2014年9月議会

わしの恵子議員の決算に対する反対討論(2014年10月15日)

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経済的格差を拡大するばかりの市民税5%減税

【わしの議員】私は、日本共産党市議団を代表して、一般会計決算の認定に反対する立場から討論を行います。
 第1の理由は、大企業と高額所得者を優遇し、市民の経済的格差を拡大するばかりの市民税5%減税を継続したことです。
 25年度の個人市民税の元となる市民の所得を前年度と比較すると、給与所得はプラス1.2%ですが、年金所得はマイナス0.5%と減少しました。ところが分離課税の株式等譲渡所得はなんと270%もの増です。個人市民税の前年比38億円増の内、26億円は、ほんの一握りの資産家が株で儲けた分なのです。
 一方で、市民税減免の対象者となる低所得者は104,000人に増加、納税義務者の約1割です。
 非課税世帯の方については、生活保護基準が見直され、段階的に3年間合計で6.5%が削減、夫婦と子ども1人の3人世帯で25年8月から月5,300円も削減されました。市民はこんな大変な状況にも関わらず、大企業や高額所得者はどうでしょうか。
 法人市民税は、3月期決算法人の企業業績が12%伸びたのに、国の法人税減税の影響で前年比72億円も減収となりました。
 そういう中で、富裕層と大企業優遇の、市民税5%減税が行われ、個人の最高は470万円、企業の最高は1億1,900万円もと、更に格差を広げました。
 名古屋市が支援すべきは、国による減税の恩恵をすでに受けている大企業や富裕層ではなく、国の悪政により生活が脅かされている市民、とりわけ社会的に弱い立場にある人々ではないでしょうか。市民税減税はきっぱりやめるべきです。

「行革」の名で、公的福祉の解体をすすめ、市民サービスを低下

 第2に、減税の財源づくりのため、「行革」の名で、公的福祉の解体をすすめ、市民サービスの低下をもたらしたからです。
 公立保育園存続の切実な願いに反し、矢田、東志賀、田幡の3つの公立園の民間移管を進めました。
 学童保育の運営費助成金については、緩和措置が廃止され20人から35人で障害児がいない保育所では1か所21万1000円、合計580万円のわずかな助成金さえ削られました。
 指定管理者制度が試行導入された志段味図書館においては、昨年度館長以下3人の中心的職員が年度途中に交代しました。人件費削減により、短期的に職員が入れ替わるという指定管理者制度の弊害が生じたと言わざるを得ません。図書館という社会教育の公共施設にワーキングプアを拡大する指定管理者制度はやめるべきです。

不要不急の大型公共事業を推進

 第3に、不要不急の大型公共事業を進めたことです。
 約400億円かかると言われている名古屋城天守閣の木造復元に関する調査は、必要性も緊急性もないものでした。現在の天守閣は耐用年数が今後50年ほどあると言われているので、耐震改修こそ急ぐべきであり、アセットマネジメント基本方針に沿い、施設の長寿命化こそ必要です。
 世界からヒト・モノ・カネを呼び込み、「強い大都市」をつくるという「リニア中央新幹線開業を見据えたまちづくり」が推進されているのは問題です。名古屋駅周辺公共空間整備は、笹島交差点から南へ巨大地下通路を整備する事業ですが、25年度は詳細設計などに5,887万円余も費やしました。これまでの計画見直しによって事業費が134億円へと膨らんでいるこの事業は認められません。
 モノづくり文化交流拠点の金城ふ頭開発の基盤整備も同じ問題をはらんでいます。5,000台もの巨大な市営立体駐車場の整備に、25年度は4,230万円が支出されましたが、建設事業費も当初の100億円から191億円と、倍近くまで膨れあがっています。本来ならこの駐車場を必要とする開発事業者の責任と負担で整備すべきです。
 加えて、市長が撤退を表明している木曽川水系連絡導水路事業に対し漫然と支出を続けていることや、需要が見込まれない中部国際空港の2本目滑走路建設促進期成同盟会への負担金が支出されていることも問題です。

「南京発言」を撤回し、友好都市との交流を

 最後に、南京市との交流についてです。南京友好都市提携35周年の節目の年にもかかわらず、公式代表団の派遣はできませんでした。
 河村市長!あなたの「南京発言」の責任は重大です。改めて申し上げます。すみやかに発言を撤回し、友好都市との交流を進めるべきです。

 以上、反対理由を申しあげ、討論を終わります。