2015年9月定例会

藤井議員が避難所と安保法案について議案外質問

藤井演壇IMG_8728 藤井ひろき議員は本会議にて9月15日、統廃合された小学校区の避難所について、安保法案(戦争法案)に対する市長の認識について、議案外質問を行いました。住民の声を紹介し避難所の確保を求めると共に、地方自治体として海外の戦争に協力することになる戦争法案は廃案にすべきと意見表明しました。動画は名古屋市会HPを、質疑応答の全文意訳は下記をご覧ください。

2015年9月15日 藤井ひろき

9月定例会 議案外質問と答弁

小学校統廃合による避難所の今後のあり方について

廃校になった小学校の避難所としての位置づけ

【藤井議員】今月6日には市内各区で総合防災訓練が行われました。「想定される南海トラフ大地震を考えれば、学区単位で体育館クラスの避難所は残してほしい」と、市民のみなさまから声があがっています。

 本市の市立小学校統廃合はこの間、則武・本陣・亀島各小学校が統廃合し、ほのか小学校が開校しました。また新明・六反の小学校が統廃合し笹島小中学校に。そして幅下・江西・那古野の小学校が統廃合し、なごや小学校になりました。統廃合でなくなった旧小学校の避難所は、新しい学校として使用、あるいは改築中、または旧体育館が今でも使われています。統廃合されても区政協力委員会や、消防団も旧学区単位で残っています。

 今年度、建物の老朽化が著しい中村区役所の改築調査が行われているところですが、一方で旧本陣小学校周辺の市民の皆様からは「近い将来、区役所が学校跡地に移るのだろうか。そうなった場合、避難所は残るのか」と、懸念の声も上がっています。

 先月行われた本陣学区の盆踊りに、市長もご参加されました。この時の会場が旧本陣小学校です。本陣学区内には公園がなく、また地域も木造密集地域でもあることから、今後も地域の「避難所」として、重要な役目を担っています。またスポーツ大会や、子供会の行事が開催されるなど地域にとって、大切な交流の場でもあります。

 本陣学区の隣に位置します亀島学区では、昨年旧亀島小学校の旧校舎が解体され、校舎跡地には亀島東公園(仮称)の整備計画ができております。旧体育館の今後については地元のみなさんと意見調整をされていますが、ここでも地元の要望として「スポーツができる施設がほしい」と同時に「避難所がほしい」の声があがっています。

 本市の「地域防災計画」では、避難所の指定基準に「収容人員は概ね100名以上とし、1人当たり2㎡を確保して算定すること」とあります。また「愛知県地域防災計画~地震・津波災害対策計画」では、避難所の「一人当たりの必要占有面積」として、緊急対応初期の段階での就寝可能な占有面積で2㎡/人。避難所生活が長期化し、荷物置き場を含め占有面積は、3㎡/人とあります。

 旧本陣小の体育館の広さが620㎡ですから、避難所生活が長期化した場合の約200人分の避難所となります。また隣の亀島学区にある、旧亀島小学校の体育館の広さは540㎡で、同様に約180人分となります。

 そこで防災危機管理局にお尋ねします。統廃合によって廃校になった小学校の避難所としての位置づけについて、お答えください。

避難所機能を有する場合は、引き続き指定

【防災危機管理局長】避難所を確保していくことは大変重要であり、安全で一定以上の収容人員を有する小学校などの施設を避難所として指定している。小学校が廃校となった場合、体育館などの施設は、地域防災の観点から、引き続き重要な役割を果たしている事例もあり、地域の意見を踏まえ、避難所としての機能を有する場合には、引き続き避難所として指定している。

教育委員会としての責務

【藤井議員】児童の数が減っても、人口が極端に減ったわけではありません。むしろ高齢者は増えています。子どもが減ったからといって、小学校を統廃合しても避難所までは統廃合できません。これは、本市の防災計画にもかかわる問題です。

