2012年2月定例会

わしの恵子議員の代表質問 (2012年3月2日)

 

わずかな減税、重い介護保険料負担に胸の痛みを感じないのか。待機児対策、原発事故対策を。南京事件発言の撤回と謝罪を

主な質問項目
1.市民税減税について
2.介護保険料の値上げについて
3.待機児童解消策について
4.福島第一原発事故を受けた本市の対応について
 (1) 原発事故を想定した地域防災計画の見直し
 (2) 太陽光発電設備の積極的な導入拡大
5.「尾張名古屋共和国」構想について
6.市長の政治姿勢について
 ―「南京事件はなかったのではないか」発言―

 

 市民税減税について

国の減税で恩恵を受ける大企業や高額所得者へ、さらに減税するのか

【わしの議員】東日本大震災から1年になろうとしています。大震災・原発事故を受け、市民の防災と福祉のまちづくりの願いに応える市政運営が求められています。
 さて、新年度予算案は、市民税5%減税の実施が前提ですが、「減税」で恩恵を受ける大企業には最高1億円の減税、富裕層には500万円も減税となります。同様に、国においても法人税の実効税率を5%引き下げ、証券優遇税制も延長されたままであり、大企業・富裕層減税が行われています。
 市長にお聞きします。市長は、「国は増税、市は減税」と盛んに自慢しますが、いま私が述べたように、国は大企業や富裕層には手厚い減税をおこないます。そこに、名古屋市の減税が実施されることで、国の減税で恩恵を受ける大企業や高額所得者へさらに減税することになりますが、いかがお考えですか。
減税率を変えると均一税率が崩れる
【市長】累進税率だったが均一6%になった。悩んだが、初めから法律違反の恐れがあるという議論は回避しようと、法に従った。減税率を変えると均一税率が崩れるので、その精神は守らせていただいた。

介護保険料の値上げについて

全国1の大幅値上げの介護保険料に、市長は胸の痛みを感じないのか
【わしの議員】次に、市長は提案説明で、「日本経済復活に求められていることは、・・・可処分所得を増やすことで国民・市民の生活を支援すること」とありますが、私もその通りだと思います。
 しかし、市長の予算提案では、市民の可処分所得は、減少するばかりではないですか。市民税減税の恩恵に全く与らない市民やほんのわずかな減税があっても、65才以上の方は介護保険料が3割以上もアップされ、さらに75才以上の方は後期高齢者保険料も値上げされます。第5期介護保険事業計画では、保険料改定により基準額は4149円から5440円と、年15500円も上がり、加えて後期高齢者保険料は、年4439円と、合わせて約2万円もの値上げです。
 私の知人の年金暮らしのご夫婦ですが、第5段階の夫は年18050円、第4段階の妻は年15500円、2人で年間33550円もの値上げになることが分かり、大変ショックを受けています。
調べてみると、なんと名古屋の介護保険料の値上げ巾は、全国最高です。その結果、保険料は19政令市のなかで5番目、県下では最高となります。
 「これ以上の介護保険料はもう払えない」とか、中には「必要な介護サービスを受けられない」と、悲痛な声があがっているのです。
 全国1位の大幅値上げの介護保険料にすることに、市長は胸の痛みを感じませんか!「減税」による大企業や富裕層へのばらまきをやめて、介護保険料の値上げを抑制する方向に振り向けるべきではないですか。答弁を求めます。


大変感じる。地域委員会でやるなど仕組みを変えないかん
【市長】大変感じるところ。できるときから言われていて、私も反対していた。こういう保険システムを作るなら、たとえば65歳以上の人口に応じてそのまま市町村にお金を渡し、自由なサービスをしてくれと、やるならそうすべき。国が要介護1とか2とか全部決めていく、こういう大きな仕組みは、共産主義でもあるまいし、なんちゅうことかと反対していた。みなさんだまされた。女性が独立できるといっていたが、介護は入院と違って入れない。実際全然違う。肝心のヘルパーにお金がいかない。みんな苦労している。腰痛めて、爺ちゃん、ばあちゃん抱えないかんで大変。ドイツでも現金給付に近づいている。構造改革が必要だ、名古屋だけで独自にやる、1230億の金があるので、その中で、地域員会が一番いいが、小中学校単位で地域の発想でいろんな介護のやり方を自分たちでやっていくというしくみに変えよまいかと何べんも言っている。法律改正がいるといわれているが。

