名港議会 一般質問① 名古屋港の温暖化・大気汚染・放射線対策について(2012年6月11日)

名古屋港の環境問題について

ー地球温暖化対策、大気汚染対策、放射線対策ー

【山口議員】名古屋港の環境問題について、地球温暖化対策、大気汚染対策、放射線対策の3分野について、それぞれうかがいます。

臨港地区の二酸化炭素排出量の把握と地球温暖化対策はどうなったか
【山口議員】地球温暖化対策として温室効果ガス(二酸化炭素)排出量の削減が大きな課題となっています。先日の議員総会では、名古屋港管理組合からの二酸化炭素排出量は大きく削減できたとの報告がありましたが、そのほとんどは曳船事業の民営化によるものとのことでした。名古屋港の曳船の数が減ったわけではありません。
 単純な話ですが、管理組合からの排出量が削減されても、臨港地区全体からの排出量が減らなければ地球温暖化対策上は意味がありません。名古屋港の臨港地区は名古屋市及び愛知県下における産業活動の一大拠点です。それはまた二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの一大発生源ということでもあります。
 そこでうかがいます。名古屋港管理組合として、臨港地区の二酸化炭素排出量をどのように把握しているのか、また臨港地区全体の地球温暖化対策をどのように進めるのか、お答え下さい。

総量把握はできないが、組合としては5.2%の削減で目標を達成。今後も努力する
【企画調整室長】地球温暖化対策実行計画を策定し、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。平成22年度は、平成17年度比23.0%削減となり、ひき船事業の廃止によるものが大きいものの、それを除いても、5.2%の削滅となっており、第2次実行計画の目標である5%を達成しています。
 また、立地企業も、荷役機械の電動化や太陽光発電の導入など排出量削瀬の取組が行われています。
 臨港地区の二酸化炭素の排出量は把握できないが、現在、国土交通省が港湾活動から発生する温室効果ガス削減のため、排出量の把握や対策について検討しています。
 今後とも、名古屋港からの二酸化炭素排出量の抑制に努めます。

大気汚染の測定結果はどうか、恒常的な測定を。臨港地区も環境に関する法律の対象地域とするよう国へ働きかけよ
【山口議員】臨港地区はまた、名古屋あおぞら裁判の被告企業が立地し、大型車両の通行量も多く、大気汚染によって少なくない公害患者を発生させたエリアです。その自覚をもって公害・環境問題に向き合う必要があります。名古屋港及びその周辺ではいまも多くの人々が働き、暮らしています。
 ところが国の大気汚染防止法では、臨港地区は大気汚染の規制区域外とされています。大気汚染対策をすすめていくうえでこの法律の規定は、この地域の実情にあわず時代遅れではないか、と私は過去にも質問してきました。また環境団体などからも国に対して同様の指摘がされてきました。
 そうしたなかで名古屋港管理組合は一昨年、公害患者団体などの要望も受けて、臨港地区内の大気汚染について測定を始めたとうかがいました。
 そこで質問です。臨港地区内での大気汚染の測定は、誰が、いつ、どこで、何を調べたのか、その結果とその後の推移はどうか。また測定は恒常的に行う必要があると考えるがどうですか。
あわせて国に対し、臨港地区も大気汚染防止法の規制対象とするように管理組合としても働きかけるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

県や市が測定し、周辺と大差はない
【企画調整室長】大気汚染防止法に基づき愛知県及び名古屋市が常時監視を行っていますが、臨港地区はその対象から除外されていますが、本組合の要望に基づき、平成22年6月及び昨年12月に、愛知県が飛島インター北側で窒素酸化物や浮遊粒子状物質等について、移動大気観測車による測定を実施しています。
 平成22年6月と11月、及び昨年の5月と11月には、名古屋市が臨港地区隣接地の南陽プール駐車場で同様の測定を実施し、平成22年度の測定結果は、境境基準を達成している周辺の常時測定局と大差のない結果であり、平成23年度も大きな変化はなかったと聞いています。
 今後とも適宜、愛知県及び名古屋市と大気観測について調整したい。港湾法に基づき、環境の保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図る。

