2014年11月20日 市政懇談会

 P1010508山口市政懇談会での市政報告
(日本共産党名古屋市会議員 山口清明)

 はじめに
 急な解散総選挙となりました。市民のくらしを守るためにも大いに躍進して安倍政権に痛打を浴びせましょう。 
 来年の市議選は4月12日投票です。日本共産党愛知県委員会は市議選の基本政策「228万市民が輝くなごや改革ビジョン(第一次案)」を10月15日に発表しました。みなさんのご意見募集中です。 

来年度の名古屋市予算編成について
 来年度予算編成に関してですが、「平成27年度予算要求内容の公開」として各局からの予算要求に対する市民意見の募集(パブリックコメント)が11月21日~12月22日まで行われます。ぜひ積極的にご意見をお寄せください。2月上旬に予算案発表、予算を審議する2月定例会は2月16日~3月12日の予定です。4年前のリコール選挙のあおりで市会議員の任期が3月12日までとなっており例年より短い議会日程・予算審議となります。 

11月定例会について
 11月議会は21日開会、12月10日本会議で閉会の予定です。2日公示、14日投票の衆院選と重なりますが、どちらもしっかりがんばります。
 11月議会には、金城ふ頭の巨大立体駐車場に関する議案が提出されます。154億2400万円を21年間の分割払いで名古屋まちづくり公社から買い戻す債務負担行為として補正予算に計上されます。
 また提出されない議案が「市職員の給与条例の改定案」です。党市議団は10月31日に「人事委員会の勧告を踏まえ、職員給与の改善を求める申し入れ」を行いました。市長の独善的な姿勢に対し、党市議団としてもできうる限りのことをしたいと思います。
 さて閉会中に開かれた財政福祉委員会の三つの所管事務調査について報告します。


次期の介護保険事業計画について
 第一に介護保険です。第6期名古屋市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の案について報告があり、質疑を行いました。

国の制度改悪で負担増が次々に
 次期計画は、国の介護保険制度の「改正」をふまえた計画となります。主な改正項目は以下の通りです。①保険料の低所得者軽減、②特養ホーム入所者の重点化、③一定以上所得者の利用者負担見直し、④補足給付要件の見直し、⑤介護予防・日常生活支援総合事業、⑥認知症対策の推進、⑦在宅医療・介護連携の推進。

 このうち①は我々も要求してきた負担軽減策です。低所得者の保険料軽減の財源は他の階層の保険料で賄え、公費投入は認めない、というのがこれまでの国の態度だったのですが、国が公費を使って(国50%県25%市25%=約5億円)保険料軽減することになりました。財源は消費税増税分(の約1%)をあてますが、10%が延期されても、保険料の改定は先行して行うと議会では答弁しています。②は要介護3以上に入所を制限する、③④は利用者の負担増です。③サービス利用者の14%、約1万人が所得160万円以上だとして利用料を2割負担にします。③特養ホームなどの入所者の生活費(部屋代・食事代)について低所得者に配慮していたのを見直し、世帯分離した配偶者の所得や、預貯金等の資産、非課税の遺族年金や障害年の収入もカウントして新たな負担を強いるものです。⑤は2年の猶予期間がありますが市は2016年度上半期から開始するとしています。要支援者の介護外しを許さない闘いはこれからです。⑥⑦は当然やるべきことですが2018年までに開始と、こちらは後回しです。 

消極的な施設整備
 施設・居住系サービスの整備目標ですが、特養ホームはあと920人分しかつくりません。待機者はまだ6236人(2014年4月1日現在)もいるのに。老人保健施設の新設はゼロ。介護療養型医療施設もゼロ。しかしこちらは国の方針変更で存続することになりそうです。特養では新たに医療対応型特養ホームというのを新設します。機能的には要求に応えるものですが、診療報酬や介護報酬の当てもなく運営できるのかと疑問の声もあります。 

介護保険料の値上げ提案をはねかえそう
 もっとも気になる介護保険料ですが、いまでも愛知県下で一番高い名古屋市の介護保険料ですが、それを更に1割ほど値上げする提案です。現在の基準額5440円を5800円~5900円台になる見通しです。保険料段階区分は現行12段階から15段階とし、累進性を高めます。公費を投入し低所得階層の保険料を月額数百円ほど軽減します。しかし消費増税の負担で吹き飛んでしまいますね。介護報酬は1.2%増で給付費総額を見込んでいます。
 どう評価するか、最大のポイントは、国が原則を変えて保険料軽減に公費投入をすることです。国が公費投入を決断したのだから、名古屋市も遠慮なく、一般会計からの繰り入れもふくめて保険料軽減すべき、と主張できます。委員会でもこの角度から保険料の値上げは認められない、軽減を、と訴えました。
 介護保険料の改定をふくむ事業計画についてはパブリックコメントが12月8日から1月13日まで実施されます。値上げ反対の声をしっかりと届けましょう。 


市民税5%減税の検証について
 市民税5%減税の検証についてです。減税の目的は「市民生活の支援」「地域経済の活性化」「将来の地域経済の発展」なので、市が行った個人アンケート、法人アンケート、経済的影響のシュミレーション分析のそれぞれの結果及び検証結果が報告されました。 

市民生活の支援になったか
 市民生活の支援については、個人に対するアンケートの結果、減税の使途は5割以上が「日常の生活費」との回答であり、ある程度は「市民生活の支援」に寄与したのではないか、ただし自由意見の中には、減税額が少なく実感がないため、他の施策に使った方がよいという趣旨の意見もあった、とまとめています。減税の実感がないのです。いつのまにか消えてしまいます。それが生活の支援というのならば一律減税ではなく、貯蓄に回さず収入のほとんどを生活費に回さざるを得ない低所得階層に手厚い減税にした方がもっと効果的で減税の目的にもかなうのではないでしょうか。 

