名港議会 一般質問④ガーデンふ頭東地区の今後(2012年3月26日)

温泉施設の暫定利用をしないのか
【山口議員】最後に、ガーデンふ頭東地区、旧イタリア村についてです。
 PFI事業の破綻事例として北九州の「ひびきコンテナターミナル」とともに紹介されている「名古屋港イタリア村」の破産、閉鎖から早4年になります。2008年に約170億円の負債を抱え自己破産を申請し、約400人近い解雇者も出し、わずか3年の営業を終えたのです。管理組合は2億円もの債権回収を断念し、名古屋市も一億円を超える固定資産税の滞納回収を断念させられました。この事業に深く関与した関係者の責任は重大です。
 ところがその後の再開発についても、管理組合は、民間企業の進出だけをあてにしてきた結果、結局、進出企業がないまま今日を迎えました。これまでイタリア村跡地を管理するためだけに管理組合が負担した金額は約7千8百万円にのぼります。門や塔の撤去費用は約4千万円です。
またガーデンふ頭で結婚式場を経営する会社からは、違法建築問題によるイメージダウンで利用客のキャンセルが相次いだ、として約10億円の損害賠償を求められており裁判が続いています。
 名古屋港、とりわけガーデンふ頭地区のイメージアップのためにも、これ以上、現状を放置しておくことは許されません。私はこれまでも、ガーデンふ頭東地区の再開発は、ガーデンふ頭全体を視野に入れて行うこと、また旧イタリア村の跡地は、地元からも要望が強い公共的なホールをつくることを提案してきました。民間企業の進出に頼れなくなったいま、あらためて知恵をしぼることが必要です。ガーデンふ頭全体をどうするか、は長期的な視野で検討する必要がありますが、今日は二点、ぜひ具体的な活用を検討していただきたい提案をします。
 一つは温泉です。旧イタリア村が足湯にしようと採掘した温泉があります。いまでも36.1度の温泉が毎分365リットル湧き出しているのですが、現在は何も利用されず海に放流されています。この温泉の権利は管理組合が所有しています。多くの課題はあると思いますが、こんな財産を活用しない手はありません。暫定的な利用法をふくめて、積極的に検討すべきではないでしょうか。

イタリア村温泉:2005年12月22日深度1,000mから湧き出した温泉。温度は36.1度、泉質は弱アルカリ性低張性温泉。塩素イオンと炭酸水素イオンが多い成分となっている。適応症として神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、慢性消火器病、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進等が挙げられています。夏のオープンを目指す「名古屋港イタリア村温泉」(仮称)に先行して2006年1月25日、足湯施設「ガンバテルメ」がオープン。(ナゴヤ・ポート・ニュース 平成18年2月号より)

利用可能な資源として提示していきたい
【総合開発担当部長】温泉は、開発を目指す中で、利用可能な資源として提示していきたい。
海上保安庁巡視船「みずほ」を集客に活用しないのか
【山口議員】もう一つは、海上保安庁の巡視船「みずほ」です。この船は普段、ガーデンふ頭東側、旧イタリア村の倉庫の陰に係留されています。当然出動している時もありますが、365日のうち少なくとも約半分はガーデンふ頭に停泊しています。映画「海猿」が話題になりましたが、せっかくガーデンふ頭にカッコいい船がいるのに、観光にも集客にもまったく活用されていません。
 本来業務の妨げにならない範囲で、もう少し活用できないものでしょうか。少なくともここにいるよ!との情報発信はもう少し積極的でも良いのではありませんか。視界を遮る倉庫群を何とかすることなど管理組合サイドでの課題だと思いますが、いかがでしょうか。
岸壁係留は危険も伴い、任務に支障をきたすため困難。行動は極力公表しない
【港営部長】「みずほ」はヘリコプターを搭載する大型巡視船であり、岸壁に停泊中でも、ヘリコプターの緊急離発着や訓練等もあるので、開放された岸壁での係留は危険で、任務に支障をきたす恐れがあるため困難、情報発信も「みずほ」の行動は公表を差し控えてほしいと、海上保安庁から要請を受けている。
 ガーデンふ頭では、港ならではの景観形成を図ることも重要ですので、今後とも、客船を始めとする船舶の誘致に努めるとともに、港特有の船や海を眺められる空間づくりについて検討したい。
公共的ホールの再建を(意見)
【山口議員】簡単ではありませんが、現在ある資源はしっかり活用していただきたい。でも基本は旧港湾会館に代わる公共的ホールの再建が地元の強い要望です。イタリア村の負の遺産は管理組合としても責任をはっきりさせてほしい。誰も責任をとらないまま、また同じような開発手法に頼り、ずるずると管理経費だけ支払い続ける状況につながっているのです。もう1億円を超えました。残された検討時間はそんなに長くはないことを肝に銘じていただききたい。

キーワード: