2015年9月定例会

田口議員が天守閣木造復元の調査予算について議案質疑

田口演壇IMG_8183 田口かずと議員は本会議にて9月15日、名古屋城天守閣の木造復元にむけた調査費計上について議案質疑を行いました。今年6月の市議会経済水道委員会の議論では、天守閣の整備方法について木造復元や耐震改修など複数の選択肢を示すことになっていました。にもかかわらず木造復元を推進するための予算を唐突に提案することは、これまでの議論をないがしろにするやり方ではないか、と追及しました。動画は名古屋市会HPを、質疑応答の全文意訳は下記をご覧ください。

2015年9月15日 田口かずと

9月定例会 議案質疑と答弁

市民そっちのけで天守閣木造復元予算をすすめるのか

天守閣整備の選択肢は木造復元だけか

【田口議員】名古屋城整備検討調査について質問します。

 この予算は、名古屋城天守閣の木造復元に向け、契約手法として技術提案・交渉方式を採用し手続きを進めるとともに、名古屋城の魅力向上策の検討調査を実施するというものです。

 技術提案・交渉方式とは、技術的な難易度が高く、発注者が最適な仕様を設定できない工事などで、ゼネコンから技術的に優れた提案を公募し、提案を審査して選んだゼネコンと価格や施工方法などを交渉して決定する契約方式です。今回の予算では、木造復元の設計・施工を請け負うゼネコンを選定するところまで進める予定だと伺いました。

 そこでまず、今回の予算提案の手続きについてお尋ねします。

 天守閣の整備については、今年6月17日の経済水道委員会で市民経済局は、「可能な限り早期の木造復元を目指す」という方針を示しましたが、委員から疑問や批判が続出したことを受けて、7月1日の同委員会では、「木造による復元を見据え」つつ、「整備の選択肢を示しながら、市民の意見を聞き、調査結果などを丁寧に説明する」という方針にトーンダウンしました。経済水道委員会では、委員から、「名古屋城のビジョンをきちんと示してほしい、もっと市民の意見を聞くべきだと思う」「財源の算段をどうするのか、財源がはっきりしない中で結論を出すわけにはいかない」「経済効果や誘客効果をきちんと示してほしい」「今、何百億円もかけてやることではない」などの意見が出されたことが、「市会だより」にも掲載され、市民に知らされています。

 議会は木造復元にゴーサインを出しておらず、当局も「木造復元をめざす」という方針を引っ込めたのです。それにもかかわらず、木造復元に本腰を入れて取り組む予算を提案された。これは、あまりに唐突だといわなければなりません。

 そこで、市民経済局長にお尋ねします。天守閣整備の選択肢としては、どのような手法があるのですか。それらの整備手法について、7月1日の経済水道委員会以降に市民の意見を聞いたのですか。市民の意見を聞くこともなく、木造復元へと舵を切るというのは、議会無視、市民そっちのけではありませんか。

一般論は木造復元、復元的整備及び耐震改修が、具体論では史実に忠実な復元がある。市民にはこれから説明していく

【局長】文化庁の見解は、一般論として、「天守の再建については、整備主体である地元の自治体がどのような内容の整備を行うか考えることが第一」であり、「その上で、天守を復元する場合は、原則として材料等は同時代のものを踏襲する必要があるが、それ以外の可能性を排除するものではない」とされていることから、整備手法としては、木造復元、復元的整備及び耐震改修が考えられる。

 一方、具体論として、文化庁から「名古屋城天守閣については、往事の資料が十分そろっていることを踏まえると、いわゆる復元検討委員会において木造によるできうる限り史実に忠実な復元をすべきとの意見が出される可能性が極めて高いと考えられる」との見解もいただいている。

 整備手法についての市民意見は、7月以降には聞いていません。

 市民の意見については、今後、天守閣の現状や課題、整備手法などについて、タウンミーティングの開催等きめ細かく様々な機会を捉えて丁寧に説明し、意見をきいていきたい。

市民の意見を聞かずに木造復元をめざすという方針に舵を切った(再質問)

【田口議員】「7月1日の経済水道委員会以降に市民の意見を聞いたのか」という私の質問にたいして、市民経済局長は、「聞かなかった」という答弁でした。7月1日の経済水道委員会で、「整備手法の選択肢を示しながら、市民の意見を聞く」という方針を示して以降、市民の意見を聞くこともなく、木造復元をめざすという方針に舵を切った。このことをお認めになったという理解でいいか。

調査をもとに技術提案交渉方式の手続きをすすめるための予算をお願い

【局長】所管事務調査でいろいろ議論をいただいて、解決すべき課題をいただいた。経済波及効果など、整備の手法によってどういう効果があるか、建設費はどうなのかなどの、いただいた意見をもとに調査してきた。そういったものも9月議会の中で示していき、技術提案交渉方式の手続きをすすめるための予算をお願いした。この調査の中で、タウンミーティングなどの開催などきめ細かく天守閣の現状・課題・整備手法等を丁寧に説明し意見を聞いていきたい。

