2013年6月定例会

田口かずと議員の代表質問 (2013年6月19日)

 

敬老パスの堅持について

田口 自席6敬老パスは65歳堅持でいいのか

【田口議員】先の市長選挙では、「事業仕分け」で「見直し」と判定された敬老パスのあり方が、争点の一つとなりました。3人の候補者は、いずれも敬老パスの存続を公約に掲げ、「堅持・利用拡大」を公約した河村市長が当選されました。したがって、今回の市長選挙では、65歳以上を対象とする敬老パスの継続という民意が、はっきり示されたと思います。

また、本市が実施した市民アンケートでは、対象年齢も、負担金も、利用上限額を設けていないことも、いずれも「現行のままでよい」との回答が過半数を超え、市民の多数は、老いも若きも、現行のままでの継続を望んでいることが明確になりました。敬老パスアンケート2敬老パスアンケート1敬老パスアンケート3

そこでお尋ねしますが、市長は、敬老パスの堅持を公約されたのですから、当然、対象年齢も「65歳以上」を堅持するというお考えでいいですか。

また、負担金は引き上げず、利用限度額も設けないという、市民アンケートで示された市民の多数意見について、どのように受け止めておられますか。

ようけの人に乗ってもらうようにしたい(市長)

【市長】敬老パス堅持して利用拡大と言っとります。是非、とげぬき地蔵名古屋版つくって、ようけの人に乗ってもらうようにしたいと思っとります。

 「65歳堅持」でいいのか(再質問)

田口議員】市長、答えてないですよ。「65歳以上堅持する」でいいんですかとお聞きしたんです。市長は市長選挙の時「わしも今年65になるでよ、敬老パスもらうでよ」といった。これを聞いた市民の人は65から敬老パスは続くだろうと思った人が多くいると思う。今年、市長は65になって敬老パスもらう。これからの市民は70歳とかに年齢上げていいんですか。65歳から堅持するのかはっきり答えてください。

 65歳堅持したい(市長)

【市長】11月3日に5000円払って、もらいますんで、65堅持したいと思います。

 65歳堅持の市長発言を踏まえた審議会での審議を(意見)

【田口議員】市長の立場は「65堅持」とはっきりおっしゃった。審議会や分科会は、それを踏まえてやっていただきたい。 

認可保育所の増設について

希望する認可保育所に入所できなかった1315人の解消をめざせ

【田口議員】補正予算では、355人分の入所枠を拡大し、これによって、今年4月1日現在の待機児童、280人をゼロにするとされています。

しかし、希望する認可保育所に入所できなかった児童はもっとたくさんいます。「広い園庭のある保育所で遊ばせたかったが、入所できなかったので、家庭保育室に預けた」、「区役所から紹介された保育所は、職場と逆方向だったので断った」、「仕事の回数を減らして、一時保育を利用して何とかしのいでいる」、「子どもを保育所に預けられなかったので、育児休業を延長した」――こうしたケースは、待機児童数にカウントされません。待機児童数から除外されたこれらの児童を含めた入所保留児童数は、私はこれが本当の待機児童数だと思いますが、1315人にのぼっています。

待機児内訳表2013待機児童がゼロになったという横浜市は、「自宅で求職活動中」も待機児童からはずしたそうです。待機児童の数え方を都合よく変えることによる「待機児童ゼロ」では、「認可保育所に子どもを預けたい」という親の切実な願いにこたえるものとはならないでしょう。

希望する認可保育所に入所できなかった入所保留児童、1315人を視野に入れ、その解消をめざして、認可保育所の増設計画を持つべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

 もっときめ細かくフォローすれば、入ってもらえるとこある

【市長】認可保育所もつくりますし、こればっかつくりゃいいというわけでもございませんが、もっときめ細かくフォローすれば、入ってもらえるとこがあると私は思っとります。(待機児と言われるお母さんに順次電話しており)だいたい10人くらい電話したところで一定のご報告したいと思っとります。

 国民健康保険料の減免制度について

申請時点から自動的に減免するよう改めよ

【田口議員】保険料の納入通知書を受け取った市民の方から、「収入も扶養家族も前年と同じなのに、保険料が10万5千円もアップした」などの意見が、わが党市議団に寄せられています。本市にも問い合わせが殺到しており、その件数は、6月3日から16日までの14日間で、特設のコールセンターに寄せられたものだけでも2938件だったと伺いました。区役所に寄せられた件数も含めると、相当数にのぼるでしょう。国保料の算定方式の変更に伴い、保険料の負担増を強いられた市民から、戸惑いや憤りの声があがっているのです。

保険料の減免制度の適用を受ければ、保険料負担を軽減することができます。しかし、本市独自の減免制度は、申請しなければ適用されないため、減免対象に該当していても、申請しなかったために、減免が適用されていない被保険者が少なくないと思われます。

たとえば、法定減額に該当している世帯はすべて、一人あたり年間2000円減額される特別軽減の対象になりますが、5月末時点で法定減額に該当する世帯が14万4千世帯余りあるにもかかわらず、特別軽減の適用世帯は37600世帯しか予算上は見込まれていません。最初から相当数の申請漏れを見込むような減免制度で、市長の言う「ぬくとい市民」といえるのでしょうか。

一宮市や豊橋市では、法定減額の該当世帯を対象にした減免については、申請する必要がありません。

健康福祉局長、本市の減免制度についても、法定減額の該当世帯を対象とする特別軽減など、保険者の側で減免対象に該当するかどうか判断できる減免要件については、申請を必要とせず、自動的に減免するよう改めるべきではありませんか。

 被保険者の方に申請をいただいて確認している(局長)

【健康福祉局長】法定減額では前年所得が一定の基準以下の場合に、自動的に減額して保険料を算定しています。

 減免制度は、災害や収入の減少など特別の理由がある世帯に対して、保険料を軽減する制度であり、市町村が、独自に条例等に基づいて行うもので、被保険者の方から申請をいただき、その状況を確認のうえ減免を行っています。

 被保険者1人あたり年間2,000円軽減する、いわゆる「特別軽減」も、被保険者の方に申請をいただいて確認している。

 減免制度は周知が重要であると認識し、納入通知書に減免制度の案内チラシを同封するとともに、コールセンターでも丁寧な案内をしている。

 自然エネルギービジョンの策定について

自然エネルギーの策定への取り組み状況は

【田口議員】市長は、マニフェストの中で、「脱原発」を掲げ、「浜岡原発の廃止」「エネルギーの地産地消。地域分散型エネルギー」などに取り組むとされています。

わが党も、政府にたいして原発の再稼動と輸出を中止し、「即時原発ゼロ」を決断するよう求めています。当面、5年から10年程度の期間は、過渡的な措置として、火力による電力の確保が必要になりますが、その間に、再生可能エネルギー、自然エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめて、「原発ゼロ」の日本を実現するプロセスを明らかにしています。

原発に頼らず、省エネ・節電を徹底し、自然エネルギーの大規模な普及をすすめるためには、本市としてもエネルギービジョンを策定する必要があると考えます。環境局は、「低炭素都市なごや戦略実行計画」があるといいますが、これは地球温暖化防止の計画であり、エネルギーに関する総合的な計画ではありません。

私が、昨年の6月定例会の個人質問で、自然エネルギーの普及を要に据えて、省エネやエネルギーの分散化なども含めた総合的なエネルギービジョンを策定するよう求めたところ、市長は、「本当にそういうのをつくらないかんですけど」「ようやく担当者ができましたので、早速取りかかっていきたいと思っている」と答弁されました。

市長、自然エネルギーの普及を要に据えた総合的なエネルギービジョンの策定に向けて、どのように取り組んでおられるのか、お聞かせください。

 うまいこといってないが、やり続ける(市長)

【市長】うまいこといってません。さっぱりいかんですわ。担当は出来ましたけど。自然エネルギーや小規模火力など色々あるけど、名古屋発電をやっていこうということは、うまいこといかんというのが認識です。それではいいかんので、熱心にやり続けます。

