日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2010年1月25日発行

「議員定数半減」に反対して13氏がアピール

河村市長が「議会改革」と称して名古屋市議会の議員定数を半減させようとしていることについて、学者ら13氏は8日、「民主政治を守るために、議員定数の半減に反対しましょう」との共同声明を発表しました。以下がそのアピールです。

 

民主政治を守るために、議最定数の半減に反対しましょう!

議員定数の半減は、強権政治への道
市民の力で民主政治を守りましょう

河村市長が2大公約として掲げた「市民税10%減税」は、昨年の6月市議会に提案されましたが、「福祉予算が削減されるのではないか」、「公約違反の金持ち減税ではないか」などなどの疑問が続出して継続審議になりました。9月市議会も継続審議になり焦りを募らせた市長は11月市議会に「市民税10%減税」「地域委員会」「議会改革」をセットにした「市政改革ナゴヤ基本条例」案を提出しました。

そして、市長らは、市会がこの条例案に賛成しなければ議会解散のリコール署名をおこすと表明しました。紆余曲折を経て「10%減税」と「地域委員会」設置は可決されましたが、同条例案は継続審議となり、市長の最大の狙いである議員定数の半減を中心とする「議会改革」は、2月市議会に持ち越しました。

一方、市会では自主的に協議機関を設けて「改革」について論議をしています。

議会と首長は対等平等
ボランティア化は時代錯誤

市長は議員定数の半減によって政治の職業化による集権化に風穴をあけ政治をボランティア化することを目指しているようですが、民主主義の理想としての全員参加という観点からは削減は勿論、ボランティア制にも危険な要素があります。

日本国憲法が依拠する議会制民主主義は、社会生活の運営にその全員が参加するために人類史上さまざまな試行錯誤を重ねて到達した政治形態であり、なお制約の余地があっても全員参加のための代議制という原則は不動のものと考えられます。議員定数の削減は、真っ向からこの原則をくずしていくものです。

ボランティア制は議会外の市民の意見と活動をくみ上げるには有効ですが、民主的な外観にもかかわらず制度的な保証がないために、少数者支配に転化する危険があります。

制度は、枠組みだけで独り歩きしますから、その中で政治的関心が政治的野心に転化しないとはだれも保証できないでしょう。

従って憲法、地方自治法は次のように定めています。

  1. 憲法第八章の地方自治は、戦前の翼賛政治への痛苦の反省から民主政治の土台として定められたもので、議事機関としての議会を地方自治の柱に位置づけられています。
  2. 憲法と地方自治法は議会と首長が対等平等、チェックアンドバランス(抑制と均衡)によって地方自治と民主主義を保持する「二元代表制」をとっています。
  3. 地方自治法は、議員定数を定めており、名古屋市の上限は88名ですが現在条例で75名にしています。これを半減すれば民意の反映がされにくくなり、また行政調査権、監督権など議会の権限を著しく弱めます。
    議員のボランティア化は本質的に明治憲法下の市町村制(議員は名誉職)へと逆流するものであり時代錯誤の提案です。

定数半減反対の声をすみずみに

河村市長は、2月市議会に定数半減を前提とする「区割り案」を提案する方針(「中日」09年12月10日)と報じられており、市長の支援団体は、「『河村市長の改革案』と『市議会の改革案』のどちらが良いかを市民に問うため、住民投票条例案を制定する準備を進めている」(「朝日」09年12月23日)のです。

市民の皆さん 民主政治の危機です。

議員定数半減の暴挙から憲法に保障された地方自治を守り、住みよく明るい名古屋をつくるために、民主政治を守れの声を市内のすみずみに広げましょう。
皆さんのご賛同を訴えます。

2010年1月8日

立教大学大学院教授 池住 義憲
神学研究者 うの ていを
消費税をなくす全国の会常任世話人 大島 良満
ジャーナリスト会議東海事務局長 加藤 剛
真宗大谷派 宗議会議員 木全 和博
愛知大学法科大学院教授 小林 武
元愛知県評議長 成瀬 昇
元名古屋市労連委員長 服部 信夫
弁護士 原山 恵子
名古屋大学名誉教授 水田 洋
北病院院長・医師 矢崎 正一
やまうち内科院長・医師 山内 一征
俳優 若尾 隆子