待機児童解消策について

国有地の活用などで認可保育園の増設を
【わしの議員】第三に、市長は、全国最多の待機児童の解消をめざすと、多様な事業の実施を進めるとしています。先日、日本共産党市議団は、抜本的な待機児童対策を行うため、認可保育園を増やす。そのために国有地を貸与する際の賃貸料を無償または低廉化すること。また、地方自治体の公有地についても実施されるようにと、政府交渉を行ってきました。
 財務省からは、「厳しい財政事情の中で初期投資をできるだけ安くなるようにというシステムでお貸しする形にした。全国では10件定期借地で動き出している。名古屋市と交渉しているところもある」と。
 また、厚労省からは、「安心子ども基金では、新たに土地を賃借して保育所を整備する場合、整備期間中の土地の賃借料補助が1施設あたり300万円加算できる。ぜひご活用ください」という答弁もありました。
 そこで、子ども青少年局長におたずねします。これらの制度を十分活用しての認可保育園の新設について、どのようにお考えですか。
国有地の賃借への国の補助制度が十分でない
【子ども青少年局長】スピード感を持って進めるには、待機児童が多い地域で、早期に、土地や建物を確保することが必要だ。
 国有地を借りて保育所を整備するというしくみは、市が進めている賃貸物件を活用した保育所設置とは異なる。国有地の活用は、一定規模の土地を確保できるメリットはあるが、土地の賃借にかかる国の補助制度が十分ではなく、保育所を運営する事業者にとりまして、賃借料が多大な負担になることが課題と認識している。
 それとは別に、平成22年6月の「新成長戦略における国有財産の有効活用について」の国の方針に基づき、東海財務局から提供された国家公務員宿舎を、グループ実施型家庭保育室として活用することができるようになったため、平成24年度予算案に計上した。
「安上がり保育」の企業参入はやめて、市立保育園などの認可園増設を
【わしの議員】市長は、これまで培われてきた名古屋の保育事業を大きく転換させ、企業参入まで認める方針を出しましたが、それで待機児童の解消ができるのでしょうか。結局、保育を市場化する仕組みに変えて名古屋市の保育への責任を放棄するのではないか、危惧するものです。
 市長におたずねします。安心して子育てできる名古屋というなら、人件費を下げて「安上がりの保育」にする企業参入はやめて、市立保育園をはじめ、社会福祉法人等の認可保育園の増設に、もっと、もっと力を注ぐべきですが、いかがでしょうか。
民間だと品質が悪くなっていかんと言われると頭にくる
【市長】民間会社だとすぐ品質が悪くなっていかんというのは、それ言われると頭にきますよ。役人がやるなら何でもいい、商売人がやるといかんというのは大間違い。倒産したときは、銀行なら破綻というが、突然閉めるのでなく経営形態だけは残して看板だけ変えると、やり方はいろいろある。

福島第一原発の事故をみた本市での対応について

地域防災計画に、原発事故を想定した対策を
【わしの議員】第四に、福島第一原発事故を受けて、「子どもたちを放射能から守ろう」「原発ゼロ・自然エネルギーへの転換を求める」声が大きく広がっています。市長はいつも「原発は危険。特に福井には原発がいくつもあり、伊吹おろしにのって名古屋への影響が大きい」と、福井の原発の調査にも行かれました。
 新聞報道によれば、愛知県では、福島第一原発事故を踏まえて、新年度にあたり独自に対策を進める予算を立てていますが、その内容は、有識者らによる委員会を新設し、原発事故の発生に備えて、放射性物質のモニタリング態勢の構築などを検討する。安定ヨウ素剤など、応急処置で必要な物資の備蓄量も協議して、地域防災計画に反映させていくと書かれています。
 市の地域防災計画への原発事故を想定した独自対策については、昨年3月議会でわが党の田口議員が「原発事故を想定した対策が一切ない地域防災計画でいいのか。国や県を見ているだけではなく、主体的に計画を見直す必要がある」と質問し、市長は「その通りでございまして、見守っておるだけで終わるつもりは全くありません」と答えられています。
 そこで、市長にお聞きします。名古屋市の地域防災計画に、原発事故を想定した、どんな対策をもりこむのか、愛知県の対策を受け止めて前向きに検討すべきだと考えますが、見解をお聞きします。
震災対策で一番の懸念が原発事故。大変憂慮している
【市長】原発事故を想定した地域防災計画の見直しですが、全く同じで、大変憂慮している。震災対策はいろいろやっているが、目の前にあることで一番の懸念が原発事故です。役所の中でいろいろ言っているが、ほんとに憂慮しています。動かんでいかん。昨年8月に策定した名古屋市の震災対策基本方針において、ちゃんと文書に原発の危険を入れてくれといってやっと、放射性物質の大量放出にかかる対策について明示するとなった。2月の防災会議で、地震対策専門会議の委員長に、名古屋市として原発に対してどういう対策をとるのか、ちゃんと検討してやってくれと言いましたら、検討すると、言われたので発表されるでしょう。本当は局内で作らないかん。
 産業政策の面からも、商売を何とか盛り上げようとなると、インフラもそうだが、原発リスクに最も安全な地域であるということが相当魅力になる、そういうこともあり全力を挙げて取り組みたい。
 一応担当者は決める予定になって、エネルギー全般をということになっている。そんなことなので議会の皆さんにもお願いしたい。もし福井で、万が一のことがあったら、名古屋に住めませんよ。こんなリスクが目の前にあって、避けとっちゃダメです。中電があるからみんなしゃべらない。私も皆さんもみんなユーザーじゃないですか。堂々と言わないかん。消費者として。1社独占はダメですから、名古屋発電株式会社でも作るようにしないと。
太陽光発電設備の積極的な導入拡大を
【わしの議員】市は、昨年12月に「低炭素都市なごや戦略実行計画」を策定し、太陽光発電などの普及拡大に向けた目標を示すとともに、補助金制度以外の新たな制度も課題として盛り込みました。
 現在、住宅用太陽光発電設備の設置補助や、市営住宅、学校など市の施設への導入も行っていますが、更に積極的に広げていくことが必要と考えます。長野県の飯田市では、太陽光発電システムを初期投資なしで設置可能にする「おひさまゼロ円システム」などの事例もあります。
愛知県は全国的に見ても日照条件が良く、住宅用太陽光発電の設置補助件数は全国一の実績をもっているということです。
 太陽光発電設備設置の導入は、自然エネルギーの再生と、不況で苦しむ中小企業、特に製造業に携わる方々の仕事おこしにもつながり、地域の雇用、経済の活性化にも大きな役割を果たすことになると考えます。
環境局長におたずねします。太陽光発電設備の積極的な導入拡大について、どのようにとりくんでいくのかお聞きします。
積極的な導入拡大をすすめる
【環境局長】2020年における自然エネルギーを2008年の25倍である37万キロワットとし、またそのうち住宅用太陽光発電設備の設置件数を6万4千件とする目標を掲げている。この目標を達成するため住宅用の太陽光発電設備設置補助を23年度は補正予算分を含めて1,900件分計上している。24年度予算では、これを2,200件に拡大し、一層の普及拡大に努めている。2,200件は、8,800キロワット相当(8.8メガ)となり、住宅の屋根を使って、中部電力の「メガソーラーたけとよ」を上回る太陽光発電設備が設置されることになる。
 今後とも、太陽光発電設備の積極的導入拡大に努め、実行計画の目標達成に努力したい。

「尾張名古屋共和国」構想について

道州制につながるものか
【わしの議員】第五に、市長は「尾張名古屋共和国」構想について、「近隣自治体を含め、横浜市をしのぐ400万人規模の大都市をつくりたい」と中京独立戦略本部の初会合でも「リニアは、名古屋がターミナル駅になるが、通過駅になってしまう恐怖感をもたないといけない」「400万人のまちをつくれば日本一の人口になる」等と発言し、周辺自治体と「尾張名古屋共和国」構想について意見交換の場も設けられました。
 市長にうかがいますが、市長はこれまでも、県の廃止と地域主権型道州制を口にされていますが、「尾張名古屋共和国」は、道州制につながるものですか。お尋ねします。
県の廃止・道州制は目指す流れの中の一つ
【市長】道州制がなにかということは確定していないが、わかりやすく言うと、県の廃止、ぴったり合っているわけではないが、そうもいえる。尾張名古屋共和国を作っていくうえで、県の廃止も道州制も、目指す流れの中の一つかなと思う。
大型開発事業、大企業優遇等が目的か
【わしの議員】また、総務環境委員会で市長は「尾張名古屋共和国」について、「東京へ行って名古屋で商売をやってちょうとキャンペーンも始まるが、名古屋では土地が狭いので、工場は尾張地区でやってもらう」と答弁されていることをみると、「尾張名古屋共和国」構想は、財界が求める大型開発事業、大企業優遇措置や規制緩和を効率的に推進するのが目的ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
大企業優先とは関係ない
【市長】東京へ行ってぜひ名古屋で商売やってちょと言ってきたが、名古屋には残念ながら土地がないので、その場合尾張地方でもどこでもいいんだが、工場作るときにはそっちでやってちょ、といった。大企業優先と関係ない。

