減税は金持ち・大企業優遇が明確に10% 条例案は継続審査へ

9月議会に提案された「減税条例案」は、財源見通しが示されないまま、2010年度の決算審議が先行。この年は減税を実施した年であり、減税の効果や影響が厳しく問われました。

財政福祉委員会で、山口清明議員は個人市民税の減税152億円、法人市民税61億円(決算年度中は134億円と25億円の計160億円)の内訳をただし、個人では最高1000万円の減税の恩恵を受けた人がある一方で、225万人市民のうち116万人が減税額ゼロであること、わずか3%の人が減税総額の25%(37億円)を受け取り、法人税減税も上位8社だけで11億円(18%)の減税の恩恵にあずかっていることを明らかにしました。

■福祉を削って減税財源

減税財源捻出のために保育料の値上げを提案したり、子ども医療費の拡大が遅れるなど、市民サービスがないがしろにされています。「減税こそ行政改革の推進力」といって、大気汚染常時監視測定局の削減など、市民サービスを切り捨て、国保料の大幅引き上げは庶民の可処分所得を減らしました。

山口議員は、大震災以後の民意の変化をふまえ、220億円の減税財源があるなら、防災と福祉のまちづくり、景気回復に使え、と要求しました。

■減税案は継続審査に

決算の委員会審査が終了したのち、減税条例案の採決となり、自・公・民は「財源見通しがないから継続審査」と提案、減税は「行革のため減税を」、山口議員は「金持ち減税は否決を」と求め、採決の結果、継続審査となりました。

■「名古屋は濡れ雑巾」と減税日本

減税条例を審議した財政福祉委員会では、減税財源のために縦割り行政の弊害を排し、行革でもっと絞り取れと要求。「名古屋市はまだ濡れた雑巾」といって福祉や暮らしを削る行革の強化を求めました。

また、9月議会本会議の個人質問で減税日本ナゴヤの議員は、名古屋市は「指定管理制度への移行が遅いと追及。横浜の30%と比べてわずか10%。図書館なども早くやれば、それだけ安くなって減税財源ができる」と、利用者不在の市民犠牲の促進を要求。

敬老パスの請願を審査した財政福祉委員会でも「使う人はいいが、若者の負担になる」と敬老パスに疑問を投げかけました。

■自民党は「『行革』への意識が希薄だ」と徹底した行革要求

「減税で企業が来る」という市長に対し、自民党議員は「減税したが納税者も企業も減った」と減税の効果が実感できないと批判。その一方で、「今後の政策課題に対し、財源確保も面からも行革に対する取り組みが弱い」と、徹底した行革を要求しました。

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