2014年11月定例会

わしの恵子議員の議案外質問 ③ リニア新幹線建設に名古屋市がなぜ協力するのか(2014年11月28日)

リニア新幹線について
           名古屋市会議員 わしの恵子

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名古屋市が名駅周辺建設用地の立ち退き交渉を行なうのか
【わしの議員】わしの演壇 パネル10月17日の国交省のリニア中央新幹線の工事実施計画の認可を受けて、すでに沿線関係地域ではJR東海による「リニアの事業説明会」が沿線地域において開催されています。
 私も西区の説明会に参加しましたが、堀川の五条橋西から名古屋駅に向かっては浅深度区間となり、名古屋ターミナル駅近くでは開削工事による地権者の問題など複雑な事情を抱えており、会場から次々と手が上がりました。電力消費量や、発生土を運ぶトラックの工事車両ルートの問題や、大地震など非常時の対応、特に障がい者など車いすの弱者はどう避難すればいいのかなど、10人の方が具体的な質問をしました。しかし、とても納得いくような回答とは言えずその後も多くの人が手を上げ続けていましたが、「時間だ」と言って住民の声を聞こうとせず怒号のなかで打ち切られました。他の会場でも同じように質問者がいるのに説明会を打ち切ったと聞いています。これでは、JR東海が事業説明会の手続きを進めたことにはならないし、見切り発車をするのは如何がかと思います。以下、リニア中央新幹線の工事実施計画に伴って生じる問題についてお聞きします。
 第1に、名古屋駅前の開削工事については駅東側と駅西側合わせて約70棟ということですが、JR東海はこれまでの事業説明会では、名古屋市など自治体にも協力を求め、土地収用法による買収や地上権設定を行うことを否定しなかったと聞いています。また、新聞報道では河村市長も「土地の買収なんかも色々言ってちょうだいよ。力を合わせないといけない」と話したそうですが、JR東海という民間企業が行う事業に、なぜ名古屋市が立ち退き交渉などを行わなければならないのか住宅都市局長に伺います。リニア パネル1

国家的プロジェクトであり、法にのっとり協力する(局長)
【住宅都市局長】重要な国家的プロジェクトであり、本市としても地元自治体として事業主体であるJR東海と連携協力しながら事業推進をはかる必要がある。その要として、名古屋駅をスーパーターミナル化し、国際的・広域的な拠点としてのまちづくりを進めていくことが必要と考え、この9月に「名古屋駅周辺まちづくり構想」を策定した。リニア中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づき進められる事業であり、同法に於いて「地方公共団体は、新幹線鉄道に関しその建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」と定められてるす。用地買収は事業者であるJR東海が行うが、この規定をふまえ地元自治体として適切に対応したい。

環境影響評価準備書の懸念は解決できるのか
【わしの議員】第2に、河村市長は環境影響評価準備書について、環境保全の見地から次のような懸念を表明しました。「ターミナル駅の工事は、長期にわたる大規模な工事、周辺地域の大気質、騒音、振動、水質、交通安全等に影響を及ぼし、健康で快適な環境が損なわれることが懸念される」と述べているように、計り知れない影響を与えるのではないかと危惧するものです。例えばこれをご覧ください。名古屋駅前の工事による車両については、工事用車両ルート10地点を通過する車両の最大数は、一番多い所では一日当たり682台、合計で何と3940台にもなります。今でも名駅前は超高層ビルの建設ラッシュで、ダンプカーなど大型車両が通行しており、その上、リニア工事による車両が膨大に増えるなら、子どもや高齢者の交通安全にも影響を及ぼすだけではなく、騒音や振動、排気ガス等々の問題が発生すると思われます。
 そこで質問ですが、先程述べた市長の環境保全の立場からの懸念はいくつもありましたが、払拭できると考えているのか。また、工事車両の通行問題など、工事が実際始まったときに伴う環境への影響について具体的にどのように対処するのか環境局長に伺います。

環境に配慮した工事が実施されているか確認し、必要に応じ指導する
【環境局長】長期にわたる大規模な建設工事による周辺地域への影響等について環境保全の見地から審査し、本年2月に市長意見として取りまとめた。JR東海が本年8月に作成、公表した環境影響評価書では、環境保全に十分配慮して工事を実施し、環境影響の低減に努めるとの見解が示されており、この見解に沿って事業を進めていただきたい。
 現在、リニア中央新幹線の環境影響評価は、事後調査の段階に入っており、工事の実施に伴う環境への影響を把握するとともに、環境保全のために追加的な対策が必要となった場合は、適切に対応することが求められる。今後、事業者から提出される報告に基づき、環境に配慮した工事が適切に実施されているかどうかを確認し、必要に応じ指導します。また、騒音規制法をはじめとする公害規制法令に基づく規制指導などを通じて、工事区域周辺の良好な環境の確保に努めます。

残土問題に市が協力する必要はない
【わしの議員】第3に、トンネル工事や開削工事などにより、大量に生じる建設発生土の置き場、さらには発生土の利用方法についてですが、この問題についても名古屋市が協力していくものではないと考えますが住宅都市局長の見解を伺います。

770万㎥の残土のうち公共事業等への有効利用分は可能な範囲で協力したい
【住宅都市局長】建設発生土は汚泥等は愛知県内で約770万㎥発生すると想定しており、建設発生土はリニア事業の中での再利用や他の公共事業等への有効利用をするとしている。公共事業等への有効利用は、愛知県を窓口とし関係市町村等の協力を得ながら調整を進めたいとJR東海から聞いており、可能な範囲で協力を行っていきたい。

浪費型の巨大開発ではなく、福祉やくらしを充実し、中小企業の振興をすすめ、それぞれの地域を住民にとって住みやすいものにすることこそ必要だ(意見)
【わしの議員】リニアについて意見を申し上げます。今朝の新聞報道で12月17日にも着工とJR東海が発表したとありますけど、住民合意どころかまともな説明もないまま強行は許されないと思います。
 最大の問題はJR東海という民間企業が行う事業に、名古屋市がなぜ立ち退き交渉を行うのかという問題です。
 市は、「全国新幹線鉄道整備法の13条」を理由にされますが、「地方公共団体は、土地の取得のあっせんなど措置を講ずるよう努めるものとする」とあり、これは努力義務であって義務ではありません。
 また、第一条の目的には「新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図る」とありますが、今回のリニアは、品川大阪間という限られた範囲であり、「全国的な幹線鉄道網を形成するものではありません。にもかかわらず名古屋市が用地買収にかかわって立ち退き交渉などを行うことは、名古屋市がJR東海の下請けになるのかと言われてもやむを得ないと考えます。
 「リニアを見据えたまちづくり」に前のめりですが、リニア建設によって東京一極集中がいっそうすすむ、人、モノ、カネが名古屋から東京に流れるストロー現象がおきる可能性は高いと思います。これに対抗するというのであれば、浪費型の巨大開発ではなく、福祉やくらしを充実し、中小企業の振興をすすめ、それぞれの地域を住民にとって住みやすいものにすることこそ必要だと思います。

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