調査結果も説明しないままの議案提出でいいのか

【田口議員】市長は、先日の提案理由説明の中で、天守閣復元にかかる調査結果を、議会開会前に所管事務調査で説明することは事前審査になると述べられましたが、私は、どうして事前審査になるのか理解できません。もちろん、今回の予算案に盛り込まれた技術提案・交渉方式の採用などを説明することは事前審査になるでしょう。

 しかし、木造復元の経済効果などの調査結果を説明することは、事前審査には当たらないのではないですか。木造復元に向けた予算を提案する前に、市長自らが誠実に調査・検討してきたという調査結果を議会に報告すべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

提案説明通り(市長)

【市長】9月10日本会議の提案理由説明で言った通りです。

(参考)市長の提案説明より

 調査結果を所管事務調査で説明することが必要ではないかと考え、指示、検討してまいりましたが、事前審査になるということで今回の形になりました。ご理解をいただくとともに、おわびを申し上げます。

補正予算を提出せずに調査結果を報告すべきだった(意見)

【田口議員】市長は、今回の予算審査の手続きについて「事前審査にあたる」といことについては提案理由説明の中で述べた通りという答弁。確かに、今回予算に盛り込まれたような技術提案方式で手続きを進めていくという予算を提案するならが事前に所管事務を報告することは事前審査にあたる。この間の経済水道委員会の議論は契約方法をどうするかの議論はしていない。経済波及効果とか、名古屋城全体のビジョンとか、財源とか、どうするのかという指摘。だからこんな木造復元に向けた今回の補正予算を提出しなければよかったんです。提出せずに調査結果を報告するという手続きを取るべきだということを指摘しておきたい。

「本物復元」に対する市長の考え

エレベーターも設置せず、無節のヒノキを使うのか

【田口議員】木造復元の仕様についてです。

 創建当時の名古屋城天守閣は、柱には主に木曽ヒノキが使われ、しかも節のない、「無節」の極上材でした。もちろん、現在の天守閣に設置されているようなエレベーターはありません。

 そこで、「本物復元を推進する」という河村市長にお尋ねします。市長は、創建当時と同様に「無節」の木曽ヒノキを使用したいというお考えですか。「節付き」では本物とは言えないでしょう。バリアフリー化については、一昨年の6月定例会でのわが党の代表質問にたいして、市長は「学生に背負子で背負ってもらって階段を上がればいい」と答弁されていますので、本物同様にエレベーターは設置しないというお考えでいいですか。

ヒノキは6割という説もある。エレベーターも地震や災害時には無力だ(市長)

【市長】全体が無節かどうかは分かっていない。写真等から推測して、あるところが言うには6割程度が檜だろうということなので、それこそ専門家による技術提案をいただいて考えていくことになる。

 バリアフリーは専門家の中でも様々に意見が分かれ、それこそ専門家により技術提案交渉が最も適する。たとえばエレベーターを作ったとしても地震や火災があったら、たぶん動かない。ある程度人がいて、みんなでおろせるようにするなりというほうが実は温かい、などという意見もある。いろんな意見があるので専門家による技術提案をいただいて考える。

史実に忠実な復元は困難ではないか

【田口議員】今年3月に本市が公表した『名古屋城整備検討調査報告書』では、基礎構造については、「木造による史実に完全に忠実な復元計画は困難」であるとして、天守閣の1階より下部は鉄筋コンクリート造りが検討されています。柱に使う木材は「節付き」の国産材にランクを下げ、エレベーターの設置も検討されています。

 市民経済局長、このことは、木造による史実に完全に忠実な復元は困難という認識に当局は立っているという理解でいいですか。

史実に忠実といえども、安全性の確保が求められており、文化庁と協議する

【局長】史実に忠実な復元を目指す場合でも、文化庁による「史跡等における歴史的建造物の復元に関する基準」に基づき「構造及び設置後の管理の観点から、防災上の安全性を確保すること」への配慮が求められております。

 文化庁と協議を行うなかで、構造・防災上の安全性などとの調和を図り、整備を進めてまいりたいと考えております。

「特別史跡名古屋城跡全体整備計画」との整合性

全体整備計画との整合性や他の整備事業への影響は

【田口議員】名古屋城跡全体の整備計画と天守閣木造復元との整合性についてです。

 本市が策定した「特別史跡名古屋城跡全体整備計画」では、天守閣整備については耐震改修という方針であり、木造復元にはまったく言及されていません。

 「全体整備計画」の見直しも行わないで、計画と異なる木造復元に向かうというのでは、整合性がとれないのではないですか。

 全体整備計画では、名勝二之丸庭園の保存整備が重点的整備事項にあがっていますが、本丸御殿に続いて天守閣の復元に巨額の費用を投入することになれば、城跡内のこうした他の整備に支障が出るのではないですか。市民経済局長の答弁を求めます。

