2014年9月議会

さはしあこ議員の個人質問②小学校の運動場が狭すぎる(2014年9月18日)

小学校の運動場の基準と拡充への方針について
              名古屋市会議員 さはしあこ

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263の全小学校が国の定めた基準面積を満たしているのかsahasi2
【さはし議員】小学校の運動場は子どもたちにとってかけがえのない空間です。
 小学校中学校の設置基準は、文部科学省令に基づいて、平成14年に初めて制定されました。この設置基準は、小学校および中学校を設置するのに必要な最低限の基準としています。ここでは運動場の面積が定められています。体育館については、基準がありません。小学校の場合、運動場の面積の基準は、「児童数1人以上240人以下に対して運動場の面積は2400㎡」「241人以上720人以下は2400+10×(児童数-240)」そして「7210人以上は7200」つまり一人当たり約10㎡となっています。ただし、附則があり、施行前に設置された学校においては、当分の間は、現在の運動場の面積が設置基準とみなすとしています。
 緑区内の小学校が、この基準を満たしているかどうか調べてみました。
 緑区の小学校の運動場面積は、一人あたりの面積が最も広い学校で45㎡、最もせまい学校は5㎡でした。ところが、この学校は平成14年以前に建てられたということで、すべての学校の運動場は一応、省令の基準を満たしているとのことでした。

緑区の校庭面積 名古屋市内の小学校も調べてみました。児童一人当たりの運動場面積の平均は14㎡、最大で107㎡、最小は3㎡でした。想像以上の差があると思いました。

校庭面積 緑区内の28校は、基準を満たしているということでしたが、名古屋市内の小学校263校はすべて設置基準を満たしているのでしょうか、お答えください。

工程表

基準制定後に設置された学校のうち1校だけが基準を満たしていない(教育長)
【教育長】平成14年に制定された文部科学省令の「小学校設置基準」には小学校の校舎及び運動場の面積についての定めがある。施行日以降に設直された学校のうち、この面積を満たしていない学校が1校ある。この学校は、校舎内にオープンスペースや子ども達の遊び場となる隠れ家的スペース、中庭などを設けたり、子ども達が運動場などに遊びに出やすいよう2階建としたりするなど、児童の教育環境に配慮したことで、設置基準にある例外規定の適用を受けることとなった。 

運動場が狭い現状をどうするのか
【さはし議員】設置基準では平成14年度までの設置された学校は従前の通りとされ、設置基準には「設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなければならない」とあります。運動場の狭い学校が少なくない数存在し、格差もあります。文部科学省は、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果による報告書を公表しています。中学校に関してですが、「中学校の運動場の面積が9000㎡に満たない学校では、体力が低くなる傾向がある」と分析しています。中学校の例示ですが、小学校についても同じことが言えると思います。
 運動場が狭いことは、子どもの教育上、発達上、見過ごすことはできないと私は考えますが、教育長は現状をどのように認識してみえますか。お聞かせください。
 少なくとも校舎や運動場など施設面積は省令でも定められているとおり、子どもたちの教育に必要な基準に近づける努力が必要です。西区の榎小学校では、隣接する公園の一部を運動場として活用し、運動場を広げる工夫をしました。

 狭い小学校で体力が低いわけでなく問題ない。それぞれ工夫している(教育長)
【教育長】本市においては、運動場の狭い小学校で必ずしも体力が低いという状況ではなく、教育上、必ずしも大きな問題があるとは考えていないが、子どもの健やかな成長を育むためには、それぞれの学校の状況に応じて運動場や体育館などの体育施設を工夫しながら有効活用することが重要であると認識している。

児童増により運動場面積の確保が課題となっている学校への対応は
【さはし議員】地域の人口が増加することにより、児童数が増え、運動場がせまくなるところもでてきます。
 緑区の大高南小学校では、平成26年5月1日現在の児童数は447人ですが、6年後の平成31年には、児童数は現在の約2倍になる見通しです。
 人口急増地帯のこの小学校では何らか手をうたないと、学校設置基準が定める最低基準を下回るのではないかと危惧しています。
 小学校設置基準では、「校舎及び運動場は、同一敷地内または隣接する位置に設けるものとする」としており、さらに「特別の事情があり、かつ、教育上及び安全性に支障が無い場合は、その他の適当な位置に設けることができる」とも定められています。
 この小学校の運動場に隣接して市の調整池があります。このように地域や学校周辺の運動場として利用できそうな土地や代替地などの活用などにより、一人当たりの運動場面積を確保し、その水準向上を図るためにどのような手立てを考えていますか。お答えください。

