2012年2月定例会

山口清明議員の個人質問② 守山市民病院の再生(2012年3月5日)

 

 

市立病院の役割と守山市民病院の再生について

市立病院の再編計画「選択と集中」路線の帰結は無残なもの
【山口議員】名古屋市は、五つあった市立病院を経営改革プランに沿って、二つの医療センター+緑市民病院に再編する計画をすすめていましたが、2009年9月、河村市長の鶴の一声で、城西病院の廃止と緑市民病院への指定管理制度の導入が決められました。そして今度は、守山市民病院の廃止・民間への払い下げです。
結果的には守山市民病院などの患者・利用者を見捨てた
 「選択と集中」路線で、まず二つのセンター病院を立派にして医師と看護師を集める、そうしたら他の3病院の人材も確保できるというのが当初の説明でした。だから守山市民病院の利用者も診療体制の縮小を我慢してきた。
 いつか良くなると。ところが結局、事実上、東西二つのセンター病院しか残らない。
 局長、あなたは先日の代表質問でも、総体としての市立病院の機能が高まり市民サービスは向上したと答弁されましたが、「選択と集中」路線で、結果的には守山市民病院などの患者・利用者を見捨ててしまったのではありませんか。
利用者を切り捨てるものではない
【病院局長】都市型の市立病院としての役割に重点を置いた改革に取り組み、東部医療センターの救急医療や西部医療センターの小児・周産期医療などの充実強化を実現し、患者さんや医療従事者からも選ばれるようになってきた。市立病院全体で医療機能の分担・強化を進めてきた改革の取組みは、名古屋市全体の医療サービスの向上、安心・良質・適切な医療を受けられる環境づくりであると確信している。
 守山市民病院の民間譲渡は、より柔軟な形態に移行し、民間のノウハウを活かしながら現地で病院としての医療を提供していけるようにするためのものです。決して利用者を切り捨てるものではありません。
利用実績ゼロの西部医療センターの高額有料個室が必要か
【山口議員】「選択と集中」のもうひとつの象徴である西部医療センターが昨年5月にオープンしました。総工費330億円(新たに発行した市債は250億円)、ベッド数500床の立派な病院です。患者も順調に増えているようです。
 開所式のあと、院内を見学させていただきました。真っ先に案内されたのが最上階8階の病棟です。そこには一日3万8千円(税込み39,900円)という個室がありました。市大病院と同額ということですが、誰が使うのかな。うらやましいな。と思いました。
 さて、オープンから10カ月たちました。いったい何人がこの病室(特別個室S)を利用したのか? 病院でたずねたら「一人もいません」との答えです。参考までに次のランク一日3万円の特別個室A(5床)の利用率は12%です。

 局長、オープン1年目ということはあるかも知れませんが、いったい何のために、誰のために、この部屋をつくったのですか? 小規模の病院は切り捨てながら、高額所得者向けには税金投入を惜しまないのが市立病院のやることですか。答弁を求めます。
今後は、一定のニーズがある
【病院局長】高度先進医療機器などの整備とともに、患者の多様なニーズに対応できる療養環境を整備することも必要であり、その一つが有料個室です。
 西部医療センターでは、全病床数500床の約30%146床を有料個室として設定し、使用料が1日38,000円の特別個室は1床で、これまでは利用実績がありません。有料個室の利用率は徐々に上がっている。
 病院全体の入院患者数も増えてきていること、市立大学病院の有料個室の利用状況を勘案すると、今後は、一定のニーズがある。
市民と力を合わせた守山市民病院再生計画を
【山口議員】守山市民病院は、大幅な赤字と医師不足を解消するメドがたたないから市立病院としては廃止する、民間なら病院として存続できると言います。でも民間なら魔法のように医師が集まりますか。地域が求める医療機能を大幅に縮小しなければ引き受ける民間病院はありません。経営の悪化は、患者が病院を見捨てたのではなく診療体制の縮小が原因です。需要はあるのに供給不足なのです。
 合併前の旧守山市民病院時代から57年間、地域医療と災害時の医療活動拠点として存在してきた病院です。市民の力を借りて、いや市民が主役の市民病院再生計画を提案します。
 柱は二つ。一つは、患者・利用者をはじめ病院を必要とする市民から出資を募り、病院の運営と経営に参加してもらいましょう。病院債を市民に引き受けてもらうことも考えられます。協同組合の経験にも学び、病院存続を願う市民に、病院の経営にも参加してもらう。出資に伴う配当はしないが、病院の存続という安全・安心が配当です。
 患者・利用者が運営に参加し、患者を増やす工夫も利用者が職員と一緒に考える、新しい公営企業・市民病院づくりです。そして、計画的に診療体制を充実させる5年~10年の中長期計画をつくることです。赤字解消も人材確保も一足飛びにはいきません。計画的な対応が必要です。現在は苦しくとも将来への見通しがあればがんばれます。
 しかし、いままでの改革プランは、情勢に柔軟に対応した、と言えば聞こえは良いが情勢に対し受け身の計画で、変更を繰り返して、最後は切り捨てです。病院改革とは結局、赤字病院を切り捨てただけではないですか。
 守山市民病院の廃止を撤回し、局長、あなたが病院長になり地域密着型のモデル病院として守山市民病院を再生する計画を市民と一緒につくりませんか。
早急に民間譲渡を行うことが最善の方策
【病院局長】守山市民病院は医師の確保が困難で、診療機能の維持が困難であるため民間譲渡を提案した。赤字を理由として切り捨てるのではない。
 利用者などから出資を受け、病院の経営にも参加いただくという手法は、民間の柔軟なアイデアとして、大変貴重なご提案を頂いた。しかし、現行制度上、地方公営企業が市民から直接出資を受けることは認められてない。出資者が病院の経営に参加するという手法は、市立病院の公益性にそぐわない。
 守山市民病院の医師確保の問題は、今すぐ確保できなければ、直ちに病院としての医療を提供できなくなるほど逼迫している喫緊の課題であり、まさに待ったなしの大変厳しい状況であり、利用者参加型の病院経営などのような、民間の病院だからこそ実現できる柔軟な手法による運営を可能にするためにも、早急に民間譲渡を行うことが最善の方策である。
「選択と集中」から外した病院を切り捨てることは許せない(意見)
【山口議員】人材と予算を集中したセンター病院が機能するのはある面、当然です。問題はその「選択と集中」から外した病院に対する責任の取り方です。どう考えても切り捨てですよ。
 一方で、誰も使わない一日39,900円、一泊すると79,800円の個室を新しくつくる。民間にできることは民間に、というのなら、こんな料金の個室こそ、民間大病院にまかせるべきではありませんか。
 市立病院は市大病院と同レベルにするのが適切な機能分担ですか。
 高額の個室をつくりことが病院のステイタス・シンボルだとかんちがいしていませんか。 
 市立病院のあり方として納得いきません。守山の廃止提案も容認できないと今日は指摘しておきます。

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