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2006年3月8日発行

本会議・個人質問(3月7日)さとう典生議員

市議会の録画中継をご覧下さい。

建築紛争防止条例 玄関先の立ち話がなぜ「協議」に?
保育園の子どもたちのお日さまを守れ

さとう典生議員は、マンションなどによる保育園への日照被害について、市の姿勢をただしました。

教育施設等で6年で15件もの日照被害

さとう典生議員名古屋市の「中高層建築物の建築にかかる紛争の防止及び調整などに関する条例」では、マンションなど中高層建築物の建築主は、「保育所又は幼稚園、小学校、中学校などに日影を生じさせる場合には、日影の影響について特に配慮し、施設の設置者と協議しなければならない」とあります。ところが、この条例ができた99年以降の教育施設などへの被害と紛争件数は6年間で15件もあり、そのうち建築を取りやめたのはわずか2件です。

あいさつ程度がなぜ「協議」なのか

さとう議員は、条例の「協議」の問題点について、二つの保育園の例を示し追及しました。ある保育園では、業者が突然園を訪問し、玄関先で15階建てマンションの計画を説明しました。園長が玄関先で応対しましたが、この玄関先の立ち話を「協議した」ものとして翌々日に業者が報告書を提出し、市が受け取ったのです。その後工事が開始されてから、保育園の求めに応じて協議が開かれましたが、建築計画は変更しないとの一点張りです。

もう一つの保育園では、設計者と建築主の社員が訪ねてきて、計画を説明しました。対応した園長はあいさつだと思い「工事中に園児が事故に合わないように注意してほしい」と応答しましたが、それが「協議したもの」として報告されています。

さとう議員は「あいさつ程度の話を『協議』として受け取るのは条例違反だ。工事を中止し、協議を行うよう指導すべきだ」と求めましたが、市は「条例は、紛争の予防に効果をあげている。ご指摘の保育園についても協議されていると考える」と答弁しました。

業者いいなりでなく同意書を求めよ

さとう議員は「保育園側は『協議ではない』といっているのに、なぜ市は業者側に立って正当化するのか。当局が条例の趣旨を守っていない。条例の厳格化のため連名の協議書の提出を義務付けるべきだ」と厳しくせまりましたが、市は「法令に適合している建築計画に、同意をとることを義務付けることは、過度な負担を課すことになり困難」と答えました。

さとう議員は「法令に適合しているから、子どもは日陰を我慢せよというのか。業者は一時の利益のためでも、子どもはずっと日陰に苦しまなければならない。少なくとも協議報告書を連名で提出するように改めるべきだ」と指摘しました。

 

建築確認 市の公的責任を果たせる体制の確立を

民間が行った建築確認でも「市に責任」がある

さとう議員は「耐震偽装事件は起こるべくして起きた『官から民へ』の弊害だ」と指摘し、民間建築確認の問題と公的責任についてただしました。

建築確認について最高裁では「民間が行った処分」でも地方事務である以上、「自治体の責任は免れない」という判断がでています。姉歯事件で被害を受けた半田のホテルのオーナーが愛知県に損害賠償を求める裁判も起こしています。さとう議員は「政府の規制緩和が問題だが、自治体の公的責任をどのように果たすつもりか」と市長にただしました。市長は「市の民間確認検査機関への対応も必要だが、民間の確認検査に関する最終責任は、検査機関がもつように国に申し入れている」と答えました。

専門職員を確保し、自治体の責任で

さとう議員は、パブリックレポート制度など第三者のチェックの必要性を主張するともに、民間建築確認が増えたもとでも、市職員の構造専門家を養成し確保するように求めました。市は「今後も厳格な審査ができるように職員の育成を継続する」と答えました。

パブリックレポート制度

耐震性の調査や判定のために、建築主の協力を求めて構造計算書などを公開し、第三者がコメントを公表する制度。米カリフォルニア州などで実施されている。