体育館やプールの重層化など限られた土地の有効活用を図る(教育長)
【教育長】校舎を新・改築する場合には、体育館やプールの重層化を検討するなど、限られた土地の有効活用を図り、出来る限り運動場面積を確保に努めたい。 

プールも運動場面積にカウントされるのか(再質問)
【さはし議員】緑区の最も運動場の面積がせまい学校は、一人あたり5㎡です。この学校の運動場面積は5100㎡とのことです。運動場とは、トラックのみかと思っていたら、プールも含めた面積と聞きました。この設置基準の運動場とはどこを指すのですか。正確にお答えください。

プールや中庭も運動場に含む(教育長)
【教育長】文部科学省の定義で「運動場」には、トラック以外にプールや子ども達が遊ぶことが出来る中庭などの面積の合計となっています。

基準適用前に設立された基準を満たさない学校は何校か(再々質問)
【さはし議員】プールは、夏はカウントしてもいいかもしれませんが、一年の半分以上は使用しません。そこを運動場とカウントするのは、いかがなものでしょう。国の基準にも私は疑問を感じます。
 ところで、教育長の答弁では基準を満たさなかった学校は1校だけと答弁されましたが、特例や附則があるからクリアできているのではないですか。問題は、面積です。この基準が出来た、平成14年以前からある学校で、一人あたり10㎡という運動場の面積をクリアしていない学校は名古屋市内で何校ありますか。

現状の児童数で試算すると、約50校が基準を満たさない(教育長)
【教育長】「小学校設置基準」は、施行時に既に設置されている学校には適用されない。仮に現在の人数と運動場面積を比較すると、学校数は50校程度となるのではないか。

改築・新築時の運動場面積をどう確保しているのか(再再々質問)
【さはし議員】約50校もあるのです。市内の小学校の約5分の1が事実上、設置基準を満たしていません。教育長は、面積を満たしていない学校は1校と答えられましたが、これが現実ではありませんか。認識を改めていただきたいと思います。
 教育長は、答弁では「校舎を新・改築する場合には、出来る限り運動場面積を確保する」とおっしゃいましたが、現実、運動場の敷地内に校舎が新たにつくられて、せまくなると心配される学校があります。先ほど紹介しました大高南小学校では、現在、運動場をつぶして増築工事が始まっています。小学校に子どもを通わせているお母さんたちからも、運動場がせまくなってほしくないという声を聞きました。教育長、もう一度答弁を求めます。運動場を今よりせまくしないとはっきり言えますか。

新築や改築の場合は重層化などの工夫で基準を確保したい(教育長)
【教育長】既存の学校運動場の拡張は、たいへん困難な課題であり、その対応に苦慮している。「新築」する場合には、校舎配置等を工夫し、「小学校設置基準」に定められた面積を確保するよう努めたい。建て替えて「改築」する場合には、体育館やプールの重層化を検討するなど、限られた土地の有効活用を図り、運動場面積を出来るだけ確保するよう努めたい。

学校の運動場面積はせめて国の最低基準をクリアせよ(意見)
【さはし議員】教育長の答弁には児童増に対する増築についてはふれていません。将来、子どもたちが多くなるから新たに校舎をつくるのであって、体育館やプールの重層化など限られた敷地の中だけの対策ではなく、提案しましたが、周辺の土地の活用も含めて考えてください。子どもたちがのびのびと走り回れる広さを確保すべきです。
 「子育て世代に選ばれるまちをつくる」というのならば、学校の運動場面積はせめて国の最低基準をクリアするように、そして少なくても今までより運動場の面積をせまくすることがないようにしっかり取り組んでいただきたい。大高南小学校の運動場は、みんなが注目しています。教育委員会のさらなる努力を求めて質問を終わります。

 

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