さはし あこ議員の個人質疑 市民税減税 条例の制定について

2011年12月21日
さはし あこ

市民の願いは「減税」より「福祉の拡充」「仕事がほしい」。民のかまどを消す「減税」だ

■まじめに減税の政策的効果を検討したとは思えない

【さはし議員】私が不思議に思うのは、9月に提案された10%減税案でも、11月の7%減税修正案でも、そして今回の5%案でも、条例の目的には、「市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するよう、市民税減税を実施するため」と、全く同じことが書いてあったことです。しかし、提案された条例は、まじめに減税の政策的効果を検討したとは思えません。

「5%では、インパクトが弱い」と、ご自分で言っておきながら、そのために来年度79億円、平年ベースで約110億円も使うのは、納得できません。

市長、何%でもかまわない、とにかく減税を実現すればいいと言うのですか。これでは、わが身を売り込むためとしか思えません。いかがお考えですか、お聞かせ下さい。

■選挙で約束した公約を実現するだけ(市長)

【市長】そのような気持ちはさらさらありません。選挙で約束した公約を実現する、市民の政治的選択を実現するということに尽きる。

■市長の減税では、めぐりめぐっても雇用は増えない

【さはし議員】いくら市民税の税率を変えたところで、一律減税であるかぎり、金持ち大企業優遇減税の本質的問題点は、解消されません。

『金持ち、大企業優遇の減税に本当に賛成ですか??』これは、昨年の9月、名古屋市議会の民主・自民・公明・共産各派が共同で作ったビラと聞いていますが、私も配るお手伝いさせていただきました。2009年以降、日本経済の厳しさが増すなか、当時、私は、失業者の一人であり、心底働きたいと来る日も来る日も仕事を探していました。そのような時に市長の10%減税です。残念ながら、無職の私には全く恩恵はありませんでした。税金をきちんと納めることができるように仕事に就きたいと思っていた私は、減税によって潤った地元企業が雇用を増やし、雇ってくれるものと思っていました。しかし、市長の減税では、めぐりめぐっても雇用は増えていませんよね。

■中小企業の願いは「減税」より「仕事」

【さはし議員】ある市民団体が、減税を行った2010年と今年の2回にわたり、名古屋市内700社の中小企業者を対象に、アンケート調査を実施しました。その中では、“名古屋市が強化・充実すべき産業振興施策は?”という問いに対して、昨年は「市民税減税」が1位で全体の21.1%を占めていましたが、今年度は5.4%と4位に後退しています。減税に期待を寄せた多くの中小企業は、今では、減税よりも、1位「取引先の斡旋」で17.7%、2位「仕事おこし」で14.6%、3位「開発力・技術力の強化」8.5%などの施策を名古屋市に望んでいます。減税せずに、そのものずばりの施策を行ってほしいというのが市民の声です。

■家計が温まるどころか、逆に生活が冷え込む「減税」

【さはし議員】また、課税所得が300万円以下の方々は、納税者全体の79%にものぼります。5%減税によって、はたしてこのような方々の家庭の可処分所得が増えるのでしょうか?一人暮らしで年金収入250万円の65歳以上の方を例にとってみますと、5%では年間2,800円の減税、月にするとわずか233円です。一方、来年度は介護保険料の引き上げも予定されており、この方の場合、現時点では、最大年間20,000円程度の保険料の引き上げとなり、差し引くとおおよそ17,000円程度の負担増です。減税の効果が全く無くなります。家計が温まるどころか、逆に生活が冷え込む、このような市民が、増えるのではありませんか。

非課税世帯の方々にお話を聞くと、まだ非課税の方でも減税でお金が戻ってくると思っている方々が少なくありません。名古屋市民全体の52%の117万人は、減税の恩恵を直接受けることが出来ません。市長は、「低所得者対策、中小企業対策は、新年度予算で配慮を検討する」とおっしゃいましたが、その中身は、介護保険料の負担増をカバー出来るぐらいの対策を考えているのですか、お答えください。

■いろんな対応を今後もやっていく(市長)

【市長】低所得者対策としては、国保の均等割額を引き下げたり予防接種など、いろんなことをやらせていただいた。水道料金も議会の指摘で下げた。バスの学生の全線定期券の料金を下げた。これらは減税が実施されなかった23年度も継続したが、今年もやっていく。いろんな指摘については、いろんな対応を今後もやっていく。

■減税は減らしても福祉や市民サービスに切り込む「行革」は続けるのか

【さはし議員】減税のもう一つの目的は、「行革」と市長は言ってきましたが、減税を半分にするならば、行革も半分でいいのかな、と考えていいですか。例えば、事業仕分けで廃止となった6事業は、半分でもよかったのでしょうか。事業仕分けそのものをやり直し、いっそのこと白紙に戻すべきです。事業仕分けで明らかになったように、行革をこのまま進めていけば、さらに市民の負担になりかねません。市民の中にも不安が広がりつつあります。

金持ち減税のために、減税の%に関係なく、福祉や市民サービスに切り込む「行革」だけは、続けるのですか?お答えください。

■絶えず行革をやらねばいけないのは当たり前(市長)

【市長】少子高齢化に向かう日本では、絶えず行革をやらねばいけないのは当たり前。

■仏さまのお告げより市民の声を聞け(意見)

【さはし議員】新聞報道によりますと、減税率5%にしたのは、「初めから5%でやってみろ」と神さまか仏さまからお告げがあったみたいですね。 市長、仏のお告げより市民の声をよく聞いてください。新たな対策は何一つありません。これまでの福祉施策を継続するのは当然です。さらに拡充が必要と言っているのです。

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