名港議会 請願の採択を求める討論

核兵器も放射能汚染もない非核の名古屋港宣言を求める請願の採択を

私はただいま議題となっております請願第1号及び請願第2号 いずれも核兵器も放射能汚染もない非核の名古屋港宣言を求める請願」について、採択に賛成の立場から討論を行います。
汚染貨物を搬入させない
請願第一号は、名古屋港管理組合に対して、名古屋港に放射能汚染貨物を搬入させない措置をとらせること、及び、同じく管理組合に対して名古屋港の空気中・水中・底泥の放射能測定を適宜行うよう求めるものです。
調査によると、昨年8月18日から今年9月末までに、0.3マイクロシーベルト以上が検出された中古自動車等は名古屋港で約25万台中787台、5マイクロシーベルト以上の車も3台ありました。名古屋港と京浜・阪神の合計では同時期にあわせて9259台から0.3をこえる異常が検出され、5マイクロシーベルトを超えた車等も78台に達しています。
空気中・水中・底泥の放射能測定を
貨物を扱う労働者の被曝も心配です。市民団体の自主的な測定では、労働者が集まる金城埠頭の福祉センター付近の値が特に高くなっていました。管理組合としても国に必要な対策を求めているのですから、国に要望するだけでなく、名古屋港からこそ国や他港の模範となるような措置を示すべきです。
また放射能測定は現在、港内5地点で毎月行われるようになりました。あとは底泥の測定です。愛知県は1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に国が始めた環境放射能水準調査の一環として常滑沖の伊勢湾で底泥の放射能測定を行っているそうです。26年前の事故の影響を継続的に調査しているのです。東京湾でも荒川や多摩川など河口付近の底泥で測定値が高いとの情報もあります。昨年の原発事故を受けて、港内でも測定するのは当然です。
環境にやさしい港をめざす名古屋港です。放射能汚染について敏感になりすぎて困ることはありません。全国で一番、環境にやさしい港をめざして、この請願が求める放射能対策を速やかに進めるべきであります。
核兵器搭載艦船、原子力艦船の入港拒否を
請願第二号は、核兵器を搭載した艦船の名古屋港への入港を一切拒否する決議をすること、又、原子力艦船の名古屋港への入港を一切拒否する決議をすること、そして、名古屋港管理組合に、文書による「非核証明書」の提出を求める行政手続きを今年度末までに作成させることを、求めるものです。
管理組合からは、国が「非核三原則を堅持する」と言っている以上、国において核兵器の搭載がないことが確認されている。米国は1991年以降,艦船や航空機から戦術核を撤去すると明らかにしており、国もそれ以降は一時寄港の形で持ち込まれることはない、と言っている。したがってあえて非核証明書の提出もいらない、との見解が示されました。
非核三原則を否定する危ない動き
ところで10日、日本維新の会の橋下代表は広島での記者会見で、「米海軍第7艦隊はある意味、日本を拠点に太平洋を守っている、核兵器を持っていないことはありえない」と発言したと報じられました。「非核三原則について基本は堅持だが、『持ち込ませず』は安保条約下で可能なのか」とも述べ、非核三原則を2.5原則に見直す必要性を示唆したとも伝えられています。非核三原則の厳守を国任せにしておくわけにはいきません。
民主党鳩山内閣が発足したとき、日米「核密約」の存在があらためてクローズアップされました。核兵器を搭載した米艦船の一時寄港は、核の持ち込みには当たらないので事前協議の対象にはしない、との密約が1960年に結ばれ、それが「討論記録」として存在していることが明らかになりました。この密約は残念ながらいまだに存在しています。
また1991年以降、米国は戦術核兵器を水上艦艇から降ろしたので現在は積んでない、という点でも、2010年に当時のキャンベル米国国務次官補が「米航空機および艦船が核兵器の搭載について肯定も否定もする必要なしに日本に寄港・着陸できる」と発言しており、いわゆるNCND政策(核兵器の有無について肯定も否定もしない)が維持されていることも明らかです。
非核証明書の提出義務化を
こういう状況下で、核艦船や原子力艦船の入港を一切拒否し、具体的措置として、神戸港のように入港する艦船に「非核証明書」を提出させること、少なくとも四日市港がつくった米軍艦船入港対応マニュアルのように、外務省から「非核の証明書」を文書でもらうことは、港湾の安全を守るために、港湾管理者である地方自治体として当然、必要な施策です。日本という国への信頼が様々な面で揺らいでいます。だからいま自治体港湾として主体性を発揮すべき時なのです。
名古屋港の新たなアピールに
私が、核兵器も放射能汚染もない非核の名古屋港宣言を求めるこの請願に賛成するのは、このことが名古屋港の新たなアピールにも寄与すると考えるからです。核や放射能について、国任せにしない独自の取り組みを求めるこの請願の採択を最後によびかけて、討論を終わります。

参考:「核兵器も放射能汚染もない非核の名古屋港宣言を求める請願」

       請願者 南区住民ほか6249名
紹介議員   山口清明
(要旨)
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、死者・行方不明あわせて2万人近い犠牲者をだし、難を逃れた人たちは、今もなお、生活再建に懸命に取り組んでいます。東京電力福島第一原子力発電所の電源喪失・炉心溶融による水素爆発による放射能汚染は、地元福島県のみならず、地球規模に広がっています。大気、大地、海洋へと大量の放射能が放出され、人々は、外部被曝と深刻な内部被曝に曝されることになりました。
67年前、私たちは、核爆弾によるヒロシマとナガサキの被爆を経験し、今回の東京電力福島第一原発事故で「核の平和利用」という「安全神話」が崩れ、放射能の披害を経験しています。そして、国の不作為の中、この名古屋港にも、今も放射能に汚染された輸出中古自動車や建設機材、スクラップが大量に持ち込まれ、港湾労使は、それらの全量放射線測定を行い放射能に汚染された貨物を輸出しないことと労働者の安全確保に懸命の取り組みを続けています。
「ノーモア ヒロシマ」「ノーモア ナガサキ」と核兵器のない世界を求める諸国民の声は圧倒的です。そして、3.11以後は、「ノーモア フクシマ」という声があがり、「人類と核兵器とは共存できない」「原発はやめるべきだ」という声が圧倒的に多くなっています。
「非核」は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を意味していました。それが、3.11以後には、それに加えて、核をエネルギー源とする原子力発電所からの脱原発を意味するようになりました。さらに、港湾にとっては、「非核」は、動く原発=原子炉を搭載した原子力艦船の入港を拒否し、放射能に汚染される恐れのない港湾を意味することになりました。
非核名古屋港は、これまでは核兵器を積んだ艦船が対象でしたが、3.11以後は、原子力艦船も入港できない名古屋港が非核名古屋港というべきです。それでこそ、安全、安心の名古屋港となります。
以上のことから、下記事項について、請願いたします。

1 名古屋港管理組合に、名古屋港に放射能汚染貨物を搬入させない措置をとらせること。
2 名古屋港管理組合に、名古屋港の空気中、水中、底泥の放射能測定を適宜、行わせること。
3 核兵器を搭載した艦船の名古屋港への入港を一切拒否する決議をすること。
4 原子力艦船の名古屋港への入港を一切拒否する決議をすること。
5 名古屋港管理組合に、文書による「非核証明書」の提出を求める行政手続き(マニュアル)を2013年3月末までに作成させること。
※ 平成24年10月22日受理。審査する委員会が違うため、名古屋市会と同様に、便宜上2つの請願(1号、2号)として委員会審査され、本会議で一括採決されました。1号(1・2)は企画総務委員会に、2号(3・4・5)は港営建設委員会に付託されました。

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