 名古屋城天守閣の木造復元について

事業費の試算はいくらか。急な階段など、お年寄りなどに支障がないか

【田口議員】市長は本物の天守閣の復元にこだわっていますが、名古屋城の歴史的遺産としての価値は、天守や御殿などの建造物だけではありません。石垣や堀、庭園、さらに地下に埋蔵されている遺構など、すべての文化財によってつくられています。こうした歴史的遺産としての価値と、文化的シンボル、文化観光資源、公園緑地など名古屋城が持つ多様な役割をふまえて、今後の保存・活用をすすめるために策定されたのが、「特別史跡名古屋城跡全体整備計画」です。この計画の中には、天守閣の木造復元という言葉は1か所も出てきません。

ですから、補正予算に計上された天守閣の木造復元を念頭に置いた名古屋城整備課題の調査は、河村市長が再選しなかったら、実施しなくてもいい調査だということを申し上げておきます。

そのうえで市長にお尋ねしますが、まず、事業費についてです。名古屋城天守に使用された木材は、天守建築の歴史上、もっとも高級なもので、柱には主にヒノキが使われ、しかも無節、節のない極上材でした。その現在の価格は、1立方メートルあたり500万円といわれており、一般的な住宅に使用されるヒノキの価格の10倍という非常に高価なものです。

無節のヒノキを使用して、本物に近い天守閣を復元しようとすると、いったいいくらかかるのか。現在の鉄筋コンクリートの天守閣の解体や、天守台の石垣の解体・積み直しなども含めた全体の事業費の試算を明らかにしていただきたい。

本物に近い木造復元には、容易に解決することができない様々な課題があります。樹齢300年から400年の大径木のヒノキの調達は困難ではないのか。急な階段や段差が多く、バリアフリーとならず、お年寄りや体が不自由な方の観覧には支障があるのではないか。この2点について、市長はどのように解決されるおつもりですか。

 全体事業費は400億円。名市大の皆さんに背負ってもらえば、ぬくとい市民になる(市長)

【市長】事業費は、国産の良質な木材を前提とした場合、必要な全体事業費は概算で400億円と試算されています。シンポジウムではもう少し安くできるんじゃないかといっとられました。これは工事やる人の売り上げになりますから、民商の皆さんも喜ばれると思いますよ。共産党も中国の立派な天安門広場もあるしクレムリンの宮殿もあるし、都市には誇りというものがあって、天守閣つくって1300年で法隆寺ですよ。法隆寺より長く持ちますよ。必要なことはちゃんとやって、名古屋の人の誇りにする、その分の経済効果は測りきれんくらいありますよ。1300年もたせれば。

体の不自由なみなさんのことは、背負子を持って、名古屋市立大学の皆さんにボランティアで上がってもらったらどうですか。どんだけあったかい、ぬくとい市民になるか。その一人ずつが必ず歴史を勉強して話をしますし、仲ようなります。そう考えないかん。階段はちゃんとロープをつけて上がってけばいいんですよ。そういうことを考えないかん。あったかい名古屋城になると思います。

荒唐無稽なことを言って急いでやる必要はない(意見)

【田口議員】バリアフリーの問題について、市長は「名市大の学生におぶってもらって上がればいい」と言いましたが、天守閣の高さは55.6メートルです。現代のマンションなら18階建てに匹敵する高さを、しかも非常に急な階段を、おんぶして上がれるのですか。たしかにあったかくなりますわ、おぶったほうは。市長はおんぶされる方かもしれませんが。荒唐無稽なことを言って、400億円の事業費がかかる、急いでやる必要もなく、マニフェストに掲げたからといって、市民や市職員に押しつけないでいただきたいということを、市長に申し上げておきます。

(時間制限で議場では言えませんでしたが:クレムリンというのは旧ロシア帝国時代に造られた宮殿であり、世界遺産に登録されている。共産党と結び付けるのは浅はかです。ソ連の時代に建設されたのは国立クレムリン宮殿(旧クレムリン大会宮殿。1961年完成)だが、この建造物は近代性ゆえに世界遺産に指定されませんでした。河村市長が、この国立クレムリン宮殿を指して「クレムリン」と言っているのなら、「木造天守閣」も、社会主義とは無縁の覇権主義と官僚主義・専制主義の道を進んで崩壊したソ連の時代の宮殿と同じ運命をたどることになるでしょう。また、木造復元の事業費400億円にかかわって、「これは商売をやる人の売り上げにもなる。お宅ら民商のみなさんも喜ばれると思いますよ」とも答弁しました。共産党の質問への答弁の中で、しばしば「民商」を持ち出す河村市長ですが、そんなに民商に加入する中小業者の商売のことを心配してくれているのなら、民商のみなさんの話を直接聞いてほしいものです。)