市長の政治姿勢について―「南京事件はなかった」発言―

 南京事件発言は、市長としての資格が問われる、謝罪をして撤回すべき
【わしの議員】最後に、市長の「南京事件はなかったのではないか」発言についてです。日本共産党は、21日、河村市長が、中国共産党南京市委員会常務委員の表敬訪問を受けたとき、「一般的な戦闘行為はあったが、南京での事件はなかったのではないか」と述べ、「真実を明らかにするため、討論会を南京で開いてほしい」と求めたという新聞報道を受けて、225万名古屋市民を代表する市長が、個人の特異な歴史観によって、歴史的事実とも政府見解とも異なる発言を、公式の場で行うことは許されないと、南京大虐殺についての市長の発言に厳しく抗議し、撤回することを申し入れました。その後、市長は、「発言は撤回しない・議論は必要だ」を繰り返し、国際・外交問題にまで発展しています。市長の発言は、名古屋市の国際的信用を失墜させるものであり、友好都市提携以来30年以上にわたる名古屋市と南京市の友好関係を著しく損ない、平和と繁栄を願う市民の草の根の努力を踏みにじるものです。また、長引く不況と異常な円高のもと、必死でがんばっている国内の輸出産業や観光業の足を引っ張り、地域経済に重大な悪影響をもたらすことにもなると考えます。
 市長の「南京事件はなかったのではないか」という発言について、私は、225万市民を代表する市長として、資格が問われる発言であり、謝罪をして撤回すべきと考えますが、お答えください。
撤回しません
【市長】南京事件については事柄がデリケートなんで、先日、文書で「南京事件を巡る一連の報道について」(24年2月27日河村たかし)と、自分で書いたが、発表したんで、HPにも載っている。これに従って話したい。結論部分があって、30万人もの非武装の中国市民を日本軍が大虐殺したとされるいわゆる南京事件について、私は30万人の中国市民を日本軍が大虐殺したということはないと思っており、いわゆる「南京事件はなかったのではなかった」ということは撤回しません。しかし、いろんな意見、立場があることは理解しており、率直な議論ができる日が一日でも早く来るよう、日中友好関係が進むよう、心から願っております。率直な意見交換、話し合いがしたいと申し上げているのは、私の真意です。
 名古屋市として申し上げたいのは、34年間友好都市関係を続けております。しかし残念ながら、交流の状態は以下の数字にとどまっている。人口4倍の上海市に対して、南京市の在留邦人数は80分の1。名古屋市からの進出拠点数は2件、上海市の159件に比べ80分の1にとどまっている。人口で修正しても、南京市への交流実績は上海市への20分の1という極めて少ない数字となっている。何とか形式的な交流促進でなくもっと多くの日本人、名古屋市民が南京市に住んでもらい、観光に行ってもらえるように、その障害となっている、のどのとげを抜こうという気持ちで申し上げたのです。
 私の亡き母が生前、南京での桜の千本の植樹の時だと思いますが、南京には行きたくないと(南京は恐ろしくて行きたくない)といっていたのを記憶しています。これもとげを抜こうと思った理由の一つとなっております。
市民生活を守るより政治信条を優先するのか(再質問)
【わしの議員】南京事件の発言について、市長は「謝罪しない」「撤回もしない」という答弁でした。新聞報道によれば、24日の記者会見では、「市民生活を守るのが市長の責任」と、軌道修正を示唆していたのに、27日の記者会見では一転して「謝らない」と。市幹部には「信念を曲げたら、政治生命は終わりだ」と伝えて会見に臨んだとありますが、市長の態度が一転したのは、石原慎太郎都知事に「河村君は正しい」と擁護されたからなのでしょうか。市長は、市民生活を守るより政治信条を優先されるのですか。明確にお答えください。
早く真意をわかっていただきたい
【市長】全く事実と異なっています。そんなことでそうしたのではない。全く今回のいろんな事態は残念でして、早く真意をわかっていただいて、南京と日本の交流がもっと深まるように願っている。
河村市長の政治生命も終わり(意見)
【わしの議員】違うなら、個人の政治信条ではなく、南京と名古屋市民の友好を取りも同ために、きちんと謝罪をして撤回すべきだと思います。なぜ、素直に「発言」を撤回出来ないのか、理解に苦しみます。
 考えてみますと、昨年9月の市議会で自民党議員の質問に対して、南京大虐殺などは「一方的な自虐史観」と決めつけ、正しい歴史観をもつ勇気ある発言をすべき時が来ている」と答弁しています。それが、今回の「南京事件」否定発言として表に現れたと考えます。他国に対して実際に侵略戦争を行った国が、歴史的事実をきちんと反省することは国際的な責任です。市長が「発言」を撤回されないなら、中国との関係は取り返しのつかないことになるばかりか、国際社会で日本が生きていく土台まで掘り崩してしまうのではないか。河村市長の政治生命も終わりになると言わざるを得ません。以上、意見を申し上げて質問を終わります。

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