 そこで教育長にお尋ねします。小学校を統廃合しても、元の学区の単位で、教育委員会の責任で避難所を残すべきではないでしょうか。この点について、お答えください。

機能確保に一定の配慮を加える

【教育長】統合で跡地となった学校の避難所は、全市的な観点から判断されるべきこと。「小規模校対策に関する実施計画」に基づいて、跡地の活用は、地域の要望を踏まえ、防災拠点として必要な機能の確保に一定の配慮を加えることとしている。

旧本陣・亀島小跡地を避難所に指定する考えはあるか(再質問)

【藤井議員】この間、統廃合された学校の地元の皆様から、本市に出された要望書を拝見しました。どのご要望でも、学校跡地利用に対して、「地域の防災拠点」「避難場所の確保」と、切実な声があげられています。

 想定される南海トラフ大地震に備え、市民の「避難所」は、市民の声を尊重し、今後もしっかり確保すべきであります。統廃合で廃校になって教育施設としての役目が終わっても、住民のみなさんにとって大切な「避難所」としての役目であることには、今も変わりはありません。

 そこで、防災危機管理局長にお尋ねします。学校跡地の活用について、必ず避難所として指定する。たとえば今後、旧本陣小学校や旧亀島小学校の跡地に新しい施設ができたとしても、その場所は必ず「避難所」にします、避難所を兼ねた施設にします、というお考えはありませんか。お答えください。

重要課題だが、全市的観点から判断すべき

【防災危機管理局長】防災危機管理局としては避難所機能の確保は重要な課題であると認識。統合で跡地となった学校の避難所は、全市的な観点から判断されるべきことです。

避難所機能をしっかりつくるべき(意見)

【藤井議員】ぜひ、市民の切実な声である「避難所を残してほしい」。学校跡地に新たな施設を建てたとしても、統廃合前と同じ規模の避難所機能も、しっかりつくるべきであること、この点を強く申し上げます。

「安全関連法案」に対する市長の認識を問う

法案成立による地方公共団体への影響

【藤井議員】「安保関連法案」に対する市長の認識及び本市にもたらす影響について、お尋ねします。憲法学者の多くが「憲法違反である」と声をあげている「平和安全法制」。私たちは「戦争法案」と呼んでいます。連日、マスコミで大きく取り上げられ、今週中にも法案成立を政府は、考えていると伝えられています。しかし、多くの国民が、この法案に対して反対の声をあげています。先月30日には全国各地で法案廃案の大行動が取り組まれました。そして、今月5日には白川公園において、愛知県弁護士会主催の集会が開催され、6,000人もの市民が「憲法を守れ」と、声をあげています。

 直近の新聞世論調査でも、12、13両日に行った全国世論調査(電話)によりますと、安倍政権が今国会で成立させる方針の安全保障関連法案に対して、「賛成」29%、「反対」54%となっています。また同調査では、いまの国会で安全保障関連法案を成立させる必要が「ある」は20%、「ない」は68%。国会での議論は「尽くされた」11%に対し、「尽くされていない」は75%となっています。

 現行の周辺事態法でも空港や、港、病院や消防などの地方自治体への協力が一般義務とされています。このほかに地方自治体への協力が想定されるものとして、市バスや体育館などがあげられています。この周辺事態法の改正も含む、「戦争法案」が成立すれば、本市にとっても影響をもたらすと、考えられます。

 そこで総務局長にお尋ねします。今回の法案が成立した場合、地方自治体の本市にどのように影響があるのでしょうか。お答えください。

法律等に基づき対応していく

【総務局長】現行の周辺事態安全確保法には、国が地方公共団体の長に対して協力を求めることができる規定があるが、現在審議されている法案には、地方公共団体に関する規定そのものに変更はない。これまで同様、地方公共団体として、法律等に基づき対応していく。

市長は戦争法案を憲法違反と考えるか?

