2012年11月議会

山口議員の議案反対討論・・・非課税世帯・子育て世代に負担増となる国保条例改正には賛成できない

 12月10日の市議会本会議で名古屋市国民健康保険条例の討論・採決が行われ、山口議員が反対討論を行い ました。3つの反対理由を上げ、「国保は医療を保証する制度で、生活苦に追い打ちをかけることなどあってはならない」と討論しました。 

非課税世帯に新たに所得割の負担まで…10万世帯以上に国保料の値上げは許せない
 12月10日の市議会本会議で名古屋市国民健康保険条例の討論・採決が行われ、山口議員が反対討論を行いました。
国の方針で市民負担増。緩和措置も不十分
 この条例改正は、国による保険料算定方式の一本化に応じるための改正です。名古屋市が長年続けてきた、障害者や多人数世帯の負担に配慮できる住民税方式から、いわゆる旧ただし書き方式、つまり基礎控除後の所得だけをもとに保険料を算定する方式に変えます。
 改正案では「保険料の枠内」で独自に負担緩和措置を期限を設けず実施することは評価ができますが、それでも、保険料が上がる市民が生じます。
国庫負担は50%から24%まで削減
 算定方式の一本化は、国保の「広域化」への地ならしの一つですが、「広域化」は、国庫負担のさらなる削減が狙いです。1984年まで国保会計の50%だった国庫負担は、自民党政権時代に24%まで削減。民主党は「政権交代」したら国保に「9000億円」を投入して負担軽減を図るといっていましたが、何もしませんでした。国保への国庫負担を計画的に元に戻すことが必要です。具体的な問題としては以下のとおりです。
加入世帯の約1/3で平均3万3千円の負担増
【理由1】平均保険料が変わらないとはいえ、加入世帯の約三分の一、十万七千世帯が平均3万3千円もの負担増となることです。「保険料が下がる世帯もある」「平均保険料は変わらない」といいますが、そんな説明で値上げを納得する市民はいません。そもそも平均の保険料も高いのです。5年前(2007年)の一人平均7万6千円が現在は9万1千円。容認できる金額ではありません。
低所得世帯を直撃
【理由2】値上げがとくに住民税非課税の低所得世帯を直撃することです。均等割に加えて、新たに所得割が課せられる非課税世帯は1万4千、平均で年間2万円の負担増です。最悪は222万円の年金で暮らす65歳の夫婦二人世帯で、年間3万7千円の負担増です。この夫婦は、介護保険料の値上げで今年3万2千円の負担増となったばかり。しかも年金支給額の2.5%引き下げが強行され、削減額は年間6万2千円。合計で年間13万円を超える負担増です。わずかな年金だけが頼りの高齢者に、これでもか、と負担を押しつけるのは許せません。
子育て世帯にも大きな負担増
 子育て世帯でも、給与収入が年間271万円、4人家族の世帯で5万円を超える負担増です。本会議で保育料の値上げについて、市長は「『庶民の負担はやめてちょう』と言うとりまして。・・・非課税世帯とか、そのちょっと上くらいまでは今のままでがんばろまいか」と答弁しました。国保でもせめて同様の配慮が必要です。非課税世帯の負担増をやめるのに必要なのは2億8千万円。これは5%減税のわずか10日分です。
独自減免の拡充等で負担増は十分抑えられる
【理由3】市の独自減免の拡充などで負担増は十分抑えられます。市は、かたくなに国保会計への一般財源の新たな投入を拒んでいますが、いまでも障害者や寡婦、低所得世帯など市独自の保険料減免に11億5千万円を投入し、市長が減税とあわせて行った均等割の3%引き下げには8億4200万円を投入しています。今回の条例改正に伴っても低所得世帯への減免対象者を3千人から6千人に増やしています。やればできるのです。
足りないのは市長のやる気
 保険料の枠内での負担緩和には限界があります。一般会計からの繰り入れで負担増を抑えることは十分可能です。足りないのは市長のやる気です。
 国民健康保険は、「社会保障及び国民保健の向上」を目的とした国民に医療を保障する制度です。その制度が、生活苦に追い打ちをかけることなどあってはなりません。市民に新たな負担を強いる条例改正には賛成できません。

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