2014年6月定例会

岡田ゆき子議員の議案外質問②保育への営利企業の参入(2014年6月25日)

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保育所への営利企業参入について岡田 演壇s

保育所整備はまず社会福祉法人等から、が公募ルールだったのではないのか
【岡田議員】保育所運営への営利法人参入についてお聞きします。名古屋市は、6月16日から、来年4月開所する認可保育所について、賃貸型認可保育所の運営法人の公募をはじめました。今回初めて、応募資格に「株式会社等」が加わり、新聞等でも「名古屋市 認可保育所 企業参入へ」と取り上げられています。
 名古屋市はこれまで、保育運営は、公立保育所と社会福祉法人等の非営利法人により、運営されてきましたが、2011年に全国1位だった待機児童を解消させるためとして、多様な事業主体、営利法人の参入について、有識者で構成する「保育施策検討会議」で進めてきました。
 この会議の報告を受け、市は、賃貸型物件を活用した保育所整備について、引き続き社会福祉法人等を対象に公募を行い、整備が進まない場合は、株式会社等を認可の対象とするという「公募のルール」を決めました。
 しかし、今回の公募で、その「ルール」を反故にして、初めから株式会社等を入れると方針を変えました。子ども青少年局長にお聞きします。なぜ今回から「公募のルール」をかえたのですか。お答え下さい。

 

(参考)          中 間 報 告

平成23 年10 月
名古屋市保育施策検討会議

提言

(1)名古屋市の保育施策において、これまで社会福祉法人を中心とする非営利法人(以下「社会福祉法人等」といいます。)が重要な役割を果たしてきたことや、待機児童の解消に向けて既存の社会福祉法人等の複数施設化などの努力も併せて行うという観点から、賃貸型保育所などの新たな手法による保育所整備に対しては、まずは、社会福祉法人等を中心に進めることが望ましいと考えます。
(2)スピード感を持った待機児童の解消が求められている現状から、社会福祉法人等による整備で十分な対応ができない場合も想定し、営利法人の参入を視野に入れ、認可するために必要な一定の条件をあらかじめ検討しておく必要があります。
(3)営利法人が設置する保育所に対する不安を解消し、安心して子どもを預けることができるよう、認可時における厳格な審査のみならず、認可後の定期的なモニタリングやフォローを行うため、市においては、以下の事項を踏まえて認可等の条件を検討することが望ましいと考えます。
 なお、名古屋市は、他都市と比べて後から営利法人の参入の条件について検討することから、他都市の実績を踏まえ、不安が払しょくされるような厳格なルールを検討することが望まれます。

【認可時の審査】
①事業経営の安定性・継続性の確保
 ≪具体例≫
 ・財務諸表(貸借対照表等)の提出、公認会計士等の審査を求める。
 ・法人が3年連続して損失を計上している場合には認可しない。
②保育の質の確保
 ≪具体例≫
 ・運営計画の提出を求め、保育所の運営方針、過去の保育実績、人材確保の方法等を確認する。
 ・事業者に対しては保育の専門職がヒアリングを行う。
③保育所の経営方針の確認
 ≪具体例≫
 ・収支計画の提出を求め、保育所の収支構造や経理の方針等について確認、審査を行う。

【認可後のモニタリング・フォロー】
法人・団体の経営リスクに対する対応
 ≪具体例≫
 ・年に1度の行政監査に加え、市による外部監査(公認会計士等による監査)を実施し、財務諸表の提出を行わせる。
 ・保育所の事業収支報告を求め、当初提出された収支計画と照合する。
②事業撤退におけるルール
 ≪具体例≫
 ・撤退する場合には、引継ぎ法人を探し、確実な引継ぎを行うことを義務付ける。
③本部会計への繰り入れ等
 ≪具体例≫
 ・保育所の経理区分について、社会福祉法人の会計基準に準拠した収支報告書を提出させる。
 ・本部会計への繰入れが認められた場合には、その使途を報告させ、保育所の運営に関する経費に使われているかどうかをチェックする。
④福祉サービス第三者評価の受審等
 ≪具体例≫
 ・「保育の質」を確保、向上する観点から、営利法人が設置する保育所について福祉サービス第三者評価の定期的な受審を義務付ける。
 ・年1回の行政監査においては、保育の専門職による保育の質に関する確認を重点的に行う。
⑤市によるフォロー
 ≪具体例≫
 ・認可時において参入する営利法人は、①~④の事項を承諾する。
 ・運営計画や収支計画との照合確認において問題があるときは、運営や経営に関して積極的に指導を行う。

