県の福祉医療を守るよう、知事に申し入れ

愛知県は、子ども、障害者、母子父子家庭、寝たきりなどの75歳以上の福祉医療制度に、患者の定額負担と所得制限を導入する「見直し素案」を公表しました。日本共産党名古屋市議団は、もとむら伸子さんや県下の地方議員団長らとともに、大村知事に対し「県の福祉医療制度改悪を導入せず、医療費無料化を維持・拡充するよう求める申し入れ」を行いました。

 愛知県が見直しをした場合、名古屋市への影響は、案①の通院300円/回 入院100円/日では7億4400万円の削減。 案②の通院500円/回 入院500円/日では10億3800万円もの削減。 案③の通院500円/月 入院500円/月では5億9000万円も削減され、福祉医療制度が維持できなくなってしまいます。

申し入れ分全文を紹介します。

県の福祉医療制度改悪を中止し、医療費無料化を維持・拡充するよう求める申し入れ書

愛知県はこのほど、県が145万県民を対象に、市町村に対しおこなっている子ども、障がい者、母子父子家庭、寝たきりなどの75歳以上の福祉医療制度(医療費無料制度)に、患者の定額負担と所得制限を導入する「見直し素案」を公表しました。4月にも最終的な見直し案をまとめ、2014年度実施をめざすといわれています。

県が「全国トップレベル」と誇ってきた医療費無料制度は、社会的弱者の医療保障と健康保持に大きく貢献しています。1973年にゼロ歳児を対象に始まり、以後、県民の強い要望をうけ、子ども、障がい者、母子父子家庭、寝たきり・認知症などの高齢者に拡がってきました。

今回の県の改悪の動きは、1973年以来の医療費無料化の流れを断ち切り、窓口無料を有料に切り替える歴史的な大改悪です。

無料化事業費の2分の1を県が補助する現行制度は、市町村に制度の拡充をうながし、例えば、子どもでは、9割の市町村が県制度の枠を超えて無料化しています。県が患者の定額負担と所得制限の導入によって県補助を削減するならば、市町村の財政負担を増やし制度後退につながるおそれがあります。これを懸念し、県内市町村の過半数の30の議会が県にたいし現行制度の存続・拡充を求める意見書を採択しています。

今回の「見直し素案」に対し、医療関係者は「自己負担があると受診が遅れ、重症化で医療費が増えるおそれ」を指摘しています。県医師会をはじめ医療、障がい者、社会保障の関係団体は現行制度の改悪に反対し、その存続・拡充を県に求めています。

県は将来的な財政負担増の推計を理由に制度改悪を検討していますが、大村知事は知事選で「医療・健康・福祉への集中投資」を公約しました。福祉医療改悪はこの公約に逆行し、県民を裏切るものです。

地方自治法は「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とする」(第1条の2)と定めています。広域自治体である県も例外ではありません。にもかかわらず、一方で、大企業向け立地補助金を従来の1件10億円から「全国トップレベル」の1件100億円に大幅に引き上げ、他方で、県民の命綱となっている福祉医療制度(医療費無料制度)を改悪するのは、まさに、強きを助け、弱きをくじく“逆立ち”県政といわざるをえません。

いま、雇用の不安定化、低賃金と所得の減少、社会保険料負担の増大にもとで、安倍政権は社会保障全面改悪と消費税増税による国民大負担増に向かっており、特に、子育て世代、障がい者、母子父子家庭、高齢者層では生活難と将来不安が増大しています。このとき、地方自治体にはその悪政から住民を守る防波堤としての役割の発揮が求められます。

愛知県の福祉医療改悪は県民負担増に追い打ちかけ、デフレ不況を悪化させることになります。県がおこなうべきは、福祉医療の改悪でなく、改善です。

よって、県においては福祉医療制度に一部負担金・所得制限を導入せず、現行制度の存続・拡充を図るよう強く求めます。

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