名港議会 一般質問① 金城ふ頭開発と土地交換(2014年6月11日)

第14号議案(土地交換)と金城ふ頭開発について

土地に関して売却するか賃貸するかの判断基準は何か
【山口議員】第14号議案(土地の交換)について及び金城ふ頭開発について数点、質問します。201406土地の交換 金城ふ頭の新たな開発予定地にあたる土地には、今回の議案にあるように名古屋市に売却する土地もあれば、管理組合が引き続き所有して貸し付ける土地もあります。交流厚生用地とするならば全て売却してもおかしくないと思うのですが、土地に関して、売却するか賃貸するかの判断基準は何ですか。

所有権が必要で公共性が高い事業だから交換する
【総合開発担当部長】金城ふ頭の土地は、ふ頭用地造成事業で整備し、公共の用地として管理し、事業の目的から、原則、賃貸を行っている。
今回、市及び組合がそれぞれ事業を進めるにあたって所有権を保有する必要があったこと、事業の公共性が高いことから、土地を交換する。

自家用者と大型トレーラーなどとの棲み分けは不徹底ではないか
【山口議員】金城埠頭では、物流機能を維持しながらの開発となりますが、巨大な立体駐車場ができてもなお、イベントなど来訪者のピーク時には、来訪者の車両と物流事業者の車両が入り乱れ交錯する状況が予想されます。今の計画では、自家用者と大型トレーラーなどとの棲み分けは不徹底ではありませんか。201406金城ふ頭の土地

一般と物流の車両分離や交通計画を策定など、関係機関と協議し進める
【総合開発担当部長】交通量の増加や渋滞の発生が想定されますが、完成自動車輸出などの港湾物流機能の低下を招くことがないような対策が必要と考える。
 対策は、一般車両と物流車両の分離や周辺道路の改良など警察、道路管理者、物流関係者の意見を聞きながら交通計画を策定し、名古屋市を始め関係機関等と協議を行いながら進めています。

金城ふ頭の物流港湾機能はこれからも維持するのか、縮小するのか
【山口議員】名古屋市のものづくり文化交流拠点構想では岸壁部分も含めて交流厚生用地のようなイメージが描かれてきました。しかし港湾計画の改定案などでは引き続き金城ふ頭は物流の拠点として描かれています。金城ふ頭の物流港湾機能はこれからも維持するのか、それともレゴランドなどに主役の座を譲り縮小していくのか。お答えください。20140702公館土地

物流と交流の調和を図りつつ、今後も物流拠点として利用する
【企画調整室長】金城ふ頭は、完成自動車の輸出入基地をはじめ外貿貨物の物流拠点として重要な役割を担っている。これからの物流機能は、大型化する自動車専用船への対応や完成自動車を保管するための物流用地の確保による完成自動車取扱機能の拠点化・効率化などを検討している。
 今後も、中部圏のものづくり産業を支える物流拠点として利用していく。

産業観光の視点から警備のあり方や整備も見直すべきではないか
【山口議員】金城ふ頭の岸壁は国際貨物を扱っており、いわゆるソーラス条約の対象として厳重な警備態勢が敷かれています。岸壁に近づくと警備員から写真撮影はダメですと私も言われたことがあります。いまのままではせっかく金城ふ頭を訪れる人が増えても港湾の魅力を十分に味わえず、ほとんど海を見ずに過ごすことになりかねません。
 警備する立場からは数万人規模の来訪者がシャッターを押す、動画を撮影するのを停止させることは不可能です。いったいどうするのか。solasイメージソーラス条約
 産業観光の視点から警備のあり方も見直すべきではないでしょうか。名古屋港の機能をよく見てもらい、多くの来訪者に理解してもらうために、たとえば岸壁の荷役作業の見学会を企画するとか、みなとの見える丘をきちんと整備するとか、工夫が必要ではありませんか。

保安対策の確実な実施が港のイメージアップにつながる 
【防災・危機管理担当部長】米国同時多発テロを契機に、改正SOLAS条約の発効を受け、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」が平成16年に施行された。フェンス、ゲート、監視カメラなどを設置するとともに警備員を配置するなどの保安対策が義務付られ、その対策を確実に実施している。
 金城ふ頭には、本組合が管理する対象施設が5施設あり、保安対策を確実に実施することは、国際航海船舶の安全な利用が図られるとともに、安全・安心な名古屋港のイメージアップに繋がるものと考える。
 また、産業観光等の観点から、金城ふ頭中央緑地に広大な港湾景観を望むことができる展望休憩所を設けている。

