日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2010年11月8日発行

11月臨時会(11月8日)

「知事は市長の申し立て棄却を」
議会が知事への「弁明書」採択

党市議団見解発表
市長は議会との論議で自主的解決を

市長による「中期戦略ビジョン」と「公開事業審査条例」の2件の再議を、議会が9月議会で認めず「6月議会の通り決する」としたことから、市長が「議会は権限を越えている」と知事に裁定を申し立てました。このため、議会は11月8日に臨時議会を開き、知事は市長の申し立てを棄却すべきとの弁明書を日本共産党も含む賛成多数で採択しました。同時に、党市議団は「議決は議会の権限を越えない。中期ビジョンも事業仕分け条例も市民の利益を損なう。市長は議会と話し合い自主的に解決すべき」と態度表明しました。

 

議会の議決に関する市長の審査申立てに対する議会の弁明書についての日本共産党市議団の態度について

1 さる9月28日に名古屋市会がおこなった「中期戦略ビジョン」と「名古屋市公開事業審査の実施に関する条例」の再議にかかる議決について河村市長が10月18日に「議会の権限を越える」との理由で議決そのものの取り消しを愛知県知事に求める審議の申立てをおこなったことに対し、名古屋市会は本日、「審査申立てには理由はなく、速やかに棄却」するよう求める弁明書を採択しました。

日本共産党名古屋市議団は、今回の議会の弁明書に賛成しました。議会の議決が議会の権限を越え、市長の権限を侵すという市長の言い分には道理がないからです。

2 しかし、河村市長提出の「中期戦略ビジョン」と民主党議員提出の「名古屋市公開事業審査の実施に関する条例」そのものには市民の利益をそこなう大きな問題点があります。両議案は今年の6月定例会で民主・自民・公明3党などによって可決されましたが、日本共産党市議団はいずれにも反対しました。

名古屋市の新基本計画である河村市長の「中期戦略ビジョン」は公約違反の大企業・金持ち優遇減税の恒久実施や不要不急の大型公共事業を推進するなど、本来は「福祉増進の機関」であるべき名古屋市政の姿をさらにゆがめる内容になっています。6月議会で民主・自民・公明3党は市長案を一部修正しましたが、ほとんど表現の変更にとどまり、基本問題にメスを入れずに可決しました。

日本共産党市議団は、名古屋市の新基本計画が憲法の精神を市政に生かし、真に「市民が主人公」の計画になるよう力をつくします。

また、「名古屋市公開事業審査の実施に関する条例」については、6月定例会で、これを提案した民主党議員は「事業審査を議会と行政が一体となって実施することにより行財政改革がより一層進み、ひいては減税のための財源確保につながるもの」と説明しています。

この条例は、大企業・金持ち優遇減税の財源づくりのための福祉・市民サービス削減など、市民に犠牲を押しつける名古屋版「事業仕分け」に議会を協力させ、議会の行政監視機能を弱めるおそれがあります。

わが党市議団は、この条例が市民犠牲の「行財政改革」推進に悪用されないようきびしく監視するものです。

3 今日の日本の地方自治制度は、住民によって直接選挙される議会・議員と首長がそれぞれ住民を代表するという二元代表制をとっています。議会と首長はチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の関係で、お互いの独断や暴走を防ぎ、地方自治を保障する仕組みになっています。議会と首長が対立する場合は、双方の話し合いによる自主的解決が基本です。

ところが、河村市長は「立法者のミス」だと二元代表制を否定する立場から、議会攻撃を展開しています。河村市長は2009年11月定例会以来、議会の議決に対し市長の拒否権発動である再議を繰り返してきました。

今回の「中期戦略ビジョン」と「名古屋市公開事業審査の実施に関する条例」についての再議は、越権や法令違反を理由とする地方自治法第176条第4項の規定が利用され、知事への審査申立てがおこなわれました。この再議制度のみなもとは、戦前の天皇制絶対主義のもとで上級官庁が地方議会を監督し統制する仕組みといわれています。

河村市長は、議会との話し合いによる自主的解決の努力を放棄し、「議会との対立」を口実に「議会改革」を叫んでいますが、地方自治と議会制民主主義を破壊する危険な本質を見逃せません。

日本共産党市議団は、二元代表制と民主主義を尊重し、なによりも経済危機のもとできびしい状況にある市民の暮らしと営業を応援する温かい名古屋市政をすすめるために全力をつくします。

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