現在の放射線量はどれくらいか、 定期的な測定を求める
【山口議員】管理組合のホームページには名古屋港における放射線量の測定結果が公表されています。今年5月の測定結果、海水からは放射性物質は検出されず、ガーデンふ頭、飛島ふ頭、鍋田ふ頭及び南五区の4カ所での空間放射線量はおおむね一時間当たり0.06~0.07マイクロシーベルトでとくに問題はないとされています。
 ところが先日、ある市民団体が名古屋港の放射線量を11カ所で測定した結果を公表しました。その結果をみると、ガーデンふ頭付近では管理組合の測定結果と同様の数値でしたが、金城ふ頭周辺地点では一時間当たり平均で0.15~0.19、最大値では0.24マイクロシーベルトという値が観測されました。
 ガーデンふ頭周辺よりも一桁多いのです。一時間当たり0.2マイクロシーベルトは年間被ばく量では1.7ミリシーベルトに換算される数値とも言われており、気になる数値です。
 金城ふ頭などで取り扱っている輸出用中古自動車の放射線量測定も継続されています。昨年の議会でもとりあげましたが、依然として放射線が検出される中古自動車がなくなっていません。検査基準としている一時間当たり0.3マイクロシーベルトを超えた車が今年の1月から4月末までで237台見つかっています。
 そこでうかがいます。現在の名古屋港の放射線量についてどう認識しているのか。大勢の県民市民が集うエリアと位置づけられている金城ふ頭も含め、さらにきめ細かく、かつ定期的に測定する必要があると考えますがいかがでしょうか。

過去の平常値の範囲内。引き続き測定する
【企画調整室長】名古屋港内における空間放射線量の測定は、昨年に引き続き、本年5月にも名古屋港願港地区内のガーデンふ頭、飛島ふ頭、鍋田ふ頭及び南5区の4地点で調査を行い、愛知県等が測定している過去の平常値の範囲内でした。
 今後は、金城ふ頭においても測定したいと考え、引き続き、状況を勘案しながら、定期的な測定をします。

名古屋港の放射線量(空間)
測定日
測定場所
放射線量 μSv/h
2011年5月19日
①ガーデンふ頭
0.07
②飛島ふ頭
0.09
③鍋田ふ頭
0.09
④南5区
0.07
2012年5月8日
①ガーデンふ頭
0.06
②飛島ふ頭
0.07
③鍋田ふ頭
0.07
④南5区
0.07
*東海3県の過去の平常値は0.035~0.11μSv
海水中の放射性物質の測定
採取日
採取場所
放射性物質
ヨウ素131
セシウム134
セシウム137
2011年5月15日
①金城ふ頭南側
不検出
不検出
不検出
②高潮防波堤措置外側
不検出
不検出
不検出
2012年5月7日
①金城ふ頭南側
不検出
不検出
不検出
②高潮防波堤外側
不検出
不検出
不検出
*測定は専門業者に委託

国に大気汚染防止法の開連規定の見直しを求めるべきではないか〈再質問〉
【山口議員】港湾法の第一条では「環境の保全」がうたわれています。
 管理組合は、とくに法律にはない放射線量測定も行っています。金城ふ頭も測定するとの答弁でした。しっかりチェックしてください。地球温暖化ガスも国が港湾での排出量測定に向けて検討中だとの答弁でした。ところが大気汚染対策だけが抜けたままです。 港湾法に規定されている管理者=自治体として環境保全の業務を全うするためにも、国に大気汚染防止法の関連規定の見直しを求めるべきではありませんか。副管理者に再度、答弁を求めます。

【参考】港湾法第一条【目的】この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、環境の保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とする。

県・市が常時監視を行う。規制や指導の権限はないが環境施策に取り組んでいる。六大港湾協議会で意見交換したい
【専任副管理者】大気の汚染の状況につきましては、環境基本法の体系に基づく事務を所管する愛知県及び名古屋市が常時監視を行うこととなっており、本組合は、同法の体系に基づく規制や指導を行う権限はありませんが、これまでに、臨港緑地の整備を始め、飛島インター交差点改良による渋滞の緩和や風力発電施設の運転など、幅広く環境施策に取り組んでいます。
 環境関連法令の見直しは、同格の体系の中で検討すべきものと考えますが、臨港地区の大気環境の測定につきましては、臨港地区を所管する港湾管理者として、六大港湾協議会において意見交換をしたいと考えております。

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