認識が甘い。二つの用途がほんとうに両立できるのか(再質問)
【山口議員】原則として土地は賃貸が原則だが、立体駐車場の用地は、名古屋市が所有権を保有する必要がある。そして事業の公共性が高いから売るんですよ、との答弁でした。逆に言えばレゴランドの敷地の一部とか商業施設が展開する場所は賃貸契約、公共性が高いとは言えない事業ということなのです。でもそのためにつくる駐車場は公共性が高いのか、ということになります。
 名古屋市は、立体駐車場についてレゴランドではなく国際展示場のためにむしろ大きなスペースが必要だとしています。レゴだけの駐車場ではない、国際展示場など複数施設の駐車場だから公共性が高いといいます。ところがいざ国際展示場で大きなイベントが開かれると、今度つくる立体駐車場だけでは足りない。既存の立体駐車場を含めてもっと駐車スペースが必要になると言っています。それでは集約駐車場と呼べないじゃないか、と私は市議会でも指摘してきました。この計画自体にやはり無理があると言わざるをえません。金城ふ頭開発図レゴランド開業イメージ20120702
 金城ふ頭は、親しまれる港として大勢の来訪者を迎える交流厚生用地であるとともに引き続き外貿貨物の物流拠点として活用していく場所だ、との答弁でした。この二つの機能を一つのふ頭地区でやろうというのは全国にもなかなかない、非常に珍しいというか、私に言わせるとちょっと無理があるのでは、と言いたくなるような状況です。
 車の流れ、ソーラス条約の警備についてまだ詰めた検討ができていないのではないでしょうか。
 今年2月に開かれた名古屋市の都市計画審議会ではこんな意見がでました。「この金城ふ頭がまだまだ港湾物流機能が残っている中で大きなトレーラーが走ったりだとか、コンテナを積んだ車が走ったりというところと、今度、交流拠点の中でレゴランドができれば、この中を小さい車が走ったりするところがあって、非常に危険性が高まるのではないか、その混在をどううまく捌いていくのか、検討いただく必要がある」「ポートメッセとか大きな催事の時はですね、伊勢湾岸自動車道のトリトンの上まで、ずっと渋滞が続いたということもあります。レゴができれば、もっとこういったことが起こる頻度が高まるのではないか、全体の計画の見直しと合わせて、そういった対応もしっかりやっていただければと思っております」業界を代表する方からのこういう厳しい指摘もありました。
 ソーラス条約に基づく警備はけっこう厳しい水準が求められています。押し寄せる観光客に港も見てほしい。見てほしいのだけど、近づいちゃだめだよと。かってに撮影するのは止められないが、「撮っていいですか」と聞かれたらダメと答えなければいけない。そうじゃないんですか。山口議員と河村管理者2s
 もっと大勢の来訪者が、そしてもっとたくさんの取扱い貨物であふれる金城ふ頭にやってくる。先ほどの答弁では認識が甘いと思います。交流厚生用地、親しまれる港と港湾物流の一大拠点、この二つの用途がほんとうに両立できるのか。問題は起きないのか。再度うかがいます。
管理者には、金城ふ頭エリアについて名古屋港のなかでどんな位置づけになっているのかうかがいたい。

荷主さんには、丁寧な上にも丁寧に話していく(管理者=河村市長)
【管理者(河村市長)】当局に言わせると、両立させると言っています。完成自動車の輸出について、3分の1ぐらいがまだ金城ふ頭を使って輸出してるもんで、荷主さんには、丁寧な上にも丁寧に言わないかん。ほかのところで完成車のことはできるのか、いまんとこ難しいとか言っとる。
 私は、今度の国際展示場の大きいやつも含めて、丁寧な上にも丁寧にユーザーの皆さんには言わないかんけど、金城ふ頭がそういうおもしれえところになってったらええなあと思っていますけど、完成車の輸出のユーザー、産業界には本当に丁寧に話をしていかないかんと思っています。

物流拠点と観光交流拠点の二つの機能をどう両立させるのか
【山口議員】専任副管理者に、物流拠点と観光交流拠点の二つの機能をどう両立させていけるのか、警備や交通などの課題は何か、答弁を求めます。

一般車両と物流車両の交通分離や駐車場の整備、広域対策を進めてる(福管理者)
【副管理者】金城ふ頭の中で物流と交流の二つの機能を両立させ、国際展示場やリニア・鉄道館などを訪れた多くの方々に港湾活動を間近で見ていただくこと、港に興味や親しみを持っていただくきっかけとなる、近接していることは大変に意義のあることと考えている。
 一方、物流施設の近傍では大型車両も多い中、開発によりさらに一般車両の増加が見込まれ、渋滞や事故への対策、これを当然ながら十分に行う必要があると考えている。このため、一般車両と物流車両の流れの分離、集約駐車場の整備を進めるとともに、交通分離に必要な、例えば汐止交差点の改良、空見スラッジリサイクルセンター内での臨時駐車場の確保など、広いエリアでの対策を名古屋市と協力して進めている。
 今後も警察や物流関係者などと十分調整を図り、安全対策に取り組みたい。

機能の両立はそんなに簡単じゃない。地に足を付けた検討を求める(意見)
【山口議員】管理者、まだちょっと姿勢が揺れているように聞こえました。そんな状態のままで港湾計画の改定をして大丈夫かなと、副管理者はよく管理者と意思統一をはかっていただきたい。自席s2
 この機能の両立はそんなに簡単じゃありません。金城ふ頭、春にも大きな客船来ましたね。トリトンをくぐれないような大きな客船が来たらやっぱり金城ふ頭を利用する。そして港湾計画の改定では、フェリーふ頭も金城ふ頭に持ってくるとなっているのです。物流と、テーマパークだけでなく船のお客さんも大勢利用するエリアになってくるわけです。ますます大事な場所になってくる。
 そこで港湾計画の改定作業を今年1年間じっくり取り組むということになっていますが、この金城ふ頭のあり方もこの機会に良く考えていただきたい。地に足をつけた検討を進めていただくようにしっかり求めます。

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