天守閣整備の検討状況をふまえながら、適切に対応したい

【局長】全体整備計画は、天守閣整備の検討状況をふまえながら、適切に対応したい。

 名古屋城では、本丸御殿、二之丸庭園、石垣などの整備を進めており、その財源には、市費、国土交通省や文化庁の補助金、市民・企業からの寄附金を充てている。

 天守閣整備の財源は、国や県に対し名古屋城天守閣整備の重要性について働きかけつつ、市債や寄附金など、さらなる財源確保に努めたい。

技術提案・交渉方式を採用する狙い

オリンピックまでに完成させるためか

【田口議員】技術提案・交渉方式の採用についてです。

 技術提案・交渉方式は、新国立競技場の建設でも採用されています。そのねらいの一つは、東京オリンピックに間に合うよう、整備期間を極力圧縮するためとのことです。市長は、先月27日に開かれた区政協力委員議長協議会で、木造復元の早期整備に着手し、2020年の東京オリンピックまでに完成させたい考えを示したと報道されました。

 そこで、お尋ねしますが、天守閣の木造復元に技術提案・交渉方式を採用するねらいは、2020年の東京オリンピックまでに完成させたいという思いがあるからですか。

 市長の答弁を求めます。

2020年までに整備できれば、戦争からの復興を世界にアピールする機会になる(市長)

【市長】木材をどういうものを使うか、エレベーター、免震構造を入れるかなど。たとえば、上が何千トンとかいう構造物ですのであれを外すと、地盤が上がるといわれて、そうした技術的なことも専門家の意見を聞いてその提案の中から考えていきことが必要だ。

 東京オリンピックに間に合うなら戦争で傷ついた街、日本、そこから、復興のシンボルとして世界にアピールするのは東京オリンピックのとき、これ以外にチャンスはない。世界中にアピールできる。

手続きの過程で議会が木造復元はやめるという判断を下すことができるか(再質問)

【田口議員】市民経済局長は、今後、整備手法などについて市民の意見を聞き、最後は議会に判断してもらうから、木造復元という結論ありきではないとお考えなら、確認しておきたいことがあります。

 技術提案・交渉方式を採用して、木造復元に向けた手続きを進める中で、後戻りできるのかという点です。

 今回の予算では、ゼネコンから木造復元の技術提案を公募し、もっとも優れた提案をしたゼネコンを選定する予定です。市民経済局長、今回の予算で予定しているこうした手続きの過程で、議会が木造復元はやめるという判断を下すことができる機会があるのですか。お答えください。

選定で契約が約束されるものではない。2回のチェック機会がある

【局長】優秀提案の選定までを行いたい。契約が約束されるものではないことは明記する。予算措置後優先交渉権者として交渉し、合意が得られれば、契約の相手となる。設計契約と施行契約の前に予算の議決が必要なため、議会には2度のチェックをしていただくということになる。今回の提案は木造復元における工期・行程・概算事業費等を明らかにするための調査の一環です。

概算事業費もはっきりしない段階で木造復元に向けた具体的な手続きをすすめるのか(再質問)

【田口議員】市長に再質問したい。この方式を採用した狙いについて、事業費を明らかにしていくということだが、概算事業費はすでに明らかになっている。無節の木曽檜で400億円や節つきの外国産で270億円と明らかになっている。どういう木材を使って提案を募集するのかが、はっきりしない。270~400億円と幅が出る事業費で、その概算事業費もまだはっきりしない。この段階で木造復元に向けた具体的な手続きをすすめよという予算を認めよというのか。

専門家による技術や事業費の提案をいただいて市民に示したい(市長)

【市長】だから専門家によって技術提案がほしいといっている。実際できるといっていても、まだいろいろ課題が残っている。そういうものについて専門家から判断をいただいて、本当にできるならいつまでにいくらでどういう材木を使ってどういう構造でできますが、さあやりますか、ということを市民の皆さんに丁寧に説明してお伺いするのが誠実な姿ではないですか。

「調査費」というが、実際には、木造復元に本腰を入れて取り組む予算だ(意見)

【田口議員】時間がない。今回の予算は、「調査費」と銘打っていますが、実際には、木造復元に本腰を入れて取り組む予算だと考えています。だからこそこういう形での提案でいいのかということをしっかりと議論なければいけない。

 いま、市民の暮らしが大変なときです。東京オリンピックまでにというのは、まったく非現実的な夢物語ですが、工期を短縮してまでしてやっていこうということに対して、木造復元に巨額な費用を投じることに、市民の理解が得られるのか。こうした点も含めて、経済水道委員会でしっかり議論していただくことを期待して、質問を終わります。

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