議長の失言問題、および政務調査費と費用弁償について(見解)

議長の失言問題、および政務調査費と費用弁償について

2011年6月28日
日本共産党名古屋市会議員団
団長 わしの恵子

1.政務調査費不適切処理をめぐる中村議長の失言問題について

一、政務調査費の不適切な処理に関する失言問題で、中村孝太郎議長は24日、議員総会で陳謝した。実態と異なる領収書を使って政務調査費を受け取っていた減税日本の則竹勅仁前市議の行為を「問題ない」とする記者会見での発言は、政務調査費の適正な運用のための調査権を有する議長としての見識が疑われるものであり、陳謝は当然である。

一、この問題で、「中村議長が議長辞任を示唆した」「議長の進退は減税団長に一任された」などと報道されたことに、私はたいへん驚いている。わが党も含む全会派の団長・幹事長会では、議長が議員総会で陳謝することは確認されたが、議長から辞任を示唆する発言や、減税団長から議長進退の一任を取り付けたという発言は、いっさいなかったからである。議長の進退問題は、わが党を除く4会派(減税、自民、公明、民主)で協議されたようである。

一、中村議長の「問題ない」発言は重大な問題ではあるが、議長の辞任に直結する問題ではない。中村議長が辞任し、議長が交代すれば、それだけで市議会の改革が前進する展望が開けるだろうか。政務調査費をとっても、則竹前市議のケースも踏まえて、さらなる適正化・透明化を図るために、議会として力を注がなければならない時である。わが党は、議長の進退問題という議会の主導権争い、政争にくみするものではない。

2.政務調査費の使途基準の見直しについて

一、昨年度分の政務調査費から、1円からの領収書公開が実現したことは大きな前進である。そのうえで、わが党は、議長と議会運営委員長にたいして「領収書以外の帳票類や視察報告書なども公開し、使途の説明責任を果たす」ことを求めている(2011年3月25日「名古屋市議会の改革推進のための申し入れ」)。市民グループからも、政務調査費の使途基準の見直し要請が市議会議長に寄せられている。そこで、政務調査費の使途のさらなる適正化・透明化を図るために、「政務調査費の使途基準に関する基本指針」の見直しを提起したい。見直しの方向として、以下の点が大事だと考える。

一、1点目は、調査研究活動の内容と成果を積極的に公表することである。そのために、視察・研修報告書、広報紙などを領収書に添付・公開するとともに、「領収書等貼付用紙」の備考欄に支出内容を明記するよう努める。

一、2点目は、按分についての根拠を明示することである。政務調査活動とそれ以外の活動との按分割合は「実態に応じる」とされているが、領収書には実態を示す資料が添付されていないため、按分の根拠がわからないという意見がある。そこで、たとえば人件費については職員の勤務日誌、リース車については使用実績など、按分の根拠となる政務調査活動の実態がわかる資料を作成して領収書に添付する。また、事務所の賃貸料など政務調査活動の実態を客観的に示せない事例については、あらかじめ按分率の上限を定めておくことも必要だと考える。

一、3点目に、領収書のあて先は議員個人名にすべきであるとの意見があるが、政務調査費は会派に対して交付され、会派として支出しているものであることから、領収書のあて先が議員団名となっていることは当然である。その場合でも、特定の議員の政務調査活動に要したものについては、「領収書等貼付用紙」の備考欄に議員名も明記すればよいと考える。

3.引退した日本共産党元議員における費用弁償の受け取り拒否分等の扱いについて

一、則武前市議は公約に反して費用弁償を受け取っていたが、わが党議員は、受け取り拒否を貫いてきた。わが党が受け取り拒否を始めたのは、2005年11月分からであり、法務局に供託されている。また、それ以前の2004年4月分から2005年10月分については、「受け取るが、議員を辞職した時に返還する」こととし、議員団で保管してきた。

一、費用弁償の廃止が実現したことを踏まえて、引退したわが党の元議員については、団保管分とともに、受け取り拒否分についても、名古屋市に寄付することとする。現在、加藤典子元議員と梅原紀美子元議員がその手続きを進めており、市への寄付金額は、加藤元議員の場合は、受け取り拒否分382万円、団保管分105万円、合計487万円であり、梅原元議員の場合は、受け取り拒否分348万円、団保管分115万円、合計463万円である。今後も、引退を表明した元議員から順次、同様の手続きを進めていく。

以上