【検証・見直し】
①営利法人の参入にかかる取扱いについては、国の保育制度の見直し等の動向に的確に対応するため、一定の期間経過後に検討と見直しを行う。

新制度では、認可基準に適合すれば設置主体を問わず認可する(局長)
【子ども青少年局長】平成23年10月に、保育に関する有識者からなる名古屋市保育施策検討会議で「まずは、社会福祉法人等による整備を進めていくことが望ましいが、社会福祉法人等による整備で十分な対応ができない場合も想定し、営利法人の参入も視野に入れ、認可するために必要な一定の条件をあらかじめ検討しておく必要がある」との提言をいただき、これまで、社会福祉法人等の非営利法人を対象として保育所の整備を行うとともに、本市として「保育の実施責任」を果たすため、要綱改正等を行い、社会福祉法人等による整備が進まない場合についても、速やかに対応するための仕組みづくりをしてきた。
 一方、平成24年8月の児童福祉法改正で、「子ども・子育て支援新制度」が始まる平成27年4月から、認可保育所は、認可基準に適合すれば、供給過剰による需給調整が必要な場合等を除いて、設置主体を問わず認可をすることとされた。今回公募した賃貸物件を活用した保育所は、開所予定日が新制度の始まる平成27年4月1日であり法律に基づいて、株式会社等も対象とした。

待機児解消のためではない企業参入拡大に、市民の不安が大きい(再質問)
【岡田議員】保育所運営への営利法人参入について、待機児童が増えているからという理由ではなく、児童福祉法の改正で、条例の基準を満たせば認可していくと法律が変わったという説明でした。
 つまり、営利法人参入を進めるための法律改定だということは明らかです。検討会議では、営利法人が参入した自治体で起きているのは、経営不信による突然の撤退や、保育士の離職の多さ、本来保育のために使われなければならない公費が、本部会計に繰り入れられれば、市の監視も限界があるのではないか、など、株式会社等の参入への懸念が議論されていたと思います。何よりも、「保育の質」を左右する、保育士等の人件費率が、非営利法人が7〜8割なのに対し、全国の株式会社の保育所の人件費が4〜5割という低い実態があります。そう言った懸念があることから、まずは社会福祉法人でという方向になったのではないですか。この懸念の声にどう答えるのですか。

事前審査や第三者評価等、非営利法人より確認事項を増やしている(局長)
【子ども青少年局長】
株式会社等が運営する保育所は、非営利法人が運営する保育所に対して確認する事項に加え、次の事項を追加確認する。
 株式会社等が公募に応募してきた場合は、選定会議の前に事前審査を行い、公認会計士等、企業会計に識見を有する者が調査、事前ヒアリングを実施して、株式会社等の財務状況等を確認する。併せて、保育士資格を有する者による調査、事前ヒアリングで保育の質も確認する。
 認可後も、毎年実施する公認会計士等による財務諸表と予算決算状況の調査・分析、保育所運営に係るモニタリング調査、及び、福祉サービス第三者評価の3年に1回の受審と改善の取り組みの公表を義務づけること等により、安定した保育環境の確保等に努める。

今まで通り、社会福祉法人等による保育所整備を(意見)
【岡田議員】結局、様々な不安や懸念に応えようとすれば、社会福祉法人に行う以上の厳しいルール、事前のヒヤリング、財務状況から、保育の質まで確認をおこない、認可後も、財務諸表の分析、第3者評価の審査も受けてもらう、さらには、本部会計に流れていく利益の利用使途の確認行うでしょう。こうした様々なルールを決めていかなければいけないわけです。
 名古屋市にとって、この手間や、経費の問題を考えれば、もっと今の保育を良くしていく、現場にもっと出て行って、名古屋の安心な保育を作っていくことに力を注いでいただきたい。「名古屋は今まで通り、社会福祉法人等」でいくという名古屋は名古屋のルールで進めるべきではないでしょうか。私は、地方分権の立場に立てば、地方公共団体が自らの判断と責任において行政の運営を進めるのだ、国に理解を求めることはできるのではないですか。
 今回の公募ルールの変更に、保育所運営している団体から抗議や声明が出されたと聞いています。
 公立保育所の民間移管を受けて頂いた、民間保育園の園長さんからメッセージを頂きました。「名古屋の保育を守ってきたのは、父母と公民の保育所の現場の努力と行政が、ともに子どもを守るという姿勢があったからではないか。制度の波にのまれるような、やわな歴史ではなかったはず」だと。
 突然の営利企業への門戸開放に一番衝撃を受けているのは、多くの親と保育士たちです。名古屋の保育を担ってきた民間保育所との信頼関係を絶対に崩すことはあってはならない。営利法人ではなく、今まで通り、公立と社会福祉法人など非営利法人による保育所整備をしていくことを求めて、質問を終わります。

 

 

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