。
 ところが、「議会解散運動」では、こうした問題の本質が「市長対議会」「市民対議会」という構図にすり替えられてしまい、市議会の中で議会基本条例の精神に立って改革に取り組む勢力と市民との共同を分断することになりかねません。議会基本条例の精神に立って努力している議員まで解職することに、道理はありません。
 なお、議会解散の理由が「市議会は市民、納税者の声を聞かない」という点にあるとすれば、議員報酬の引き上げとともに、議員定数の削減も市民の声を聞かずに強行されたのですから、定数削減も議会解散の根拠とすべきではないでしょうか。しかし、議会解散運動の準備の中では、定数削減については議会解散の根拠にあげられていません。

 第2に、市長が市議会解散(リコール)運動を「主導」することは、地方自治の二元代表制の原則を壊すものだからです。
 河村たかし市長は、名古屋市議会が閉会した翌日の19日、街頭演説で「『リコール(議会解散請求)の署名運動をして、市民の気持ちに基づいた議会に変えよう』と訴えた」(「毎日」3月20日)などと報じられています。「署名活動は事実上、市長が主導。5年前に、減税や議会改革を理由にリコールを成立させ、出直し市議選に追い込んだ再現を狙っている」(「中日」4月1日)といいます。
 憲法は、地方自治の原則として議会と首長がどちらも住民から直接選ばれる二元代表制を定めています。両者がチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の関係で、お互いの独断や暴走を防ぎ、民主主義を保障する仕組みです。市長の思い通りにならないからといって、市長が議会解散運動を「主導」することは、地方自治の二元代表制の原則を破壊するものです。
 「減税日本」の代表を務める河村たかし市長が署名活動を「主導」することになれば、受任者名簿が「減税日本」の選挙活動に使用された5年前の事態が再現されかねず、署名活動の党略的な利用も懸念されます。

800万円条例実現に全力

 いま名古屋市議会に求められていることは、東京オリンピックまでの名古屋城天守閣の木造復元をはじめとする河村市政の〝暴走〟をチェックし、市民の福祉・暮らしを守ることです。そのために、市議会が、市民の多様な意見を反映させるという議会基本条例の精神を取り戻し、議会改革をさらに進める必要があります。
 日本共産党市議団は、市民のみなさんとともに、報酬800万円に戻す条例実現に全力を尽くす決意です。

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