名港議会 反対討論 議員報酬は半減でなくゼロに(2011年11月17日))

 ただいま議題となっております議員提出議案第2号及び第3号について、第2号議案については反対、第3号議案に賛成の立場から討論を行います。
政治に対する不満と不信のあらわれ
 そもそも名港議会でなぜ議員報酬が問題になったのか。長引く不況に加え、貧困と格差が広がるなかで、市民県民からこれまでの政治に対する不満と不信が一気に噴き出しました。その一つの象徴が名古屋の市長選挙でした。そして管理組合議会についてもいわゆる議員特権が問題にされ、私は二つのことが問われたと思います。

名港議会の議員報酬
現行
年額46万8千円
自公民の提案
およそ年額22万円(月額1万円+日額1万円)
共産党・減税の提案
ゼロ
*公明党は日額制を主張し、いずれも反対。議案提案権はない。

問題点は2つ
 一つは、母体である愛知県議会と名古屋市会で、一般市民から見れば多額の報酬をもらっているのに、また別に報酬をうけとっているのか。母体の報酬だけで十分ではないか、との指摘です。
 もう一つは、報酬をうけとりながら、議会活動は十分に行っているのか。審議日数もわずかで、議会の役割・姿が県民市民にほとんど見えないではないか、との指摘です。
高すぎる県議や市議の報酬
 一点目に関して、市民県民の生活実態を踏まえて、議会として自らの報酬にメスを入れるのは当然であり、この点では2号議案の提案者のみなさんとも思いは一緒だと思います。「高すぎる」と指摘された県会市会の報酬についても程度の差こそあれ、改革が始まりました。問題は、母体の報酬だけでいいじやないか、という点です。
 そもそも港湾法では、港湾の管理運営は、地方自治体が単独または共同で責任を負うとしており、一部事務組合を設立するか否かに関わらず、自治体の本来業務です。ですから、その事務執行のチェック、予算決算など組合の意思決定についても、設立母体である県議会及び名古屋市議会の果たすべき機能の一部であると考えます。
 実際に名古屋港管理組合の歴史をみると、1951年(昭和26年)の設立時から1993年(平成5年)に議員報酬に関する条例が定められるまで42年間、本組合議会は議員報酬ゼロだったのです。その間、誰からも訴えられませんでした。名港議会の議員報酬の歴史はたかだか18年です。もちろん、その間は年間10数日の議会日数なのに35日から60日分の費用弁償が支払われており、それを実質的な報酬支給と見なしていたようですが、当然「適正」な状態ではなかったわけで、改められました。
ゼロでも法的な問題はない
 一部事務組合である名古屋港管理組合は、ひとつの独立した地方公共団体であり、原則として議員報酬は支払わなければなりません。しかし総務省の見解も踏まえて二人の弁護士から管理組合に提出された「名古屋港管理組合議会における議員報酬支払いに関する法的整理」の文書には「名古屋港管理組合議会議員に対する議員報酬については、県市議会議員の議員報酬と重複支給されることのないよう、何らかの調整措置がなされることはさしつかえない」とあります。調整措置には、支払う報酬をゼロとすることも含まれる、との見解も議会事務局から示されました。
 従って、報酬を支給しないことが地方自治法違反になるのではないか、との指摘もありましたが、報酬をゼロに調整することに、法的な支障はありません。地方自治体が住民の声を踏まえて自主的に決定することであり、現在の経済情勢や母体である県議会などの議員報酬の額を考えれば、名港議会の報酬はこの際、ゼロにすべきだと考えます。
議員の活動にも市民から厳しい視線
 もう一つの問題ですが、2号議案提案者からは、名古屋港と本組合議会の果たす役割の重要性が強調されました。名古屋港のあり方を正面から論ずる議会の重要性は私も十分に認識しているつもりです。ところが年間審議日数はわずか10日足らず、十分な審議日数もとれなかったのが実態です。あり方検討会の議論を経て、審議日程に余裕を持たせ、十分な審議ができるよう、改善に向けた努力がいま進められています。問題は、私たち議員の活動にも市民から厳しい視線が注がれている点です。
質問すらしない議員がいる
 この10年間の名港議会本会議質問回数を調べてみました。年に3回の議会ですから3×9年間で27回+今年2回で29回ありました。県会自民15回、市会自民3回、県会民主5回、市会民主2回、県会公明ゼロ、市会公明22回、市会共産31回、市会減税、県会日本はいまだゼロです。29回の本会議中、質問者一人の本会議が6回もありました。
 もちろん本会議質問だけが議員の仕事ではありません。しかし、こういう状態では報酬について、厳しい意見が出てくるのは当然です。報酬問題だけしか論議せず、本来論ずべき港湾に関して質問ひとつしないのはもっと問題です。
 名古屋港のあり方をめぐって、港湾民営化の動きや必要以上の大水深バース建設など、きびしくチェックすべき点は山ほどあります。議会の存在を軽視する立場からの報酬や定数の削減論に与することはできません。24時間365日、議員としての活動全体の中で常に名古屋港のことを考え、この議会にのぞむというのが議員本来の姿です。
 議員報酬をゼロにすると共に、議会審議の活性化を通じて、名古屋港管理組合における議会の存在がさらに重きを置かれるよう努力することを申し上げて討論をおわります。

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