さはし あこ議員の個人質問② 災害時要援護者の避難対策について

2011年9月14日
さはし あこ

■身近な所に福祉避難所の配置を

【さはし議員】災害時要援護者の避難対策についておたずねします。

私が、お聞きしたところ、緑区内で避難所に指定されている施設は、学校、コミュニティセンターなど72施設です。そのうち、2階が生活スペースになる避難所は、31施設でした。先日、緑区のある学区では、大規模地震に伴い、自宅で生活できなくなったことを想定しての住民200名参加による宿泊型防災訓練が実施されました。

今回の避難訓練は、まさにその2階で生活をするパターンでした。

私がお話しを聞いた、車イスで参加されたある女性は、避難所生活を心配して、自ら参加を希望したそうです。2階での生活が、事前にわかっていたため、手動車イスも持参しました。普段は、電動車イスで生活していますが、2階で階段も狭い避難所の環境を考えて、前もって準備が出来たといいます。また、男性の車イス利用の参加者は、4人がかりで2階に上げてもらっていました。組み立て式簡易トイレは、出入り口にパイプがあり、足が上がらない方は、つまづくなど使いづらく不便だったそうです。体育館のトイレ自体は、1階にしかなく車イスでは中に入れず、大変不便だったと、避難所生活での不安を挙げておられました。

避難所に指定された施設においては、障がい者、高齢者、難病患者が、不安なく生活できるような環境作りとして、段差の解消、障がい者用トイレの設置などバリアフリー化を早急に進めるのはもちろんのこと、自宅で過ごされている要援護者を、避難訓練に率先して参加していただく取り組みを、さらに推進していくべきだと思います。

避難が長期に及ぶ場合においては、要援護者は、3、4日たった時点で、病院か福祉避難所、もしくは自宅が被災していない場合は自宅と、その状態に合わせて移動ということになります。しかし、車イス利用者や病気を持っている方々、介護を必要とされる方は、一般の避難所で過ごすことさえ、かなりの負担です。それを3日も4日も過ごすことは極めて大変です。出来れば福祉避難所にすぐに避難することが望ましいそうです。

現在、名古屋市地域防災計画で指定されている福祉避難所は、32か所です。緑区においては、区の中心に2か所のみで、収容人員40名です。少なくない障がいを持った方にとっては、十分とはいえず、6月定例会でも福祉避難所を増やすべきという質問がされました。指定にあたっては、厳しい条件をクリアしなければなりません。このままでは、増やすにしても大変厳しいと思いますが、災害対策は、スピードが必要だと思います。

そこで、健康福祉局長に質問します。いつ災害が起きるかわからない状況で、福祉避難所を増やすにあたって、この間、どのような取り組みをしてこられたか、また今後の見通しをお答えください。

■自助共助でやってほしい(局長)

【健康福祉局長】災害時要援護者の方も家族や近隣の方どうしで助け合い、小・中学校等の最寄りの避難所に避難していただき、その後、避難された方の状況で、介護保険施設や病院等への入所や入院等で対応する。通常の避難所での生活に特別な配慮を必要とする高齢者の方や障害のある方は福祉避難所で対応します。平成19年度から福祉避難所の指定を開始し、6月以降に1か所増え、現在32か所を指定。バリアフリー化などの指定要件を満たし、理解が得られた社会福祉法人と施設ごとに協定を締結しています。

「福祉避難所の設置・運営に関するガイドライン(厚労省)」には、地域における「身近な福祉避難所」として、①通常の避難所の中に災害時要援護者に配慮した空間を確保するもの、②現在市が指定しているような障害の程度の重い方など、地域における身近な福祉避難所では避難生活が困難な方を受け入れる「拠点的な福祉避難所」があり、「地域における身近な福祉避難所は、小学校区に1か所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましい」とある。

地域における「身近な福祉避難所」として、小学校などの避難所の一定の空間を利用することは大変有効であり、拠点的な福祉避難所が開設されるまでの間の役割を果たすと考えている。

今後は、8月29日に出された「震災対策基本方針」に基づき、避難所等における課題の解消を議論する中で、避難所の運営方法などより具体的な検討したい。

■要援護者をすべて把握し、市が責任を持って支援を(意見)

【さはし議員】緑区内だけでも災害時要援護者として登録されている方は、約1万5千人にのぼりますが、それ以外にも、病気の究明、研究もされていない希少難病患者など、行政が把握していない方も少なくありません。現在、市で情報を持っていない方々についても、要援護者として市が責任を持って支援をすることを要望します。

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