2013年2月定例会

岡田ゆき子議員の議案質議 サイエンスパークの塩漬け土地解消に45億円の税金投入(2013年2月25日)

サイエンスパークの塩漬け土地を45億円の税金で処分する責任を問う

用地取得にかかる名古屋市土地開発公社への負担金について

市民にツケを回した責任を問う
【岡田議員】土地開発公社所有のサイエンスパークBゾーン2街区を、教育委員会が購入予定している歴史の里の保留地と仮換地変更し、土地開発公社から、65億円余で買い戻しますが、地価相当額の20億円余を教育委員会が、残りの45億円余を市民経済局が負担するとしています。
 サイエンスパークBゾーンは、「なごやサイエンスパーク事業」の中で大学誘致にあてる場所として、1989年に「名古屋工業大学を誘致」することを決め、土地開発公社による、土地の先行取得が開始されました。しかし、2001年には、名古屋工業大学の誘致を断念しています。これは少子化や、大学自体が都心回帰の状況にあること、土地区画整理が進まないことなど、理由はありますが、構想自体は明らかに破綻した訳であります。この時点で、Bゾーンの計画が撤回されていれば、その後の無駄な負担を背負う必要もありませんでした。
 名古屋工業大学誘致断念後、2003年に「なごやサイエンスパーク事業推進会議」の提言を受けて、市は、整備方針の見直しをしています。しかし、そこでもBゾーンの方向性は例示はあっても、はっきりとした方針は示されず、又用地整理が進まないことから、整備目標を、2014年とし、さらに11年も更に先送りさせてしまいました。
 少なくとも、この2001年、2003年の2回は、事業化の断念を決断する機会があった訳です。
私どもは、事業の撤回と地元住民の合意による土地の有効利用を検討すること、そして、利用計画が立たない場合は売却処分の検討をするように、本会議、委員会でも求めてきました。
 昨年になり、やっと大学誘致の事業化を断念すると決めたわけですが、今回買い戻しを行う2街区だけをみても、取得したときは42億円であった土地を、20億円の土地に交換する訳ですから、その差額の22億円は、市がかぶることになります。そして借金して土地を先行取得してきているので、2街区を買い戻すまでの長い期間に付いた利子など含めて、45億円もの市民の税金を市民のために使うこともなく、無駄に捨ててしまうわけですから、市民感覚からして、相当な批判がされても仕方がありません。
 なぜ、このように長期保有する結果となってしまったか、この検証は必要です。土地開発公社の第3次経営改善計画では、長期保有となった理由の一つに、「名古屋市において機を逸することなく買収するとの判断の下、事業化の時期や事業用途を十分に精査しきれないまま土地が取得されたこと」だとしています。この問題は、元を正せば、バブル経済崩壊後の地価の下落を食い止めるため、国が景気対策として、地方自治体にどんどん土地を買わせたことにありますが、その政策に誘導されて、名古屋市も事業化の見通しや目的が不明瞭のまま、土地開発公社に先行取得させたことにあります。その責任ははっきりさせるべきだと考えます。
 そこで、市民経済局長にお聞きします。この名古屋工業大学誘致を断念したこのBゾーンは、事業用途や事業化の時期を十分に精査しきれないまま、放置してきたということではないか。今回の補正予算45億円は、本来市民にたいして役立てるべき税金を、事業の失敗の穴埋めに使う訳ですから、その責任をどう認識しているのですかお聞きします。

計画通りに進まなかったことは重く受け止めなければならない(局長)
【市民経済局長】なごやサイエンスパークは、昭和62年に産業活性化計画の提言を頂き、事業を円滑に進めるため、志段味地区の区画整理事業に合わせて、必要な土地の取得を行い、平成15年9月に事業整備方針を策定、Bゾーンは平成25年度に整備することを目標とし、大学や企業の研究機関の一体利用を中心に、誘致等で事業化を目指してきた。
 少子化、大学立地の都心回帰や景気の低迷など、厳しい状況が続いており、計画通りに事業化が進まなかったことは、重く受け止めなければならないと認識しており、先の6月市会で大学誘致の断念等、事業の見直しをした。
 Bゾーンは、市の最重要懸案事項と認識しており、2月補正予算で土地開発公社からの買戻しをすることにした。

残る街区の方向性は
【岡田議員】今回買い戻しの対象とならない、残る1街区については、どうするおつもりですか。

全庁的に関係局等と鋭意、検討を行いたい
【市民経済局長】残る1街区は有効な土地の利活用について、地元の意向も尊重しつつ、引き続き全庁的に関係局等と鋭意、検討を行いたい。

市長は塩漬け土地が発生した経緯や原因、責任の所在も明らかにするといっていた(再質問)
【岡田議員】局長からご答弁頂きました。「計画が思い通りに進まなかったことは重く受け止めなければ」というご答弁でしたが、誘致先がない、事業化の目処が立たないという時期を何度も迎えて、事業を継続すべきでないと判断することもできたのではないか。問題を先送りしてきたことに対して、本当に反省の上に立っているのか、疑問を抱かずにはいられません。
 企業が事業に失敗するようなことになれば、負債はなるだけ減らすように、従業員の生活も考え、廃業の時期を決断するわけです。市の事業でも同じではないですか。こうした結果を作り出したことに対して責任を感じるべきではないかと言いたい。
 市長にも、お聞きしたい。2009年の市長選挙前に、名古屋市民オンブズマンがおこなった、市長候補者への公開質問の中で、サイエンスパーク事業を見直すつもりは?という問いに「ある」と答えられ、なぜこれほどの「塩漬け土地」が発生したのか、経緯や原因、さらには責任の所在も含めて明らかにするとおっしゃっています。
 今までの経過も踏まえ、この問題、市長として、責任の所在も含めて、どう考えていますか。

議会と相談しながら、そこで了承を得ながらやっていく、という仕組み(市長)
【市長】1番の悲劇は小さい企業ですね、倒産となって経営者は全部路頭に迷う。若干楽なのは銀行です。銀行はそれ以前に破たんするが、破産は倒産ではない、経営者がかわるだけ。それからまた制度が緩くなり破たん処理される。それよりいいのは税金の役所ではないかという気はしとります。
 それをやるのが議会への報告だとおもいます。役所の責任の取り方は。だで、議員の持つ責任は大変重いのではないか。ですから今の仕組みは議会と相談しながら、そこで了承を得ながらやっていく、という仕組みになっとる、ということです。

市民感覚から本当にずれている(意見)
【岡田議員】責任の所在はどこにあるかという質問なんです。こういうふうに事業を無計画に進めてきた、そのまま放置してきた、それだけの税金を銀行に払うということをやってきてしまったわけです。これは市民感覚から本当にずれていて、怒りに感じるものであると思います。さらに謝罪、どういう経緯があってこういう風になってしまったのか、ここはきちんと反省の上に立って考えるべきだと思います。
 あとは委員会での議論におまかせしまして、私の質問を終わります。

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