地域経済の活性化につながったか
 地域経済の活性化についてはどうか。法人アンケートでは、減税の使途について5割以上の法人が「経常的な経費」と回答しています。一方「従業員の給与増や雇用拡大」や将来の投資の原資となる「内部留保」と回答したのは2割程度です。減税は企業活動を下支えする要素の一つにはなっているものの、生産性の向上を図るための企業の長期的なビジョンを大きく変えるような作用はない、と言い切っています。役に立っていないのです。
 2013年度決算ベースで市内の企業は、国の税制改正で65億円も減税になっています。市民税減税の31億円は企業には必要ありません。アンケートでは経営者から回答として、会社の経営にさほど影響がない、どうせなら個人の減税なりに回してあげた方がよい、との声が寄せられました。その方が企業の経営にもよほどプラスではないでしょうか。 

将来の地域経済への影響は
将来の地域経済の発展にとってはどうか。計量モデルによるシュミレーションの結果、今後10年間の市内総生産(名目で2011年度、11兆7854億円)を例にとれば、115億円の減税を行うことにより、10年間で1.76%程度、年平均では0.17%程度(200億円)の押し上げ効果が認められる。ただし税収面への影響は5%減税による減収分によるを補うほどの増収効果を生むものではない、としています。液剤波及効果についての評価がポイントです。 

5%減税の地域経済への波及効果は敬老パスに及ばない
 
中日新聞は、減税効果で市内総生産が年1128億円と書きましたが、年200億円の効果というのが正式な検証結果です。恣意的な数字の取り上げ方だと言わなければなりません。
 中日には、山口の議論として「減税額は年百五十億円に上るが、これを別の福祉施策に使った場合の経済効果を調べていない。もっと効果のある施策もあるはず。それぞれの施策による経済効果を比較するべきだ。」とまでは書いてくれました。委員会では具体的な福祉施策である敬老パス制度の経済効果との比較を示しました。
 敬老パスによる経済効果(直接効果)は年間316億円と推計されます。敬老パス予算は2011年度121億円(+一部負担金10億円)であり2.61倍もの経済効果をあげています。
 加えて産業連関表を使った間接波及効果をあわせると、502億円もの生産誘発額となり、市税の増収効果は5億8千万円、国税・県税を含めた税収効果は42億9千万円とも試算されています。試算の方法はちがいますが、減税の効果を検証するうえで参考にすべき調査結果を健康福祉局は出しています。
 115億円の市民税5%減税により年間に誘発される市民総生産は200億円で1.74倍。121億円の敬老パスは直接波及効果だけで年間316億円で2.61倍。間接効果をふくめば502億円で4.15倍もの経済効果。
 市民の間に格差を広げ、経済効果も小さい河村減税は一刻も早く見直すべきです。経済波及効果も高い福祉施策の充実こそ進めるべきではないでしょうか。 


敬老パスのあり方について
 敬老パスについてです。報道では「負担増先送り」と報道されました。とにもかくにも昨年に提案されかけた一部負担金の引き上げを当面くい止めたことは確かです。まずここに確信を持ちましょう。今回の見直し案は、二つのことを新しく提案しています。 

積算方式の見直し
 まず、交通局に対する敬老パス負担金の積算方法の見直しです。乗車人員×乗車単価という積算方式の考え方の基本は維持します。そのうえで乗車単価を現行の割引率10.7%から利用実態に応じた昼間割引率15.2%へ改訂します。その結果、乗車人員が現行どおりなら年間6~7億円の事業費削減効果が生じます。敬老パス利用者は交通局にとって最大の団体客です。値引き交渉をするのは当然です。市長は敬老パスで決まったお金が来るから交通局が経営努力しない、と攻撃しましたが、乗車人員×乗車単価の積算方式を維持したことで交通局にとっては、敬老パスの乗客を増やすほど収入が増えます。パスの利用者を増やすことが経営改善にも役立つ現行制度の優れた仕組みが守られたことは重要です。 

暫定上限額の設定
 もう一つは、暫定上限額142億円の設定です。暫定上限額とはどんな性格の数字なのか、委員会で質疑し確認しました。この額を超えたら交通局への精算や高齢者の利用に制限が加わるのか、と質すと、そういうものではない、との答えです。予算上の目安であり、この額を超えると見込まれる場合には次の制度見直しが必要になる、いまの見通しでは5年後ぐらい、ということです。つまり4~5年は新しい乗車単価(割引率)と現行の一部負担金を維持する、がその先はまた新たな見直しが必要になるとの説明です。 

利用者負担の引き上げをくいとめたことに確信を
 マスコミはそれをとらえて負担増の先送りと書きましたが、負担増は避けられない、といっていたのに乗車単価の見直しなどできる改革がまだまだあったのです。今後についても負担増ありきではなく、制度の費用対効果も良く考えて検討するように、そしてまずICカード化などで利用実態を正確に把握するように、と釘を刺しておきました。
 市民のみなさんの力で当面の値上げをくい止めたことにまず確信を持ちましょう。みなさんの運動と党市議団の論戦でここまできました。そのうえでこれからの敬老パスのあり方については、あらためて市民のみなさんと検討を深めていきたいと思います。

 以上、この間の財政福祉委員会での所管事務調査についてその概要を報告させていただきました。以上で市政報告を終わります。