南京市との交流について

友好関係を回復するためにも市長発言を撤回すべきだ

【田口議員】今年は、名古屋市と南京市との友好都市提携35周年であり、公式代表団の派遣など記念事業の経費が予算化されています。しかし、昨年2月の河村市長の「南京事件はなかったのではないか」という発言以来、両市の交流は停止したままになっており、公式代表団を派遣する見通しはたっていません。

市長、南京市との友好都市提携35周年記念事業を自らの手で予算化しながら、自らの発言に固執することによって、その予算執行に重大な支障をきたしていることに、責任を感じておられますか。

南京市側は、河村市長の発言の撤回と謝罪を交流再開の条件にしているそうです。市長は、昨年2月定例会でのわが党の山口議員の質問にたいして、南京事件に関する政府見解について、「私の言っていることとほとんど同じ」と答弁されました。

南京事件の存在を認めた政府見解と、自らの見解が同じというのなら、「南京事件はなかったのではないか」という発言を撤回すべきではありませんか。

そうしてこそ、名古屋市と南京市との交流が再開でき、両市の友好関係を回復することができます。

撤回する気も謝罪する気もありません(市長)

【市長】私が昔から勉強しとりましたけど、ロサンセルズ公式代表団親善使節団歓迎夕食会、これ公務が平成21年10月4日に夜6時から木曽路(栄)で開かれました。ミス2世がいて、日本人って中国でひどいことしたねと言うので私びっくりして、わたしの高校の教科書に書いてってあったって言うんです。直ちに調べるよう命じまして、アメリカの進学クラスの副読本です。「2か月の間に日本兵は7000人の女性をレイプし、数十万の非武装の兵士や民間人を殺害し、南京市街の住宅の3分の1を焼き払いました。日本兵の銃剣の練習にされ、機関銃でうたれ穴に落とされるなどして40万人の中国兵が命を落としました」、こうアメリカの高校の副読本で教えとります。

このままでいいの、あんた。もしこんなことがホントだったら直ちに南京に行って土下座しなかんですよ、申し訳なかったと。公式行事にミス2世がわざわざ私に言った。彼女はお母さんが日本人なんですよ。私の母親の祖国がこんなことするんだろうかと、僕に言ったと思います。だから私はこのことについてちゃんと議論しよう、こんなことを先祖がやったのかと。南京が姉妹都市でございますし、このことで死刑になりました松井いわねさんは、中村区の牧野小学校出身の方です。そんなことで、このことについては撤回する気も謝罪する気もありません。こんだけのことがアメリカで教えられとるんです。その時は、山本さんと藤沢さんと南京で議論させてくれと言いましたけど、少なくとも日本の中で本当かどうか議論させてくださいよ。こう言ってるんです。まあ、そういうことでございます。

 人数が問題ではない。市長が南京市の公式代表団に向かって「虐殺はなかったんじゃないか」と言ったことが問題だ(意見)

【田口議員】この問題の根本は、何人虐殺されたかと人数の問題ではないんですよ。南京で日本軍による虐殺事件があったのか、なかったのか。市長は、「なかったのではないか」と否定をされた。これは歴史を逆行するものです。その立場、態度を改めない限り南京との友好関係はつくれないと私は思います。これ、本当に重大なんですよ。南京との友好を35年間つくってきた友好関係が市長の発言によって壊れたんですよ。この責任はホント大きいんですよ。もちろん歴史の関係で数はどこかで議論すりゃいい。しかし問題は南京市の公式代表団に向かって「なかったんじゃないか」と言ったことなんですよ。その責任を本当に自覚していただきたい。このことを申し上げて質問を終わります。

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