【藤井議員】今回の法案は、その内容だけでなく、法案の進め方も問題となっています。解釈改憲というやり方で、憲法違反の法案を、世論を無視して採決し、成立をめざしていく。これは、まさに立憲主義の否定であります。

 憲法9条改憲派で有名な、小林節慶応大学名誉教授は、今年6月15日、日本外国特派員協会と日本記者クラブで会見し、「恐ろしいのは、憲法違反がまかり通ると、憲法に従って政治を行うというルールがなくなってしまう。これは絶対に阻止しなければいけない」、「独裁政治の始まりになる」と、この法案の撤回を強調されています。憲法9条は変えた方がいいとお考えの学者からも、「立憲主義を守れ」の声があがっています。憲法学者の9割の方が、元内閣法制局長官が、元最高裁長官が「憲法違反」だと声をあげています。

 そこで市長にお聞きします。「安保関連法案」は、憲法違反であるとお考えですか。

 またマスコミ報道では、今週中に法案成立が与党の方針だとも言われています。憲法違反の法案を、与党で採決してしまう。こんなことでは、民主主義を壊すことにならないのか、市長の認識をお尋ねします。

 この法案は、国政だけの話でなく、地方自治体にとっても、さまざまなケースが想定されており、本市にとっても無関係の話ではありません。

市長として日々職務に毎日励んでいる(市長)

【河村市長】私は、名古屋市長といたしまして、日々職務に毎日励んでおります。以上でございます。

戦争法案は廃案にすべき(意見)

【藤井議員】本日の新聞報道によりますと、大村愛知県知事は昨日、定例記者会見ではありますが、安保法案に対して、「与党が期待していたようには議論が進まず、国民の理解も深まっていない」、「日本の行く末や国の根幹である憲法の枠組みにかかわる話。さらに多くの国民の声に耳を傾け、十分かつ慎重な議論を徹底的にしてほしい」と考えを述べたと報道されております。市長からも、何らかのはっきりとした答弁をいただきたかったのですが、非常に残念でございます。

 以前市長は、集団的自衛権の問題では賛成だとお答えになられたと聞いております。この問題では、6月22日の衆議院参考人質疑で元内閣法制局長官の阪田雅裕氏が、「集団的自衛権を行使するということは進んで戦争に参加するということであり、敵となる相手国に我が国の領土を攻撃する大義名分を与えることでもあるから、国民を守るというよりは進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しています。

 さて、そもそも地方自治体の本市が取り組むべきことは、地方自治法の第一条にありますように、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」を実践することです。国に要請されて海外の戦争に協力することではありません。

 本市は先の戦争で、空襲を受け、戦闘員ではない多くの市民が亡くなりました。空襲被害者の皆さんは、今なおその時に受けた怪我や、心の傷で苦しんでおられます。「戦争は絶対にダメだ。今回の戦争法案も許してはいけない」が多くの戦争体験者の声です。

 集団的自衛権を行使することになれば、日本が、この名古屋が攻撃を受けていなくても、海外での戦争に巻き込まれることになってしまう。「戦争法案」は廃案にすべきだと、意見を申し上げます。

《議事進行》

戦争法案であるとか、そういった非常に偏った発言で、品がない

【田辺議員(公明)】ただいま、共産党の議員さんの方からですね、現在国のほうで審議されております、安全保障法制に関する質問がございました。当然、名古屋市議会は自由な言論の府でございますので、さまざまなことを議論すること、これは許容されることであります。また、地方自治体において影響がでてくる可能性が否定できないであることから、さきほどの質問があったと理解をしておりますが、戦争法案であるとか、そういった非常に偏った発言があった場合、ここは安全法制を審議する場所ではないわけであって、それに対する公平中立な反論をする機会を誰にも与えられていない以上、そういったことをすることで市民に無用な混乱を招いたりということがある可能性も、これは否定ができません。議長におかれましては議事録を精査のうえ、しかるべき措置をとっていただき、また理事会のみなさまには、こういった、わたくしに言わせれば品性のない質問をされることは、今後謹んでいただくような取り計らいをお願いしたいと思います。

事実にもとづいた質問。それこそ品性がない方が発言する内容だ

【江上議員】今の藤井議員の質問は、事実に基づいて、かつ法律の内容を踏まえた発言です。品性がないという発言は、まさに品性がない方が発言する内容であります。その点を踏まえて、議長におかれてはご配慮願うようにお願いいたします。

前例に従い、適宜処理します

【副議長】本件につきましては、この場で判断しかねますので後刻速記録を調査し、前例に従い、議長において適宜処理をいたします。

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